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米3月個人消費は所得を超える伸び、貯蓄率は2013年末以来の低水準

by • April 29, 2022 • Finance, Latest NewsComments Off2463

Personal Spending Accelerates, Pushes Saving Rate Down To The Lowest Since 2013.

米3月個人消費支出は前月比1.1%増と、市場予想の0.7%増を上回った。前月の0.6%増(0.2%増から上方修正)を超え、3ヵ月連続で増加した。

個人所得は前月比0.5%増と、市場予想の0.4%増を上回った。前月の0.7%増(0.5%増から上方修正)に届かなかったが、6ヵ月連続で増加した。

個人所得の伸びが消費支出を上回ったため、貯蓄率は6.2%と2013年12月以来の低水準だった。詳細は以下の通り。

〇個人消費支出

個人消費の結果は以下の通り。名目ベースは増加基調をたどったほか、実質ベースでも過去分の上方修正を受け3ヵ月連続で増加した。

・前月比1.1%増と市場予想の0.7増を上回り3ヵ月連続で増加、前月は0.6%増
・前年比9.1%増と13ヵ月連続で増加したなかで最少の伸び、前月は13.5%増
・インフレを除く実質ベースでの個人消費は前月比0.2%増、上方修正された前月の0.1%増を含め3ヵ月連続で増加
・前年比では2.3%増と13ヵ月連続で増加、前月は6.8%増

米3月新車販売台数が前月比で減少したように、耐久財が減少に転じた一方で、非耐久財はガソリン高を背景に増加した。一方で、サービスも光熱費の増加や外食の値上げなどを受け13ヵ月連続で増加した。

個人消費支出の内訳(前月比ベース)
・財 1.2%増と3ヵ月連続で増加、前月は0.3%増
・耐久財 1.0%減と2ヵ月連続で減少、前月は1.2%減
・非耐久財 2.5%増と3ヵ月連続で増加、前月は1.1%増
・サービス 1.1%増と13ヵ月連続で増加、前月は0.8%増

チャート:個人消費、前月比の項目別内訳

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(作成;My Big Apple NY)

〇個人所得

個人所得の結果は以下の通り。個人所得は実質ベースで弱さが目立ち、過去7ヵ月間で6回目の落ち込みをみせた。前年比は21年3月に成立した追加経済対策の現金給付の反動で大幅に減少した。

・前月比0.5%増、市場予想の0.4%増を上回り6ヵ月連続で増加、前月は0.7%増
・前年比では11.6%減と過去3ヵ月間で2回目の減少、前月は6.4%増
・実質ベース前月比0.4%減と過去7ヵ月間で6回目の減少、前月は0.2%増
・前年比では17.1%減と過去3ヵ月間で2回目の減少、前月は0.1%増

個人所得は名目ベースで6ヵ月連続で増加。賃金・給与は13ヵ月連続で増加し、家賃収入の引き続き力強い伸びとなった。なお、米疾病対策センター(CDC)は21年8月、新型コロナウイルス感染予防策対策として、感染率が高い地域を対象に新たに21年10月3日まで住宅立ち退き猶予期間を設定。しかし、家主や不動産団体が撤回を求め提訴し、米連邦最高裁判所が21年8月26日に無効の判断を下したため、販売用物件の減少も重なって家賃の上昇が進行中だ。その他、経営者収入も農場が支え増加した。

所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。

・賃金/所得 0.6%増と13ヵ月連続で増加(民間は0.6%増、政府部門は0.3%増)、前月は1.1%増
・経営者収入 0.8%増(農業は13.0%増、非農業は横ばい)、前月は1.5%増
・家賃収入 0.7%増と9ヵ月連続で増加、前月は0.6%増
・資産収入 0.7%増(金利収入が0.5%増、配当が0.2%増)と6ヵ月連続で増加、前月は0.3%増
・社会補助 0.3%増と3ヵ月ぶりに増加、前月は微減
・社会福祉 0.3%増と3ヵ月ぶりに増加、前月は微減(メディケア=高所得者向け医療保険は1.0%増と11ヵ月連続で増加、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.5%増、失業保険は7.2%減と12ヵ月連続で減少、退役軍人向けは1.6%増と増加基調を維持、その他は0.5%減)

チャート:個人所得、前月比の項目別内訳

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(作成:My Big Apple NY)

〇可処分所得
・前月比0.1%増、4ヵ月連続で増加、前月は0.2%増
・前年比は4.4%減、8カ月ぶりに減少、前月は4.4%減
・実質ベースの可処分所得は0.5%減、6ヵ月連続で減少、前月は0.3%減
・前年比は9.9%減、10カ月連続で減少、前月は0.5%減

〇貯蓄率
・6.4%、2013年12月以来の低水準だった前月の6.1%を上回る

チャート:実質の個人消費は、貯蓄率の低下と共に大幅に伸びが縮小

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(作成:My Big Apple NY)

〇個人消費支出(PCE)デフレーター
→油価の高止まりやサプライチェーン途絶による影響を受け、上振れ傾向が続く。ただ、前年比でPCEデフレーターの前年比は1982年1月以来の高水準だったものの、コアPCEは1983年4月以来の高い伸びから小幅鈍化した。

・PCEデフレーターは前月比0.9%上昇、前月は0.5%の上昇(0.6%から下方修正)
・前年比は6.6%上昇、1982年月1月以来の高い伸び、前月は6.3%の上昇(6.4%から下方修正)
・コアPCEデフレーターは前月比0.3%上昇、市場予想と一致、前月は0.3%の上昇(0.4%から下方修正)
・コアPCEの前年比は5.2%上昇、市場予想と前月の5.3%以下(5.4%から下方修正も、1983年4月以来の高い伸び)

チャート:物価上昇を受け、引き続き実質賃金の伸びに下方圧力

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(作成:My Big Apple NY)

――引き続きインフレ圧力を確認し、Fedが2000年5月以来の50bp利上げに踏み切る可能性が一段と高まりました。さらに、5月以降は量的引き締め(QT)の決定も意識されます。

ただし、今後の利上げ幅が50bpを超えるかは不透明です。実質の個人所得は過去7ヵ月間で6回減少し、貯蓄率も2013年12月以来の水準へ低下しており、裁量消費の余地が縮小してもおかしくないためです。また今回、コアPCEで鈍化の兆しを確認しました。ロシアによるウクライナ侵攻と中国のロックダウンにより一段と供給制約が掛かるなか、エネルギーや食品などのインフレ圧力が暫く高止まりしても、コアPCEで物価上昇の圧力が減退するならば、Fedが中立金利を超えた辺りでインフレ重視から方向転換するシナリオに留意すべきでしょう。

(カバー写真:Marco Scala/Flickr)

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