Biden Aims To Pass The Infrastructure Plan Designed To Create Jobs And Fight Climate Change.
ホワイトハウスは3月26日、気候変動サミットをオンラインで開催すると正式に発表、同時に中ロを含めた招待リストを公表しました。リストは、国・地域名のアルファベット順になります。
気候変動サミットの前に、バイデン政権は積極外交で対中包囲網の構築にいそしみました。
追加経済対策が成立する過程で、外交で得点を稼ぐ余裕ができたのでしょう。
・3月12日、日米豪印首脳がテレビ会議方式で会談
→新型コロナウイルスのワクチンを始め、次世代の通信規格など重要・新興技術、気候変動の3つの分野で、それぞれ作業部会を立ち上げることで一致。
・3月16~17日、日米2プラス2開催
→共同文書で中国を初めて名指しし批判、海警法など中国の軍備増強を懸念(米韓2プラス2では名指しを控える)
・3月18~19日、米中外交トップ会談(アラスカ会議)
→安保や人権などをめぐる激しい応酬が話題に。新華社が気候変動対策で共同作業グループ設置を報じるも、米国務省報道官は否定
・3月22日、米欧英加、対ウイグル制裁を発動
→米英加が共同声明を発表、EUは22日に制裁発動、豪NZも23日にこれを支持する声明を発表
気候変動をめぐっては、両国に協力の余地がある分野とされてきました。しかし、中国は温室ガス効果ガス排出量1位の国であるだけに、中国の参加を取り付けただけでは米国民に納得してもらえるはずがありません。
チャート;コロナ禍という事情も重なり、対中好感度は過去最悪
その上では、気候変動サミット開催前に対中包囲網を打ち立て、同問題で中国に譲歩しない姿勢を国内外に示す必要があったとみられます。
ひとまず、対中包囲網の枠組み作りは成功したとみられるバイデン政権、3月31日には大型インフラ投資計画をペンシルベニア州ピッツバーグで発表します。
ホワイトハウスが事前に発表した2兆ドルのインフラ計画「米国雇用計画(The American Jobs Plan)」の柱は、以下の通り。その名の通り、インフラ計画を通じ雇用の創出を狙うほか、気候変動対策を織り交ぜています。
気になる財源として、バイデン政権は法人税引き上げ(21%→28%)、多国籍企業に対するグローバル・ミニマム税(租税回避地に利益を滞留させることを防ぐ狙い、21%)の導入などを盛り込みました。こちらは、選挙公約通りです。
バイデン政権は気候変動対策と雇用対策を合わせたインフラ計画発表に合わせ、週内に2022年度(22年9月末まで)の予算教書のうち、裁量的支出の部分も発表すると報じられています。
インフラ計画と予算教書の一部発表は、未だ行われていない一般教書演説、上下院両院合同会議での演説を控えた地ならしと言えるでしょう。
そもそも中間選挙を控え、2022年度に追加経済対策として、インフラ計画+気候変動対策+雇用対策を是が非でも成立させたいはずです。民主党の1期目の大統領は1893年に就任したクリーブランド氏以降、必ず1期目にトリプルブルーを実現させてきました。その裏で、1期目の中間選挙つまり2年後に上下院どちらかが共和党に多数派を奪われる傾向が高いのです。1953年以降でみると平均は上院で5議席、下院で40議席失っていました。
従って、バイデン政権は必勝シナリオが必要というわけです。以下のスケジュールを踏まえると、3月31日は三位一体案成立へ向けたスタート地点となりそうですね。
※太字は確定、他は暫定、報道ベースでの予定
(出所:米上下院資料、各種報道を元にMy Big Apple作成)
気候変動サミットを成功させるべく、多国間でまず対中包囲網を築き、その上でインフラ計画+気候変動対策+雇用対策を成立させる――バイデン政権は、そのようなシナリオを軸に中間選挙での勝利をつかみ取ろうとしているようです。
ただしインフラ計画の成立にあたって、バイデン政権が共和党に協力を求め超党派ラインで攻めるのかは不透明。ペロシ下院議長は7月4日の独立記念日までの成立を目指すと発言していましたが、財政調整措置を活用するならば基本的に年度に1回の措置となるだけに、10月以降にずれ込む場合が考えられます。
また、党議拘束がない事情から民主党保守派が追加経済対策と同様に修正を迫る可能性もぬぐえず。追加経済対策成立まもない春の段階でバイデン政権がインフラ計画を提示したのは、気候変動サミットを意識したと同時に、党内の調整に時間を掛ける意図があったのかもしれません。
(カバー写真:The White House/Flickr)
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