Industrial Production Bounces Back, Utilities And Auto Contribute.
米5月鉱工業生産指数は前月比0.4％上昇し、市場予想の0.2％を上回った。2018年5月以降で最大の低下率となった前月の0.4％の低下を、完全に相殺している。5月は新車販売台数が好調だったように自動車関連がけん引し、製造業は前月から改善。製造業は4月までの平均値が0.4％の低下と落ち込んでいたが、5月は年初来で初めての上昇を遂げた。鉱工業生産指数の前年比では2.0％上昇、原油安から回復途上にあった2017年2月以来の低水準である前月の0.9％を上回った。
稼働率は78.1％と、市場予想の78.0％を上回った。2018年2月以降で初めて78％台を割り込んだ前月の77.9％からも改善。ただ、法人税減税やレパトリなどの効果は実施2年目を迎え剥落する上、米中間の貿易摩擦が激化するなか、過去平均の80％台を回復できずにいる。
鉱工業生産の前年比は、2017年2月以来の低水準から改善。稼働率も１年3ヵ月ぶりの低水準から回復。
（出所：My Big Apple NY）
内訳をみると、製造業（全体の75.1％）が前述したように自動車に支えられプラスに転じた。米中通商協議が暗礁に乗り上げ、トランプ政権が2,000憶ドル相当の中国製品への追加関税措置を10％から25％への引き上げを決定、残り約3,000憶ドルにも追加関税を課す方針を打ち出したが、全体的に改善した。自動車以外では電気機器、家具、機械などが上昇をけん引している。一方で、公益（全体の10.4％）はプラスを回復。原油価格が60ドル台を割り込んだものの、鉱業（全体の14.2％）は2カ月連続で上昇した。
■製造業 0.2％の上昇＞前月は0.5％の低下、6ヵ月平均は0.2％の低下
▽耐久財 0.3％の上昇＞前月は0.6％の低下、6ヵ月平均は0.2％の低下
・自動車関連 2.4％の上昇、3ヵ月ぶりに上昇＞前月は0.8％の低下、6ヵ月平均は0.2％の低下
・電子機器 1.6％の上昇、3ヵ月ぶりに上昇＞前月は1.2％の低下、6ヵ月平均は0.3％の低下
・機械 1.1％の上昇＞前月は3.2％の低下、6ヵ月平均は0.8％の低下
・家具関連 0.9％の上昇＞前月は1.0％の上昇、6ヵ月平均は0.2％の低下
・コンピューター／電子部品 0.5％の上昇＞前月は0.4％の上昇、前月は0.1％の上昇、6ヵ月平均は0.7％の上昇
・組立金属 0.1％の低下、4カ月連続で低下＞前月は0.9％の上昇、6ヵ月平均は0.2％の低下
・航空機関連 1.6％の低下、2ヵ月連続で低下＜前月は1.2％の低下、6ヵ月平均は0.1％の低下
・一次金属 1.9％の低下＜前月は0.9％の上昇、6ヵ月平均は0.8％の低下
▽非耐久財 0.1％の上昇＞前月は0.4％の低下、6ヵ月平均は0.1％の低下
・プラスチック/ゴム 1.6％の上昇、4カ月ぶりに上昇＞前月は1.6％の低下、6ヵ月平均は0.2％の低下
・化学品 0.5％の上昇＞前月は0.1％の低下、6ヵ月平均は0.1％の低下
・食品/飲料/タバコ 0.5％の低下、2カ月連続で低下」＞前月は0.7％の上昇、6ヵ月平均は0.1％の低下
・石油製品 0.6％の低下、2カ月連続で低下＜前月は0.1％の低下、6ヵ月平均は0.2％の低下
・繊維 0.8％の低下＞前月は1.7％の上昇、6ヵ月平均は0.4％の低下
・服飾 1.4％の低下、3ヵ月ぶりに低下＜前月は1.1％の上昇、6ヵ月平均は1.3％の低下
■公益 2.1％の上昇＞前月は3.1％の低下、6ヵ月平均は0.8％の低下
・電力 2.1％の上昇＞前月は3.1％の低下、6ヵ月平均は0.4％の低下
・天然ガス 2.1％の上昇＞前月は3.4％の低下、6ヵ月平均は横ばい
■鉱業 0.1％の上昇＜前月は2.2％の上昇、6ヵ月平均は0.4％の上昇
――米5月鉱工業生産指数は、公益が大幅反発したため前月のマイナスから改善しました。とはいえ、一部の製造業で1～3月期からの低迷脱却の兆しをみせています。今回の結果を受け、JPモルガン・チェースのエコノミスト・チームは、米4～6月期実質GDP成長率見通しを前期比年率1.0％増から同1.75％増へ上方修正しました。今回の鉱工業生産指数の回復が本物か否か、見極める上で6月の数字が待たれます。
（カバー写真：Thomas Hawk/Flickr）
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