Coronavirus Outbreak Could Be A Catastrophe For The Poor.
遅ればせながら、米4月雇用統計に関して追記です。
〇業種別、生産労働者・非管理職部門の平均時給
生産労働者・非管理職部門の平均時給は前年同月比7.7%上昇となった。民間サービスが8.8%上昇の25.10ドルとなったほか、その他サービスが同8.6%上昇の23.10ドル、専門サービスが同8.0%上昇の29.73ドルと支えた。一方で、外出禁止措置が響きこれまで上昇を牽引していた娯楽・宿泊は同2.3%上昇の14.71ドルにとどまった。在宅勤務や工場閉鎖を受け、財部門は同2.6%程度の上昇に。建設が同1.0%上昇の28.74ドル、製造業も3.6%上昇の22.76ドルとサービス業より伸び悩んだ。
チャート:業種別、前年比の平均時給、チャート内の数字は平均時給額
生産労働者・非管理職部門の平均時給、前月比では建設の平均時給が下落したほか、需要後退を反映し娯楽・宿泊が0.5%上昇する程度にとどまった。一方で、巣ごもり需要が期待された小売は3.6%上昇と、比較的強い伸びとなり、専門サービス(4.4%)やその他サービス(5.4%)が上昇を牽引した。
チャート:業種別、前月比の平均時給、チャート内の数字は上昇率
〇労働参加率
働き盛りの男性(25~54歳)の労働参加率でも低下した。全米の男性は季節調整済み、白人は季節調整前の数字で以下の通り。そろって急低下し、統計データ取得可能期間で最低を更新した。
・25~54歳 86.4%、1948年以降で最低<前月は89.0%と7ヵ月ぶり低水準、6ヵ月平均は88.8%
・25~54歳(白人) 87.9%、1954年以降で最低<前月は90.3%と4ヵ月ぶり低水準、6ヵ月平均は87.9%
・25~34歳 85.4%、1948年以降で最低<前月は88.7%と8ヵ月ぶり低水準、6ヵ月平均は85.4%
・25~34歳(白人) 87.3%、1954年以降で最低<前月は90.4%と6ヵ月ぶり低水準、6ヵ月平均は90.1%
チャート:働き盛りの男性、労働参加率
〇非労働力人口
非労働力人口に属し現在職を探していないものの「今すぐ仕事が欲しい」と回答した人々の数は前月比で約2倍増の990万人(男性は479万人、女性は512万人)。新型コロナウイルス感染拡大を背景に職探しを断念した潜在労働者が多いことが分かる。
チャート:就職を望む非労働力人口
〇人種別の失業率、労働参加率
人種別の失業率は、ヒスパニック系を中心に急伸し、そろってデータ集計開始以来の最悪を記録した。
・白人 14.2%>前月は4.0%、6ヵ月平均は4.9%
・黒人 16.7%>前月は6.7%、6ヵ月平均は7.5%
・ヒスパニック 18.9%>前月は6.0%、6ヵ月平均は6.6%
・アジア系 14.5%>前月は4.1%、6ヵ月平均は5.3%
・全米 14.7%>前月は4.4%、6ヵ月平均は5.3%
チャート:人種別の失業率
人種別の労働参加率は、黒人とヒスパニックでの落ち込みが目立つ。それぞれ、失業率と同様に取得可能なデータ範囲内で最悪となった。
・白人 60.3%<前月は62.7%、6ヵ月平均は62.8%
・黒人 58.6%<前月は62.0%、6ヵ月平均は62.0%
・ヒスパニック 63.3%<前月は67.1%、6ヵ月平均は66.9%
・アジア系 60.7%<前月は63.8%、6ヵ月平均は62.8%
・全米 60.2%<前月は62.6%、6ヵ月平均は62.8%
〇学歴別の失業率、労働参加率
学歴別の失業率はそろって上昇したが、専門スキルが高い学歴ほど低水準にとどまった。ただし、全米以外そろって入手可能なデータ範囲内で最悪となる。
・中卒以下 21.2%>前月は6.8%、6ヵ月平均は8.3%
・高卒 17.3%>前月は4.4%、6ヵ月平均は6.1%
・大卒以上 8.4%>前月は2.5%、6ヵ月平均は3.1%
・大学院卒以上 6.7%>前月は2.5%、6ヵ月平均は2.8%
・全米 14.7%>前月は4.4%、6ヵ月平均は5.5%
チャート:学齢別の失業率
学歴別の労働参加率は、専門スキルが高い学歴ほど低下幅は抑えられた。ただし、そろって全米以外入手可能な1992年以降のデータ範囲内で最悪となる。
・中卒以下 42.8%<前月は45.7%、6ヵ月平均は45.9%
・高卒 54.6%>前月は57.4%、6ヵ月平均は57.6%
・大卒以上 71.6%>前月は73.0%、6ヵ月平均は73.2%
・全米 60.2%、1973年以来の低水準>前月は62.7%、6ヵ月平均は62.7%
――今回、就職を希望する非労働力人口が記録的に増加しており、新型コロナウイルス感染拡大の環境から労働市場から退場した人々がいかに多いかを物語ります。全米で段階的な再開が進んでいますが、彼らが労働市場に戻れる環境まで回復しない限り、個人消費の力強い改善は見込みづらいほか、貧困率の上昇につながりかねません。
低賃金職の娯楽・宿泊のうち、レストランを含む食品サービスが雇用減の全体の4分の1を占めたように、学歴別では高卒以下の失業率と労働市場の悪化が顕著となりました。足元、NY市がタブレットなど電子デバイスを配布するなど学校ではオンライン教育が進んでいるとはいえ、世帯の所得格差が子供の学力に影響を与えかねず。学歴で失業率水準に大きな違いが現れており、コロナ禍による一段の格差拡大が懸念されます。
(カバー写真:byronv/Flickr)
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