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米6月住宅着工件数、改善もQ2GDP押し上げに寄与せず

by • August 1, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1543

Housing Starts Rebound Wasn’t Enough To Contribute To Growth.

米6月住宅着工件数、米7月NAHB住宅市場指数、米6月新築住宅販売件数をおさらいしていきます。

米6月住宅着工件数は年率121.5万件と、市場予想の116.0万件を上回った。前月の112.2万件(109.2万件から上方修正)を8.3%上回り、金利が低下するなか4ヵ月ぶりに増加すると共に4ヵ月ぶり高水準。景気後退以前のレベル回復という快挙を遂げた2016年10月の132.0万件でピークアウト感が漂いつつ、レンジとしては上限を維持している。金利低下し書き入れ時を迎え、前年比では2.1%増と前月の0.3%増を含め2ヵ月連続で増加した。

内訳をみると、一戸建てが前月比6.3%増の84.9万件と前月の2.9%減から改善した。過去6ヵ月間で2回目の増加を示す。複合住宅は6.3%減の36.6万件となり、6ヵ月ぶりに増加に転じた。一戸建ての前年比は10.3%増と10ヵ月連続で増加し、複合住宅は逆に12.9%減と4ヵ月連続で増加した。

住宅着工件数は改善も、リセッション前の平均値は遠い。

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(作成:My Big Apple NY)

4大地域別では、3地域で増加した。複合住宅が集中する北東部が83.7%増の20.5万件と2ヵ月連続で増加したほか、中西部が22.0%増の20.5万件と前月の減少分を相殺。IT産業が集まる西部は1.6%増の31.9万件と3ヵ月連続で増加した。住宅市場の規模が最大の南部のみ、3.6%減の53.3万件と3ヵ月ぶりに減少した。

米6月建設許可件数は125.4万件となり、市場予想の120.1万件を上回った。前月の116.8万件を7.4%上回る。内訳をみると、一戸建てが4.1%増の81.1万件と4ヵ月ぶりに増加に反転。複合住宅は13.9%増の44.3万件と、2ヵ月連続で増加した。

米6月建設中件数は前月比±0%の120.3万件と、件数ベースでは少なくとも2007年12月以来の高水準となった2月の108.0件以下を保つ。一戸建てが0.4%増の46.0万件と3ヵ月連続で増加した一方、複合住宅は0.3%減の61.0万件と4ヵ月連続で減少し一戸建ての伸びを抑えた。

▽米7月NAHB住宅市場指数、2016年11月以来の水準へ低下

米7月NAHB住宅市場指数は64となり、市場予想の67並びに前月の66を下回った。2005年6月以来の高水準に跳ね上がった3月の71に接近から後退を続け、2016年11月以来の低水準。医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案移行が膠着し税制改革、その他ほか規制緩和が遅々として進まず、センチメントを押し下げたようだ。

内訳をみると、一戸建て現況指数が70と前月の72を下回り2016年11月以来の水準へ低下した。一戸建て見通し指数も73と、前月の75に届かず5ヵ月ぶりの低水準。2005年6月以来で最高となった5月の78から後退しつつある。客足の動向を表す見込み客指数は48と、前月の49に届かず5ヵ月ぶりの水準へ落ち込んだ。

前月に反し、見込み客指数が鈍化。

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(作成:My Big Apple NYが作成)

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のグランガー・マクドナルド会長は、結果を受け「建設業者は原材料価格、特に木材での値上がりを懸念し始めており、住宅の値頃感を削ぎ需要に影響する」との見解を寄せた。ロバート・ディエス主席エコノミストも需要に自信を示しつつ、「供給側は価格競争力を維持するためコストを抑制する必要がある」とまとめた。

▽米6月新築住宅販売件数、3ヵ月ぶりに回復も四半期ベースでは減少

米6月新築住宅販売件数は年率61.0万件と、市場予想の61.5万件に届かなかった。金利低下を一因に前月の60.5万件(61.0万件から下方修正)を超えたが、4~6月期平均は597万件と1~3月期の617万件を下回っている。単月の件数では3ヵ月ぶりの水準を回復しつつ、2007年10月以来の水準へ上振れした3月の63.8万件(62.1万件から下方修正)でピークアウト感は拭えない。4大地域別では、2地域で増加。中西部が6.6万件、西部も18.0万件でそれぞれ増加した。一方で北東部は横ばい、南部は減少した。

新築住宅販売件数、4ヵ月ぶりの低水準。

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(作成:My Big Apple NY)

在庫総数は27.2万件と、前月の26.9万件を1.1%上回り11ヵ月連続で増加した。在庫相当は在庫の伸びが販売を上回ったため前月の5.3ヵ月から5.4ヵ月へ延びている。中央価格は31.08万ドルと、過去最高だった前月の33.43万ドルから4.2%下落した。前年比では3.4%下落、過去最高を遂げた2016年9月の水準から遠ざかりつつある。

――住宅着工件数のうち一戸建ての75%が販売向けと勘案されるなか、63.7万件が市場に出回る見通しです。6月の新築住宅販売件数を上回るだけに、需給ひっ迫を解消する可能性が高まります。その半面、成長率の下支え要因としては力不足となる見通し。住宅着工件数は1~3月期の平均値123.8万件から116.4万件へ縮小し、米4~6月期国内総生産(GDP)速報値で住宅投資が3期ぶりに減少していたように弱い内容となりましたが、建設許可件数自体、1月の130万件で頭打ちを示しつつあり力強い回復は期待できそうにありません。新築住宅販売件数もしかりで、4~6月期は鈍化していました。米7月NAHB住宅市場指数も見込み客指数を中心に下振れ気味で、住宅市場の成長寄与余力は限定的となりつつあります。

(カバー写真:Danny Howard/Flickr)

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