NFIB Small Business Optimism Unwind The Increase Since 2017 Q4.
米12月NFIB中小企業楽観度指数は104.4となり、市場予想の103.0を下回った。前月の104.8からも小幅ながら低下し、過去最高を更新した8月の108.8から4ヵ月連続で低下。税制改革法案の成立期待が高まった2017年後半からの上昇を打ち消した。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。
トランプ政権は6月から鉄鋼・アルミ関税を欧州連合(EU)、カナダ、メキシコを盛り込み、7月と8月には対中知財関税措置の一部である340億ドルを発動。さらに中国には、2,000億ドルの追加関税対象リストを発表した。ただ7月の米欧首脳会談にて、貿易協議の進行中は新たな関税を導入しない方針で合意し、NAFTA再交渉も3ヵ国で合意。G20首脳会合開催時の米中首脳会談では、対中追加関税措置(2,000億ドル相当の中国輸入品への関税率を10%→25%へ引き上げ)をめぐり90日の協議期間を設けた。1月7日から米中通商協議が再開したが、妥結への道筋は不透明だ。その上、12月ベージュブックで確認されるように、追加関税措置は企業の仕入れや輸出先に影響を与え、設備投資の先送りなどを招きつつある。世界経済の減速懸念も広がり、中小企業センチメントが急激に好転する可能性は依然低いと言えよう。
発表元である全米独立企業盟(NFIB)のジュアニタ・ドゥガン最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「中小企業は売上拡大、サービス提供、プロジェクト完遂などのために、人手が必要」と指摘した。ただ、雇用項目は好調を維持しているため「非金融部門が成長を支えるだろう」と前向きな姿勢を維持した。
内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は9~11月に続き10項目だった。内訳をみると、そのうち、今回上昇した項目は「求人件数」、「賃金」、「採用」、「在庫を増加させる」で、他は全て低下した。特に、前月に続き「経済がより良くなる」が、米大統領選が行われた2016年11月以降の上昇を相殺しただけでなく、順位も10月までの3位、11月の8位から9位に転落している。マイナス項目は、3つのうち「在庫満足度」が改善したものの、「黒字トレンドにある」が下げ幅を広げた。以下は、項目ごとの変化。
「求人件数」39%、過去最高>前月は38%、6ヵ月平均は37%
「賃金引き上げ」35%、3ヵ月ぶり高水準>前月は34%、6ヵ月平均は34%
「設備投資を拡大した」25%、2016年11月以来の低水準<前月は29%、6ヵ月平均は30%
「事業拡大に良いタイミング」24%、2017年10月以来の低水準<前月は29%、6ヵ月平均は30%
「賃上げ見通し」24%<前月は25%と過去最高、6ヵ月平均は23%
「採用見通し」23%>前月は22%、6ヵ月平均は23%
「売上拡大見通し」23%、2017年10月以来の低水準<前月は24%、6ヵ月平均は27%
「販売価格の引き上げ」17%>前月は16%、6ヵ月平均は16%
「経済がより良くなる」16%、2016年11月以来の低水準<前月は22%、6ヵ月平均は29%
「在庫を増加させる」8%、4ヵ月ぶりの高水準>前月は2%、6ヵ月平均は5%
「在庫満足度」−1%>前月は−5%と8ヵ月ぶりの低水準、6ヵ月平均は−3%
「信用状況が緩和する」−6%、4ヵ月ぶりの低水準<前月は−5%、6ヵ月平均は−5%
「黒字トレンドにある」−7%、9ヵ月ぶりの低水準<前月は−4%、6ヵ月平均は−5%
――GDPの6割を担うとされる中小企業のセンチメント、追加関税措置の影響で遂に腰折れ?
(作成:My Big Apple NY)
追加関税措置という打撃に加え米株安、原油安、さらには世界景気減速への懸念が広がり、中小企業のセンチメントは低下を続けています。ただ、米国の景気という側面はパウエルFRB議長が4日に利上げ中断・保有資産の圧縮小休止など柔軟性を示唆するなかで、金利が低下し、ドル高も緩和し、追い風が吹きつつある。懸案は米中通商協議で、緊張が少しでも和らげば、経済見通しを中心に改善の余地を残します。
(カバー写真:wistechcolleges/Flickr)
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