U.S. Q1 GDP Growth Unrevised, Stronger Capex Offsets Weaker Consumer Spending.
米1~3月期の実質国内総生産(GDP)成長率・確報値は、前期比年率3.1%増と改定値と一致した。市場予想並びに速報値の3.2%増を下回っている。前年同期比は3.2%増、2015年4〜6月期以来の高水準だった。
GDPの7割を占める個人消費が前期比年率0.9%増と、市場予想と改定値の1.3%増を下回った。GDPへの寄与度は0.62%ポイントと、改定値(0.90%ポイント)と前期(1.66%ポイント)に届かず、1年ぶりの低水準だった。
▽個人消費の内訳
・耐久財 2.4%減<改定値は4.6%減、前期は3.6%増
・非耐久財 2.3%増>改定値は2.0%増、前期は2.1%増
・サービス 1.0%増、1年ぶり低水準<改定値は2.1%増、前期は2.4%増
民間投資は、上方修正が優勢。民間投資全体の寄与度は改定値の0.78%ポイントから1.08%ポイントへ上方修正され、前期の0.66%ポイントも上回った。企業の設備投資に含まれる構築物投資や無形資産を軸に上方修正された。住宅投資も、マイナス幅を縮小させている。ただし、在庫投資が引き続き成長を押し上げつつ、寄与度は0.55%ポイントと改定値の0.60%ポイントから下方修正された。
▽民間投資の内訳
・民間投資 6.0%増、3期連続で増加>改定値は4.3%増、前期は3.7%増
・固定資本形成 1.0%増、2016年1~3月期からの増加トレンドで最低=改定値は1.0%増、前期は3.1%増
・非住宅固定投資(企業の設備投資) 2.3%増、2017年1~3月からの増加トレンドで最低=改定値は2.3%増、前期は5.4%増
>構築物投資 4.3%増、3期ぶりに増加>改定値は1.7%増、前期は3.9%減
>機器投資 1.0%減、3年ぶりのマイナス=改定値は1.0%減、前期は6.6%増
>無形資産 12.0%増、1年ぶりの高水準>改定値は7.2%増、前期は10.7%増
・住宅投資 2.0%減、4期連続で減少>改定値は3.5%減、前期は4.7%減
・在庫投資 1,228憶ドル、2015年4~6月期以来で最大<改定値は1,255億ドル、前期は968億ドル
純輸出の寄与度は、速報値と同じく3期ぶりにプラスだった。政府支出の寄与度は、一部閉鎖に見舞われた連邦政府はマイナスだったが、州・地方政府が支えプラスへ戻した。
1~3月期の成長率・確報値、個人消費は下方修正も企業支出は上方修正が優勢。
▽純輸出
・純輸出の寄与度 0.94%ポイント、3期ぶりのプラス<改定値は0.96%ポイント、前期は0.08%ポイントのマイナス
▽政府支出
・政府支出 2.8%増、2016年1~3月期以来の高水準>改定値は2.5%増、前期は0.4%減
・連邦政府 横ばい(防衛支出が4.0%増、非防衛財は5.8%減)>改定値は0.1%減、前期は1.1%増
・州/地方政府 4.6%増、2016年1~3月期以来の高水準>改定値は4.0%増、前期は1.3%減
GDP価格指数は0.9%上昇し、市場予想と改定値の0.8%を上回った。速報値の水準を回復している。コアPCEデフレーターは1.2%上昇、市場予想と改定値の1.0%を超えたとはいえ、速報値の1.3%以下に。FOMCのインフレ目標値「2%」から遠ざかり、インフレ鈍化の状況を確認した。
企業利益は、税引き前・在庫品評価調整・減価償却済みベースで前期比年率2.6%減だった。税引き前・在庫品評価調整ベースでは同0.5%減となる。2期連続での減益は、原油安が響いた2015年以来となった。最も寄与したのは小売・卸売で、続いて海外、金融となる。その半面、その他非金融のほか、輸送・倉庫、製造業が企業利益を押し下げた。
――米1~3月期実質GDP成長率・確報値は、個人消費や純輸出が下方修正されたものの、企業支出や政府支出が上方修正され、改定値と変わらずでした。個人消費は米5月小売売上高こそ回復の兆しを見せたものの、米6月消費者信頼感指数は下振れしており、良好なペースを維持できるかは微妙な情勢。また、米5月ISM製造業景況指数が下振れしただけでなく、5地区連銀の製造業景況指数も全て低下しました。
米4~6月期決算発表でも、多くの企業が見通しを下方修正しており、引き続き企業の設備投資には伸び悩むリスクが横たわります。
(カバー写真:Muhammad Ashiq/Flickr)
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