Japan’s U.S. Treasury Holding Hits Lowest Since 2011.
2月対米証券投資は、447億ドルの買い越しとなった。前月の1,226億ドルの売り越し(1,197億ドルの買い越しから修正)を含め、2ヵ月連続で流入を示す。海外勢は432億ドルの買い越し。2017年5月以来で最大となる。
期間中、米2月雇用統計の結果を受けインフレ懸念が台頭し、且つ米国の利上げペース加速観測が強まった。さらに米商務省が2月に鉄鋼・アルミ関税措置を提言し貿易摩擦懸念が浮上、米国が保護主義寄りの政策に傾倒するリスクが意識された。米10年債利回りは前月からの流れをたどり、一時2.954%と2015年1月以来の水準へ上昇。利回り上昇が海外投資家の需要を強めたとみられる。一方で、米株安が進行しS&P500は一時10%下落、調整相場入りした。
国別での米国債保有高トップ5動向は、以下の通り。なお1月から5位のみスイスからケイマン諸島へ変わった。
1位 中国 1兆1,177億ドルと4ヵ月ぶりの高水準、買い越し幅は6ヵ月間で最大
2位 日本 1兆595億ドルと2011年12月以来で最低、過去4ヵ月間で3回目の売り越し
3位 アイルランド 3,141億ドルと6ヵ月ぶりに売り越し過去最高だった前月から縮小
4位 ブラジル 2,729億ドルと6ヵ月ぶり高水準、2ヵ月連続で買い越し
5位 ケイマン諸島 2,522億ドルと1年ぶりの高水準、買い越し幅は2015年末以降で最大
トップ5の米国債保有高の推移
――中国が2月に米国債を大幅に買い越したとはいえ、トランプ政権による鉄鋼・アルミ関税措置の発動、301条を根拠とした中国向け輸入品への関税賦課検討の発表はそれぞれ3月です。中国当局者は米国債売却を報復措置に含めないと発言していたようですが、3月に実力行使したのか目が離せません。米国債保有高2位の日本を含め、中国以外の諸外国にも注目。例えば日本の米国債保有高は2月に2011年末以来の低水準でしたが、そもそも税制改革法案成立の下で税源浸食・租税回避防止税(BEAT)が盛り込まれ、海外の銀行など米国支店への送金に課税される方針です。そこへ3ヵ月物LIBORの上昇で、資金調達コストが問題視されるリスクも見逃せません。日本だけではなく、他国でもコスト負担から米国債需要が低下してくるのか、3月の結果で明らかになるでしょう。
ただ米10年債利回りは2月の2.952%をピークに、3月中は2.8%割れまで低下してきました。3%手前では底堅い需要を確認したと言えるでしょう。海外が売り越したとしても、足元で投資信託や年金の需要が底堅いとも考えられます。例えば中国が人民元安の影響で米国債を売却し続けた2016年8~11月にかけ、中国の米国債保有高が8%台から6.6%まで低下した当時、投資信託は9%台から11.2%、年金も14.4%まで引き上げていました。
(作成:My Big Apple NY)
海外の投資家が売り越してくる局面では、米国投資家が買いに期待が高まります。
(カバー写真:woodleywonderworks/Flickr)
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