NFIB Small Business Optimism Rebounds In May.
米5月NFIB中小企業楽観度指数は104.5となり、市場予想と一致した。2004年12月以来の高水準だった1月の105.8以下を続けている。ただし、低下基調を3ヵ月で止めた。なお同指数は、米連邦準備制度理事会（FRB）が公表する労働市場情勢指数（LMCI）に含まれる。
発表元である全米独立企業盟（NFIB）のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、低下の歯止めが掛かったものの「成長が加速する上で必要な設備投資が十分拡大していない」と慎重な見解を寄せた。今回、設備投資をめぐる項目は前月から1ポイント上昇したものの、6ヵ月平均に並び大幅な上昇を遂げていない。
楽観度指数と経済見通し、そろって2004年と2006年以来の高水準から鈍化。
（作成：My Big Apple NY）
内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は2016年11～17年4月に続き10項目だった。今回は「経済がより良くなる」が5ヵ月ぶりに上昇、2016年12月は2002年3月以来の高水準を達成していた。そのほか「設備投資を拡大」、「求人数」、「賃金」、「売上の拡大を予想」などが前月を上回る。一方でマイナス項目では「在庫満足度」、「黒字トレンドにある」はそれぞれ低下した。以下は、項目ごとの変化。
「経済がより良くなる」39％＞前月は38％、6ヵ月平均は45％
「求人件数」34％＞前月は33％、6ヵ月平均は32％
「設備投資を拡大した」28％＞前月は27％、6ヵ月平均は28％
「賃金」28％＞前月は26％、6ヵ月平均は27％
「事業拡大に良いタイミング」23％＜前月は24％、6ヵ月平均は23％
「売上の拡大を予想」22％＞前月は20％、6ヵ月平均は24％
「採用見通し」18％＞前月は16％、6ヵ月平均は17％
「賃上げ見通し」18％＝前月は18％、6ヵ月平均は18％
「販売価格の引き上げ」7％＝前月は7％、6ヵ月平均は6％
「在庫を増加させる」1％＜前月は3％、6ヵ月平均は3％
「信用状況が緩和する」−4％＝前月は−4％、6ヵ月平均は−4％
「在庫満足度」−6％＜前月は−3％、6ヵ月平均は−4％
「黒字トレンドにある」−10％＝前月は−9％、6ヵ月平均は−11％
――米5月NFIB中小企業楽観度指数はトランプ政権誕生を祝うかのように2016年11月の米大統領選挙後に急伸した後、低下を続けていましたが漸く下げ止まりました。ロシアゲートに揺れるなかで、この結果はトランプ政権にとって心強い。米5月雇用統計の減速も補って余りある結果と言えるでしょう。ただし、小売売上高は引き続き軟調で1〜4月における経済指標の鈍化がソフトパッチにとどまるかは疑問が残ります。
▽米5月PPI、前月比・前年比とも力強く改善
米5月生産者物価指数（PPI）は前月比±0％と、市場予想と一致した。2016年6月以来の高水準となった前月の0.5％の上昇から、鈍化している。5月に原油価格が主に50ドル割れで推移したように、エネルギーが押し下げている。PPIコアは前月比0.3％上昇し、市場予想の0.1％を超えた。前月に0.4％上昇し2016年1月以来の伸びだったにも関わらず、高水準を維持している。
内訳をみると、エネルギーが3.0％低下したほかガソリンも11.2％落ち込んだ。食品も0.2％低下し、5ヵ月ぶりの低水準となる。乗用車も0.2％低下したほか宿泊も5.2％の低下と非常に弱い。ただし医薬品が0.6％上昇し足元のレンジを回復、最終需要のサービスが1.1％上昇した。
PPIは前年同月比で2.4％上昇し、市場予想の2.3％を上回った。2012年2月以来の水準へ上振れした前月の2.5％に近い伸びを示し、9ヵ月連続でプラスとなる。コアPPIは市場予想及び前月値の1.9％を上回り、2.1％上昇し2014年5月以来の高水準だった。
PPI、全体は上昇一服もコアがしっかり。
（作成：My Big Apple NY）
――3～4月は消費者物価指数（CPI）を中心に伸び悩みをみせたものの、5月は前年比でコアが力強さを示しました。ただ前月比では引き続き軟調、PCEコアの前月比も0.1％の上昇が続く見通し。インフレ圧力が高まってきたとは言えない状況に変わりないようです。
（カバー写真：Susan Sermoneta/Flickr）
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