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米4月小売売上高、予想外の減少は税還付が影響?

by • May 19, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off2635

April Retail Sales Fell Unexpectedly, Tax Return Could Be To Blame?

米4月小売売上高は前月比0.2%減と、市場予想の0.2%増に反し減少した。前月の1.7%増(1.6%増から上方修正)から、マイナスに転じた。自動車を除いた場合は0.1%増と、市場予想の0.7%増に届かず。ただ、前月の1.3%増(1.2%増から上方修正)を含め、2ヵ月連続で増加している。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は前月比±0%と、市場予想の0.4%増を下回った。前月の1.1%増(修正値)から横ばいに転じており、敗因としては税制改革法案施行に伴う落とし穴が挙げられよう(後述)。

小売売上高、年初来で2回目の減少。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、主要13カテゴリー中で5項目がプラスとなり前月の12項目から減少した。建築・庭園や電気製品ほか、自動車の落ち込みが著しい。逆に、原油価格の上昇を受けガソリン・スタンドの上昇は顕著だった。その他、スポーツ用品や一般小売が底堅い半面、服飾や電気製品などは弱く裁量消費財はまちまちとなった。項目別の詳細は、以下の通り。

(プラス項目)
・ガソリン・スタンド→1.8%<前月は3.3%増、6ヵ月平均は0.5%減
・外食→0.2%増<前月は1.0%増、6ヵ月平均は0.2%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→0.2%増<前月は0.3%減、6ヵ月平均は0.2%減

・一般小売→0.2%増<前月は0.7%増、6ヵ月平均は0%
(*百貨店は0.7%増<前月は0%、6ヵ月平均は0.5%減)
・食品/飲料→0.2%増<前月は1.5%増、6ヵ月平均は0.2%増

・雑貨→0%増<前月は1.4%増、6ヵ月平均は0.7%減
・家具→0%<前月は1.0%増、6ヵ月平均は0.1%減

(マイナス項目)
・建築材/園芸→1.9%減<前月は0.8%増、6ヵ月平均は0.5%減
・電気製品→1.3%減<前月は1.2%増、6ヵ月平均は0.6%減
・自動車/部品→1.1%減<前月は3.2%増、6ヵ月平均は0.1%増

・服飾→0.2%減<前月は2.1%増、6ヵ月平均は0.2%減
・ヘルスケア→0.2%減<前月は0.6%増、6ヵ月平均は0.4%増
・無店舗(オンライン含む)→0.2%減<前月は1.0%増、6ヵ月平均は0.8%増

――米4月小売売上高が予想外に不振だった背景として、税制改革法案施行後の初の確定申告ならではの理由が潜みます。財務省傘下の内国歳入庁(IRS)は2018年12月、源泉徴収体系の修正版を公表したわけですが、所得税区分の変更によって源泉徴収が十分でなかったケースを生んでしまいました。副業を持つ労働者などに至っては、税還付どころか不足分を支払う羽目に陥った方も少なくなかったといいます。それだけではありません。税制改革法案の主眼は法人税や所得税の減税でしたが、人的控除を終了させると共に概算控除へ統合しました。その他、基礎控除が独身世帯で1.2万ドルから2.4万ドルへ引き上げられた結果、控除項目を申請する必要がなくなったわけです。

こうした事情により、税還付額は前年から増加するどころか下回ってしまいました。

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(作成:My Big Apple NY)

税還付額がアメリカ人の期待を裏切ったため、消費を促進できなかった可能性を残します。問題は、これが一時的要因にとどまるか否か。現時点で米5月ミシガン大学消費者信頼感・速報値は約15年ぶりの高水準という好材料が飛び出したとはいえ、大半はトランプ政権による2,000億ドル相当の中国製品向け追加関税引き上げなど対中強硬姿勢が打ち出す前の回答だっただけに、センチメント通りの大幅な改善は難しそうです。

(カバー写真:Chris Potter/Flickr)

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