Consumer Confidence Marginally Decline As US-China Trade Tension Heightens.
米8月消費者信頼感指数は135.1となり、市場予想の129を上回った。前月の135.8(135.7から上方修正)から若干低下したが、約1年ぶりの高水準近くを保つ。2018年10月にITバブル真っ盛りの2000年9月以来となる高水準近くを達成した後、対中追加関税措置の影響もあってピークアウトした感がある。とはいえ、トランプ政権が8月1日に残り約3,000億ドルの対中追加関税を発動する意思を表明した割に、堅調に推移していると言えよう。内訳をみると、現況指数が177.2と前月の170.9を超え、2000年11月以来の高水準を達成。一方で、期待指数は107.2と2000年9月以降で4番目の高水準とである前月の112.4(112.2から上方修正)から低下した。
外部環境として、7月30~31日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米国が2008年12月以来の利下げを決定、米金利が低下し消費者マインドを支えた。通商面では、5月にトランプ大統領が中国製品2,000憶ドル相当の追加関税の税率を10%から25%へ引き上げた後、残り約3,000憶ドル相当への対中製品にも同様の措置を講じる(第4弾)と発言、6月は米中首脳会談で少なくとも第4弾が棚上げにされた。米中通商協議再開で合意したこともあり一部では安心感が漂ったが、8月1日にトランプ大統領はこれを撤回、9月1日から発動する意思を表明した。8月23日には、中国が約700億ドルの米国製品に5~10%の追加関税措置を発表、米国も第4弾までの追加関税措置の税率を引き上げ、貿易戦争は苛烈さを増す。
発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ・シニア経済指標ディレクターは、結果を受け「消費者信頼感指数は前月とほぼ変わらず、期待指数が低下したとはいえ高水準を保つ」と指摘。消費者の高い支出意欲を示唆するとの見解を寄せつつ、その他の経済指標が米中貿易戦争を受けて弱まる通り「消費者の短期的楽観度が後退する可能性がある」とも付け加えた。
消費者信頼感指数、現況は2000年11月以来の高水準、期待指数は小幅低下も高止まり。
現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは39.4%と、前月の33.1%(修正値)を上回り、2000年11月以来の高水準を遂げた。以下は、結果の詳細。
ビジネス環境については、「良い」が上昇し「悪い」が低下
「良い」42.0%→前月の39.9%から上昇、前年同月は40.5%
「悪い」9.8%→前月の11.2%から低下、前年同月は9.3%
「普通」48.2%→前月の48.9%から低下、前年同月は50.2%
雇用については職が「豊富」と「あまり豊富でない」が上昇、「困難」が低下した。「豊富」から「あまり豊富でない」を差し引いたDIは、6ヵ月連続でプラスとなる。
「職が豊富」51.2%→前月の45.6%から上昇、前年同月は40.5%
「あまり職が豊富ではない」37.0%→前月の41.9%から低下、前年同月は45.6%
「職探しが困難」11.8%→前月の12.5%から低下、前年同月は12.1%
6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が低下し、「変わらず」と「悪化する」が上昇。
「良くなる」21.9%→前月の24.0%から低下、前年同月は24.4%
「悪化する」10.0%→前月の8.4%から上昇、前年同月は9.9%
「変わらず」68.1%→前月の67.6%から上昇、前年同月は65.7%
6ヵ月先の雇用への見方は「職が増加した」が低下し5ヵ月連続で前年同月以下に下振れし、「減少」は上昇したものの「増加」は6ヵ月連続で「減少」を上回る。
「職が増加する」19.7%→前月の19.9%から低下、前年同月は21.5%
「職が減少する」13.6%→前月の11.1%から上昇、前年同月は13.2%
「変わらず」66.7%→前月の69.0%から低下、前年同月は65.3%
6ヵ月先の所得への見方は「増加」と「減少」が低下、「変わらず」が上昇。
「増加する」23.8%→前月の24.9%から低下、前年同月は25.4%
「減少する」5.8%→前月の6.6%から低下、前年同月は6.9%
「変わらず」70.4%→前月の68.5%から上昇、前年同月は67.7%
購入見通しは、自動車以外が低下。自動車は13.3%と、前月の12.5%を上回り3ヵ月ぶりの水準へ上昇した。一方で、住宅は金利が低下しているものの4ヵ月ぶりに下向き6.0%と、2017年12月以来の高水準だった前月の7.4%を下回った。家電も51.6%と、52.4%から低下した。
購入見通しの3ヵ月平均は自動車が低下したものの、住宅と家電は堅調。
(作成:My Big Apple NY)
所得層別では、まちまち。1.5万ドル以下、2.5万~3.49万ドル、5万ドル以上は低下したが、1.5万~2.49万ドル、3.5万~4.99万ドルは上昇した。5万ドル以上は、12.5万ドル以上を除き低下した。
年齢別では、若い世代で上昇。特に35歳未満が150.3と前月から9.6ポイントも上向き、統計を開始した1980年以降で最高となった。35~54歳は逆に136.5と、2018年10月以来の高水準だった142.5から6.0ポイント低下。55歳以上は127.8と、前月と変わらなかった。
――米8月消費者信頼感指数は、米中貿易戦争の激化でも力強い労働市場を背景に高水準を維持しました。米株が8月に入り、追加関税措置第4弾の発動を嫌気して米株が急落し資産効果が低減したにも関わらず、高止まりしている点はGDPの約7割を占める個人消費見通しに心強い内容です。ISM製造業景況指数など企業のセンチメントと一線を画しておりますが、このまま力強さを保つのか消費者の底力が試されます。
(カバー写真:Chris & Karen Highland/Flickr)
Comments
米6月住宅価格、上昇率は一段と鈍化し購入予定者に朗報 Next Post:
外国人の米住宅販売件数、金融危機後の最低を更新