Trade War Finally Drags Down Consumer Confidence To 2-year Low.
米6月消費者信頼感指数は121.5となり、市場予想の131.0を下回った。前月の131.3(134.1から下方修正)にも届かず、2017年9月以来の低水準。2018年10月にはITバブル真っ盛りの2000年9月以来となる高水準を達成したが、対中追加関税措置の影響もあってピークアウトしたと考えられよう。内訳をみると、現況指数が162.5と前月の170.7(175.2から下方修正)を下回り、ちょうど1年ぶりの水準へ低下。見通し指数も94.1と、前月の105.0(修正値)から大幅に落ち込み、トランプ氏の大統領選出が決定した2016年11月以降で2番目の低水準だった。
期間中、トランプ大統領が中国製品2,000憶ドル相当の追加関税の税率を10%から25%へ引き上げ、残り約3,000憶ドル相当への対中製品にも同様の措置を講じると発言した。一時は、不法移民規制強化を狙った対メキシコ制裁関税に踏み切るリスクも浮上(6月7日に無期限で見送り決定、45日後に評価)。さらに米国の対イラン制裁猶予期間が5月に失効し、米軍の偵察ドローンが6月20日にイラン上空で爆破されるなど、両国間での緊張も高まった。通商政策の不確実性の台頭を受け、パウエルFRB議長は6月4日に利下げを示唆、FOMCもそれに倣った結果、ダウ平均は5月31日につけた約4ヵ月ぶりの安値から過去最高値に迫る動きに入り、米10年債利回りも一時2016年10月以来の2%を割り込んだ。
発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ・シニア経済指標ディレクターは、結果を受け「2ヵ月連続で上昇した後、現況指数が押し下げ2017年9月以来の水準へ低下した」と振り返った。見通し指数も下振れしており「通商政策の激化が消費者信頼感に打撃を与えた」と指摘。足元、依然として高水準を維持するものの「不確実性が(センチメントの)さらなる低下を招き、拡大期の上昇を打ち消しかねない」と悲観的な見解を寄せた。
消費者信頼感指数、現況指数が押し下げ1年9ヵ月ぶりの水準へ低下。
現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは27.6%と、前月の33.5%(修正値)から低下し、ちょうど1年ぶりの水準へ後退した。2001年1月以来で最高となった2018年11月(34.5)から、遠ざかっている。以下は、結果の詳細。
ビジネス環境については、「良い」と「悪い」が低下
「良い」36.7%→前月の38.4%から低下、前年同月は37.2%
「悪い」10.9%→前月の11.7%から低下、前年同月は11.5%
「普通」52.4%→前月の49.9%から上昇、前年同月は51.3%
雇用については職が「豊富」と「困難」が上昇し、「あまり豊富でない」が低下、「豊富」から「あまり豊富でない」を差し引いたDIは、5ヵ月連続でプラスとなる
「職が豊富」44.0%→前月の45.3%から低下、前年同月は37.2%
「あまり職が豊富ではない」39.6%→前月の42.9%から低下、前年同月は44.5%
「職探しが困難」16.4%→前月の11.8%から上昇、前年同月は15.1%
6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が低下し前年同月以下に振れしたほか、「悪化する」が5ヵ月ぶりの水準へ上昇
「良くなる」18.1%→前月の21.4%から低下、前年同月は20.7%
「悪化する」13.1%→前月の8.8%から上昇、前年同月は9.3%
「変わらず」68.8%→前月の69.8%から低下、前年同月は70.0%
6ヵ月先の雇用への見方は「職が増加した」が低下し3ヵ月連続で前年同月以下に下振れしたほか、「減少」が増加に転じたものの、「増加」は5ヵ月連続で「減少」を下回る
「職が増加する」17.3%→前月の18.4%から低下、前年同月は20.0%
「職が減少する」14.8%→前月の13.0%から上昇、前年同月は13.1%
「変わらず」68.8%→前月の69.8%から低下、前年同月は70.0%
6ヵ月先の所得への見方は「増加」が低下し前年同月以下に下振れしたほか、「減少」は2ヵ月連続で上昇
「増加する」19.1%→前月の22.2%から低下、前年同月は19.7%
「減少する」8.0%→前月の7.6%から上昇、前年同月は7.9%
「変わらず」72.9%→前月の70.0%から上昇、前年同月は72.4%
購入見通しは、住宅以外で低下した。住宅は、金利低下を背景に2ヵ月連続で上昇し6.8%となる。一方で、自動車は11.3%と2018年7月以来の低水準。家電は46.6%と前月の52.6%を下回り、2015年1月以来の低水準となった。
購入見通しは、自動車と家電が下振れ。
所得層別では、3.5万ドル以下と7.5万~9.9万ドルで上昇した半面、10万ドル以上を軸に中・高所得者層で下振れした。
年齢別では、全ての年齢層で低下した。35歳未満が2016年5月以来の水準へ急低下したほか、35~54歳が3ヵ月ぶり、55歳以上が2017年12月以来のレベルへ落ち込んだ。
――米6月消費者信頼感指数は、メキシコに追加関税措置が及ぶリスクや米中間の貿易摩擦激化などを背景に大きく低下しました。パウエルFRB議長の利下げ示唆は期間中に反映されたと考えられ、株価が戻りをみせ資産効果が期待されたにも関わらず、ご覧の結果です。米5月ISM製造業景況指数など製造業並びに供給側関連の経済指標と比較して、個人の信頼感は安定的でしたが、遂に下振れの時を迎えたのか。家計のバランスシートは比較的健全とはいえ、その裏返しとして支出には慎重さがみられるだけに、不確実性が高まる局面では財布の紐を一段と締めてくる余地を残します。
(カバー写真:Susan Sermoneta/Flickr)
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