Living With The Parent(s) Could Be One Of The Examples Of “New Normal” During The Pandemic.
コロナ禍の新常態のひとつは「都市圏から郊外への脱出」ですが、他にも見逃せない変化がございます。
それは、親と同居する若者の増加です。
ピュー・リサーチ・センターによると、7月時点で親と同居する若者(18~29歳)は約2,660万人と、感染者が急増する直前の2月から260万人増加していました。親と同居する若者の割合は52%に達し、金融危機の水準はもちろん、世界恐慌直後の1930年を超え過去最多となります。
チャート:1940年の48%を超え、過去最多に
2019年から親と同居する若者の割合は上昇傾向にあったものの、コロナ禍でレストランなど対面サービスを提供る仕事が急減したため、親と同居する若者の割合を押し上げたとみられます。NY市やサンフランシスコ市などで家賃が急落した一因に、ルームシェアしていた若者達による契約解除が挙げられていました。
チャート:コロナ禍で経済活動が停止した2020年3月に親との同居率が上昇
若者が親と同居することで、米経済にどのような影響を与えるのでしょうか?バロンズ誌が指摘するように①高齢者の間で引退の備えが減少するリスク、②生活必需品や一般消費財などの売上減少、③賃貸市場の縮小――が考えられます。その一方で、若い働き手を家庭にもつことでリフォーム需要が増し、郊外を中心に働き手が増加するといった利点もあるのではないでしょうか。
過去に親との同居率が上昇した時、成長率がどう変化したか振り返ってみましょう。1940年に48%とこれまでの過去最多を記録した当時、1940年以前の過去10年の平均成長率は1.3%増でしたが、1940年以降の10年間の平均成長率は6.3%増と高記録を叩き出しました。2010年以前の過去10年間の平均成長率は1.8%増でしたが、2010年以降の2019年までの平均成長率は2.3%増へ改善しています。
景気回復と共に親元を離れる若者が増えれば、需要が再び拡大基調へ戻る公算が大きい。コロナ禍でこれまでの方程式が維持できるか不透明ではありますが、必ずしもバッドニュースとは言えないのではないでしょうか。何より、病院へ連れて行ってくれる子供が傍にいるというのは心強いもので、平均寿命を押し上げる可能性も残します。
(カバー写真:Sam Frederick/Flickr)
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