CPI, Retail Sales And Virginia Ballpark Shooting Shock The Market.
米連邦公開市場委員会(FOMC)が金融政策を発表する以前に、ドル安の展開を迎えました。
注目の経済指標が2つ、弱含んでしまったためです。
米5月消費者物価指数が前月比0.1%低下し、市場予想の±0%を下回りました。前月の0.2%にも届かず。コアCPIも0.1%の上昇と市場予想の0.2%以下に。前年比でもCPIが1.9%、コアも1.7%とそれぞれ前月の2.0%、1.9%を下回りました。
米5月小売売上高も前月比0.3%減と、市場予想の0.1%増に及ばず。前月の0.4%増をほぼ打ち消しています。自動車を除く場合も市場予想の0.2%増から外れ、0.3%減の体たらく。コントロール小売売上高(燃料、自動車、建築材などを除く)も±0%と、予想以下でした。
おかげで、ドル円は110円台を割り込み一時109.18円までドル安・円高が進んだものです。
衝撃のニュースは、これだけではありません。首都ワシントンD.C.郊外のバージニア州アレクサンドリアの野球場にて、早朝練習していた米下院議員やそのスタッフが銃撃される事件が発生しました。負傷者の1人は米下院院内幹事、下院共和党のナンバー3であるスティーブ・スカリス下院議員(共和党、ルイジアナ州)で、太腿に銃弾を受けてしまったといいます。
トランプ米大統領、早速ツイートでスカリス議員にエールを送りつつ午後の予定を急遽キャンセル。
(出所:Twitter)
議会や警察関係者によると”意図的な犯行(deliberate attack)”で、ロン・デサンティス下院議員がFOXに対し、「犯人が発砲する数分前に共和党か民主党のどちらの議員達か尋ねられ共和党と答えた」と明かしていました。議会警察との応酬で撃たれた犯人は、病院へ搬送後に死亡が確認されたそうです。
その場にいたジェフ・フレーク上院議員(共和党、アリゾナ州)によると「50発というのは過小評価」で、銃乱射の様相でだったといいます。銃撃事件の後にCNNに出演したランド・ポール上院議員(共和党、テキサス州)も、「議会警察がいなければ、虐殺事件と化していただろう」と振り返っていました。なお、現役の議員が銃撃を受けたのは2011年1月にアリゾナ州ツーソンで発生したガブリエル・ギフォーズ議員(当時、アリゾナ州選出、民主党)を狙った事件以来です。
犯人が直前にどちらの党の議員か確認した通り、保守派系議員を狙い撃ちした可能性があります。凶弾に倒れたスカリス下院議員こそ、その一人。2016年5月と、共和党候補が確実視されたとはいえ比較的早い段階でトランプ氏の支持を表明しました。トランプ氏の政策に幅広く賛同し、アリゾナ州とメキシコ国境にほど近い州から選出されただけあって一部イスラム圏からの渡航禁止のほか、原油生産の増加をサポートしています。全米ライフル協会からは”A+”の評価を受けていました。
金先物は、米経済指標と銃撃事件を受けて直近の下落分を相殺する動きに。
(出所:CNBC)
その後の報道によると、犯人はジェームズ・ホッジキンソン(66歳)。イリノイ州在住だった白人男性で不動産査定業を営んでいたものの、査定免許は2016年11月から未更新状態でした。同氏のフェイスブックからは、民主党系バーニー・サンダース上院議員の支持者らしき投稿があったと伝えられています。ただし、犯行動機はNY時間午前11時07分時点で不透明です。
ドル売りに加え金先物が上昇し、米株も売りが入るかと思いきやダウは寄り付きまもなくザラ場での最高値を更新しました。リスク・オフの流れに反するこの動きは、FOMC後も維持できるのでしょうか?
(カバー写真:Peter Heywood/Flickr)
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