Durable Goods Orders Surge, But Inventories Down.
米1月耐久財受注と米2月カンザスシティ連銀製造業景況指数をおさらいしていきます。
米1月耐久財受注は前月比4.9%増となり、市場予想の2.9%増より強い結果となった。前月の4.6%減(5.0%減から下方修正)から改善し、3ヵ月ぶりに増加。2015年3月以来の高い伸びを示す。防衛財が11.9%増と押し上げたほか、輸送機器も2桁増を遂げヘッドラインに寄与した。
輸送用機器は11.5%増となり、前月の12.1%の減少分をほぼ打ち消した。民間航空機が急増したためで、自動車は3ヵ月連続で増加している。
・民間航空機 54.2%増、3ヵ月ぶりに増加>前月は29.1%減
・自動車 3.0%増、3ヵ月連続で増加>前月は0.2%増
輸送用機器を除く場合は1.8%増となり、市場予想の0.3%増より加速した。前月の0.7%減(1.0%減から上方修正)を超え、3ヵ月ぶりに増加している。
コア資本財(企業の設備投資を示す航空機を除いた非防衛財)は、3.9%増だった。市場予想の2.9%増より伸びを広げただけでなく、前月の3.7%減(4.3%減から上方修正)から反転。2014年6月以来で最大を遂げている。内訳をみると、米1月鉱工業生産が好転したように機械が大幅増に転じたほか、コンピューター・電子機器。電気製品、一次金属などがそろって改善した。
(増加項目)
・機械 6.9%増と直近で最大>前月は4.1%減
・組み立て金属 1.6%増、4ヵ月ぶりの高水準>前月0.3%減
・電気機器 1.1%増<前月は2.9%増
・一次金属 0.7%増、2ヵ月連続で増加>前月は0.4%増
・コンピューター/電子機器 0.8%増>前月は1.9%減
(減少項目)
なし
耐久財出荷は前月比1.9%増となり、前月の1.6%減から増加に転じた。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財は0.4%減となり、前月の0.9%増(0.2%増から上方修正)を下回り、過去4ヵ月で3回目の減少を示す。
コア資本財は受注と出荷が下振れし、GDPには懸念材料。
耐久財在庫は0.1%減と、前月の0.2%増を下回った。足元の減少トレンドへ回帰しており、過去6ヵ月間で5回目の減少となる。在庫が減少した一方で出荷が増加したため、在庫相当は1.64ヵ月と前月の1.67ヵ月から短縮した。
BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、結果を受け「GDPに反映されるコア資本財の出荷が12月分、上方修正されたとはいえ在庫が弱く上方修正する材料とはならない」と指摘した。その上で、米10-12月期GDP改定値の予想を「0.2%増」で保つ。
▽米2月カンザスシティ連銀製造業景況指数、10ヵ月連続で低下
米2月カンザスシティ連銀製造業景況指数はマイナス12となり、市場予想のマイナス6より悪化した。前月のマイナス9を下回り、2009年4月以来で最低に。12ヵ月連続で分岐点割れをたどる。項目別動向は、以下の通り。雇用の落ち込みが目立ち、平均労働時間も弱含んだ。
・新規受注 マイナス15、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス27、6ヵ月平均はマイナス9
・生産 マイナス8、3ヵ月連続で分岐点割れ=マイナス8、6ヵ月平均はマイナス5
・出荷 マイナス11、3ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス7、6ヵ月平均はマイナス5
・輸出 マイナス6、分岐点割れ<前月は1、6ヵ月平均はマイナス2
・在庫(最終財) マイナス14、10ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス9、6ヵ月平均はマイナス8
・雇用 マイナス20、13ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス7、6ヵ月平均はマイナス11
・平均労働時間 マイナス14、分岐点割れを維持<前月はマイナス7、6ヵ月平均はマイナス7
・仕入れ価格 マイナス11、7ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス14、6ヵ月平均はマイナス9
見通し指数は4となり、前月の5を下回りつつ5ヵ月連続で分岐点を保った。内訳では生産と出荷、新規受注が上向いたほか、仕入れ価格に至っては分岐点乗せを回復した。ただし、雇用が下振れした。
―米1月耐久財受注は見事な切り返しをみせ、1-3月期に企業の設備投資を示す項目のうち機器投資が前期のマイナスからプラス寄与へ転じる期待を膨らみます。ただし、米2月カンザスシティ連銀製造業景況指数をはじめ各連銀が発表する指標は軒並み分岐点割れの状況。弱い数字が続いた後の遠い日の打ち上げ花火のようなもので、すぐにひゅるひゅるとしぼんでしまう可能性もぬぐえません。
(カバー写真:Wired PhotostreamBy: Wired Photostream/Flickr )
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