Retail Sales Sharply Rebound With Seasonal Swings During And After The Holiday Season.
米1月小売売上高は前月比3.8%増と、市場予想の2.0%増を上回った。前月の2.5%減(1.9%減から下方修正)を超え、21年5月以来、8ヵ月ぶりの力強い伸びとなった。過去6ヵ月間で、5回目のプラスとなる。自動車とガソリンを除いた場合は3.8%増と、前月の3.2%減(2.5%減から下方修正)の落ち込みを完全に打ち消している。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は4.8%増と、市場予想の1.0%増を大幅に上回った。こちらも、前月の4.0%減(3.1%減から下方修正)を相殺した。
チャート:米1月小売売上高、前月比で過去6ヵ月間で5回目のプラスに
内訳をみると、主要13カテゴリー中、前月比で8種が増加し、21年12月の速報値時点での3種を上回った。最も力強い伸びを示したのは前月最低だった無店舗で、オミクロン株の感染拡大や積雪が需要を押し上げた。その他、家具、自動車・部品、建築・庭園などが増加した。一方で、ガソリン・スタンドは減少に反転。スポーツ用品/書籍/趣味、雑貨は2ヵ月連続で減少し、外食もオミクロン株感染拡大の影響で2ヵ月連続でマイナスだった。費目別の詳細は、以下の通り。
(プラス項目)
・無店舗(オンライン含む)→14.5%増、過去4ヵ月で3回目の増加>前月は11.4%減、6ヵ月平均は2.3%増
・家具→7.2%増、過去4ヵ月間で3回目の増加>前月7.4%減、6ヵ月平均は0.6%増
・自動車/部品→5.7%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は1.6%減、6ヵ月平均は0.8%増
・建築材/園芸→4.1%増、6ヵ月連続で増加>前月は1.2%増、6ヵ月平均は2.2%増
・一般小売→3.6%増、3ヵ月ぶりに増加>前月は1.7%減、6ヵ月平均は0.9%増
(*百貨店は9.2%増、3ヵ月ぶりに増加>前月は7.0%減、6ヵ月平均は1.6%減)
・電気製品→1.9%増、3ヵ月ぶりに増加>前月は4.1%減、6ヵ月平均は2.3%減
・食品/飲料→1.1%増、過去6ヵ月間で5回目の増加>前月は0.2%減、6ヵ月平均は0.9%増
・服飾→0.7%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は3.4%減、6ヵ月平均は1.1%増
(マイナス項目)
・雑貨→0.1%減、3ヵ月ぶりに減少<前月は0.7%減、6ヵ月平均は1.1%増
・ヘルスケア→0.7%減、3ヵ月ぶりに減少<前月は0.3%増、6ヵ月平均は0.1%増
・外食→0.9%減、2ヵ月連続で減少<前月は0.6%減、6ヵ月平均は横ばい
・ガソリン・スタンド→1.3%減、9ヵ月ぶりに減少<前月は0.4%増、6ヵ月平均は1.6%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→3.0%減、2ヵ月連続で減少<前月は6.0%減、6ヵ月平均は1.0%減
小売売上高の前年同月比は13.0%増と2桁増を続けたが、バイデン政権下で施行された追加経済対策でのバラマキ直前にあたる21年2月以来の低水準だった。
チャート:1月、費目別の前年比は、21年2月以来の低い伸び
チャート:1月小売売上高、費目別の20年2月比
――米2月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値が2011年10月以来の水準に落ち込み、購入見通しも自動車が2ヵ月連続で過去最低となったように不振だったにも関わらず、小売売上高は年の初めに好スタートを切りました。物価上昇分を取り除いたとしても、十分プラスを維持。アトランタ地区連銀によるGDPナウは、2月9日までに公表された経済指標に基づけば、1~3月期実質GDP成長率は0.7%増と予測していましたが、確実に1%超えへ上方修正されることでしょう。
また、足元でオミクロン株など新規感染者が減少した結果、人出が戻りつつあることも、好材料。2月12日時点では、全米で11.4%減と感染者数がピークをつけた1月半ばの21.3%減から順調に下げ幅を縮小しています。共和党知事州でコロナ関連の規制が比較的ゆるいテキサスでは9.6%減と、21年12月のクリスマス以来の水準まで回復してきました。
チャート:米国の人出、徐々に回復中
ただし、米1月雇用統計同様に季節調整マジックの一面も。2018年以降、年末商戦の先取りに合わせ12月の売上が落ち込みやすくなった半面、1月に急増する季節性のパターンが確認できるのですよ。
チャート:米小売売上高は2018年以降、年末の12月に減少し年明け1月に増加する傾向あり
21年1月に7.2%増と急増したのは、9,000億ドルの追加経済対策(現金給付は1人当たり600ドル)が成立した影響とはいえ、目を見張るものがあります。ついでに申し上げるなら、2019年以降、2月の数字は1月の好結果に反し19年以降は同年の微減を含め、3年連続でマイナスでした(19年:0.02%減、20年:0.2%減、21年:2.3%減)。このパターンを踏襲するならば、今年も反動減が予想されますが、果たして「今回は違う」展開となるのでしょうか?
(カバー写真:SunnyvaleRocks/Flickr)
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