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一般教書演説2020:トランプ大統領と共和党、一枚岩が鮮明に

by • February 5, 2020 • Latest News, NY TipsComments Off2794

SOTU Speech Shows Stronger Bonding Between POTUS And GOP.

トランプ大統領による3回目の一般演説が4日、行われました。今回のテーマは「偉大な米国の復活」。1999年のクリントン大統領(当時)以来、史上2回目となる弾劾裁判中の一般教書演説で、トランプ氏は再選を狙うべく自身の功績を列挙しています。一覧は、以下の通り。

(経済)

700万人の雇用を創出
失業率は約50年ぶりの低水準
・2016年の米大統領選後、米株は70%上昇し、時価総額は12兆ドル拡大した
・規制撤廃により、米国はエネルギー自給国となった
・子供への税額控除拡大により、400万世帯で平均2,200ドルの所得増に。
・ブッシュ(息子)、オバマ政権では工場が約6万件減少も、米国製造業の復活を受け現政権で工場軒数は約1.2万件増加

米国の工場軒数、連邦政府と州・地方政府を除き民間のみで、この数字。

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(作成:My Big Apple NY)

(貿易)

・最も大きな公約の一つは北米自由貿易協定(NAFTA)見直しと新協定への移行で、NAFTA発効後4件に1件の製造業職が奪われたが、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)への移行により、高賃金の自動車関連職が10万件近く創出される見通し
中国が米国から大量の職を奪ってきたため追加関税で対応すると公約したが、画期的な貿易協定を締結した結果、雇用を守り知的財産権を保護し、米国債に何十億ドルの資金流入を招き、米国で生産する製品にとって新たな市場の開拓につながった。

(ヘルスケア)

・FDAの新薬承認プロセスがかつてない速さで進んでいる
51年間で初めて、処方箋薬の価格が下落した

今回、議会に協力を要請した政策は主に以下の9件となります。

インフラ再建、高速道路、橋、トンネルなどへの投資を盛り込んだバラッソ上院議員提出の法案可決
教育の自由と奨学金の機会を与える法案(Education Freedom Scholarships and Opportunities Act)の可決
高校での職業訓練の導入に対する予算確保
薬価引き下げへの取り組み(トランプ大統領の要請を受け、民主党が同党が提出した法案名”HR3”と叫ぶ)
新生児患者向け研究開発予算として5,000万ドル要請
妊娠後期の中絶禁止法案の可決
育休制度法案(Advancing Support for Working Families Act)の可決
アルテミス計画(NASAの月面着陸計画)の予算確保
聖域都市被害者保護法の可決

議会への協力要請が2019年の6件(壁の建設費用確保など国境警備の強化、互恵的な貿易協定の批准、薬価引き下げ、HIV対応策、小児ガン向け治療研究開発費5億ドル確保、妊娠後期での中絶禁止)を上回ったのは、やはり再選が掛かっているためでしょう。意外にも、中間層向け減税は盛り込みませんでした。中間層=middle incomeという言葉すら、登場していません。

一般教書演説の様子をみていると、トランプ大統領共和党との関係が強固な一枚岩であることも伺えます。違法移民への規制強化を始め妊娠後期の中絶の禁止、修正第2条の遵守、薬価引き下げ、インフラ整備など、共和党の政策に沿った要請です。議会選や再選を意識した保守派層への訴求戦略でもあり、両者の思惑が一致しているのでしょう。2016年の米大統領選でのいがみ合いが嘘のよう。当時は、7月の共和党大会で指名争いで混乱が予想され、ブローカー・コンベンションの噂すら浮上していました。

トランプ氏の一般教書演説(2017年は1期目なので除く)で、今回の拍手回数は最多で132回。共和党との蜜月関係、深化の証左と言えるでしょう。

sotu28
(作成:My Big Apple NY)

全米で深刻な問題と化すオピオイドも取り上げることも、忘れません。トランプ氏いわく、薬物中毒死が過去30年間で初めて低下し、オハイオ州で22%減ペンシルベニア州で18%減ウィスコンシン州で10%減になったと指摘しました。トランプ氏は大統領に着任早々の2017年3月にオピオイド中毒対策の大統領令を発動していましたから、自画自賛ですね。

全米での薬物中毒死亡者数は2018年に前年比4.1%減の6万7,367人

sotu26
(作成:My Big Apple NY)

上記の3州は、2016年の米大統領選でトランプ氏勝利につなげた6州の一角ですよね。全てラストベルトにあたるため、再選へ向けたアピールのひとつだったに違いありません。しかも、仮に民主党の正式候補としてインディアナ州サウスベンド市長のブティジェッジ氏が選出されれば同氏は周辺州出身ですから地元バイアスが掛かり、無党派層の奪い合いが熾烈となりかねませんから。

(カバー写真:The White House

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