Russia-Gate Doesn’t Affect Consumer Sentiment Much.
米5月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は97.1と、市場予想の97.5並びに速報値の97.7を下回った。トランプ政権がロシアゲートに揺れるなか速報値から下方修正されたとはいえ、年初来では2000年10月以来の水準を達成した1月の98.5に次ぐ水準。内訳をみると、現況指数が111.7と前月値と変わらなかった112.7から低下し、3ヵ月ぶり低水準。見通し指数87.7と速報値の88.1を下回るも、2004年1月以来の高水準を遂げた1月の90.3に接近した。
原油先物が50ドルを上下する推移で安定するなか、1年先インフレ見通しは速報値通り2.6%と前月の2.5%から上昇した。5~10年先インフレ見通しは過去最低に並んだ速報値の2.3%から2.4%へ上方修正、前月値に並んだ。
ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は、今回の結果を受け「引き続き民主党支持者は景気後退を予想し、共和党は景気拡大を見込むなど乖離は大きい」という。医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案移行への見方の違いのほか、雇用や所得への見通しが異なるため、カーティン氏は個人消費の見通しは前回に続き「2.3%」とし、1月時点の2.7%増はもちろん直近で最低の予想を維持した。
ミシガン大学消費者信頼感、現況指数が引き続き牽引。
・1年先の家計見通し指数 129<速報値は133と直近で最高、前月は131
向上する 41<速報値は44と直近で最高、前月は41
変わらず 44、直近で最低=速報値は44、前月は47
悪化する 12、3ヵ月ぶりの高水準>速報値は11、前月は10と4ヵ月ぶりの低水準
・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は 93<速報値は94、前月は83と直近で最低
所得の伸びが物価を上回る 27<速報値は28、前月は21と3ヵ月ぶりの低水準
所得の伸び率と物価が同じ 38>速報値は37と3ヵ月ぶり低水準、前月は39
所得の伸びが物価を下回る 34=速報値は34、前月は38
・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 50.1%<速報値は51.5%と4ヵ月ぶりの高水準、前月は49.6%
・1年先のビジネス見通し指数 117=速報値は117、前月は120と3ヵ月ぶりの高水準
向上する 40<速報値は41、前月は42と3ヵ月ぶりの高水準
変わらず 36、6ヵ月ぶり高水準>速報値は35、前月は34
悪化する 23<速報値は24、前月は22と3ヵ月ぶり低水準
・米国は向こう1年先も良好な状況を継続する 119、4ヵ月ぶりの高水準>速報値は118、前月は113
良好 53=速報値は53、前月は49
不透明 3=速報値は3、前月は5
困難 34、4ヵ月ぶりの低水準<速報値は35、前月は36
・1年先の失業率見通し指数 105>速報値は103と6ヵ月ぶり低水準、前月は113(低下を見込む場合に上昇)
低下する 30>速報値は29と6ヵ月ぶり低水準、前月は36
変わらず 44、5ヵ月ぶり高水準、=速報値は44、前月は41
上昇する 25<速報値は26、前月は23
・1年先の金利見通し指数 34<速報値は35と3ヵ月ぶりの高水準、前月は28(金利低下を見込む場合指数は上昇)
低下する 7、5ヵ月ぶりの高水準=速報値は7、前月は5
変わらず 18<速報値は19と3ヵ月ぶりの高水準、前月は17
上昇する 73>速報値は72と3ヵ月ぶりの低水準、前月は77と直近で最高
・1年先のガソリン価格 11、直近で最低=速報値は11、前月は13(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
下落する 5<速報値は6、前月は5
変わらず 46>速報値は44、前月は42
上昇する 48<速報値は49、前月は52
・政府が失業率とインフレの両面で十分対応できる 92=速報値は92、前月は90(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
十分対応できる 24<速報値は25、前月は21
普通 41>速報値は39、前月は44
まずい対応にとどまる 32<速報値は33と6ヵ月ぶりの高水準、前月は31
・自動車購入指数 135>速報値は134と直近で最低、前月は152と直近で最高
買い時 65、直近で最低=速報値は65、前月は73と直近で最高
分からない 5>速報値は4と直近で最低、前月は6
買い時ではない 30<速報値は31と直近で最高、前月は21と直近で最低
・住宅購入指数 145>速報値は142と直近で最低、前月は155
買い時 72>速報値は70、直近で最低、前月は76と直近で最高
分からない 1、直近で最低<速報値は2、前月は3と直近で最高
買い時ではない 28、直近で最高>前月は21
・主要機器 164<速報値は169と直近で最高、前月は166
買い時 79<速報値は82と直近で最高、前月は80
分からない 6>速報値は5と4ヵ月ぶり低水準、前月は6
買い時ではない 15>速報値は13、前月は14
――米5月ミシガン大学消費者信頼感指数のポイントは、以下の通りです。
1)米国は向こう1年先も良好な状況を継続する、1年先の失業率見通し指数の回答は上昇
2)1年先の家計見通し指数、所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数、所得が1年先に拡大するとの回答など、家計や所得関連見通しは低下
3)政府が失業率とインフレの両面で十分対応できる、1年先のビジネス見通し指数は横ばい
4)1年先の金利見通し指数は上昇を見込む半面、1年先のガソリン価格は下落を予想、インフレ見通しは1年先が前月から小幅上昇したが、5~10年先は前月と変わらず。
5)購入見通しは自動車と住宅が直近で最低だった速報値から上方修正も、前月から大きく低下。逆に主要機器は速報値において直近で最高だったものの、確報値で下方修正。
こうしてみると家計・所得に関わる項目での低下が目立ち、購入見通しも自動車と住宅と高額商品で前月を下回っていました。その割に失業率が低下する見通しを示すなど、全体的な方向性が見出せません。ミシガン大のカーティン氏が指摘する通り、共和党と民主党の支持者の間で見解が真っ二つに分かれていることが影響しているのでしょう。ともかく、ロシアゲートを抱えるトランプ政権にとって「米国は向こう1年先も良好な状況を継続する」との回答が4ヵ月ぶりの高水準だったことは、心強い。また米国民がトランプ政権の弾劾を望んでいない様子が汲み取れ、民主党の上院議員であるコリー・ブッカー氏(ニュージャージー州選出)が弾劾手続きに消極的であるのも納得です。
(カバー写真:TIME)
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