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米6月求人数は過去最高記録近くも、働き盛りの男性の労働参加率は低水準

by • August 10, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2652

Job Openings Hover Around Historical High, With Low Male Labor Participation Rate.

米労働省が発表した米6 月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は666.2万人と、市場予想の662.5万人を超えた。前月の665.9万人(663.8万人から上方修正)を若干上回り、過去最高記録した4月の684.0万人を視野に入れた水準を保つ。求人数自体は3ヵ月連続で失業者数を上回り、労働市場の一段の逼迫を示した。

求人数VS失業者数、雇用動態調査の3ヵ月連続で求人数に軍配。

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(作成:My Big Apple NY)

新規採用者数は、前月比3.0%増の574.7万人だった。前月の558.1万人(修正値)を超え2ヵ月連続で増加した結果、過去最高を遂げた2001年1月に次ぐ水準に。労働市場の力強さが際立った米6月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)と、整合的だ。

離職者数は前月比1.5%増の550.2万人と、前月から増加に転じた。2001年4月以来の高水準となる。定年や自己都合による離職者は2.2%減の340.2万人と、過去最高を更新した前月を下回る解雇者数は逆に6.5%増の172.3万人となり、2016年9月以降で2番目の低水準となった前月の減少分を打ち消した。

求人率は5月に続き4.3%で、過去最高を塗り替えた4月の4.4%を僅かに下回った。民間が前月通り4.6%と4月の4.7%以下だった半面、政府は前月の2.6%から2.7%へ上昇した。

就業者に対する新規採用率は、前月の3.9%から3.8%へ戻した。民間は過去最高を更新した前月の4.3%から4.2%へ低下。政府は前月に続き、表示されていない。

求人数が減少、新規採用が増加したとはいえ両者の乖離は続く。

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(作成:My Big Apple NY)

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は、前月の3.6%から3.7%へ上昇した。民間が前月の4.0%から4.1%へ上昇したが、政府は2ヵ月連続で表示されず。自発的離職率は前月まで3ヵ月連続で2.3%となる。解雇率は1.2%と前月の1.1%から上昇、2000年12月に統計が開始してから最低となる3月の1.0%以上を保つ。

自発的離職者数は減少したとはいえ過去最高近くを維持、一方で、解雇者数の増加は気掛かり。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、今となっては懐かしいイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中7項目で、3~4月に続き長期失業者の割合と労働参加率が改善できずにいる。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 4.3%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.2%

3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.3%

4)採用率—○
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.8%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 22.4万人増
現時点の3ヵ月平均 21.1万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 3.9%

7)不完全失業率—○
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 7.8%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 22.7%

9)労働参加率—×
2015年9月(最悪時点) 62.3%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.9%

有効求人倍率は新規採用者数が減少したため1.88倍と、2000年以降で最高を記録した2.04倍を下回った。

有効求人倍率は高水準を維持。
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(作成:My Big Apple NY)

――労働市場の逼迫した状況は概して変わらずとはいえ、蓋を開けてみれば労働参加率は引き続き低水準です。ベビーブーマー世代の引退が理由に挙げられがちですが、25~54歳の働き盛りの男性の労働参加率も金融危機以前から程遠い状況なんですよね。

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(作成:My Big Apple NY)

しかも、働く意思を持ちながら非労働人口にとどまる男性の数もなかなかリーマン・ショック前の水準を回復できない状況です。

lpn
(作成:My Big Apple NY)

働き盛りの世代が労働市場に参入していない問題について、教育機会や職業訓練の必要性を問う声が聞かれます。しかし、ITを中心に高度な技術が求められる時代に、それだけで働き盛りの男性が労働市場に復帰するのかは、疑問が残ります。

(カバー写真:skepticalview/Flickr)

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