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米大統領としての初のアジア歴訪、最初に日本を選ばなかったのは・・

by • May 19, 2022 • Latest News, NY TipsComments Off2356

Which President Visited South Korea Before Japan In His Term?

バイデン氏は19日に大統領として初のアジア訪問へ旅立ち、5月20~24日に韓国と日本を周ります。

一部で話題になったのが韓国が先で日本が後という訪問の順番です。ホワイトハウスで5月16日に行われたブリーフィングでは、記者がサキ報道官(当時)に「米大統領が最初の訪問先を日本ではなく韓国にしたのは60年ぶりだと思うが、その意図は?」と尋ねていました。

しかし、歴史を紐解くと大統領として初めてアジアを訪問したのはアイゼンハワー氏で、1960年6月に台湾に姿を現し、その後、韓国に立ち寄っていました。敢えて付け加えるなら、アイゼンハワー氏は大統領選に勝利した直後の1952年12月、韓国を訪れています。陸軍参謀総長を務めたアイゼンハワー氏は、選挙前に終戦の方向を探るべく「当選したら朝鮮を訪問する」との公約を掲げており、これを実行したかたちです。

その後も、ジョンソン大統領が1966年10月に韓国を訪れ、1972年2月にはもうひとつの“ニクソン・ショック”として世界を震撼させたニクソン大統領による訪が続きます。

米大統領として初めて公式に日本を訪問したのはフォード氏で、1974年11月まで待たねばなりませんでした。
1960年6月のアイゼンハワー大統領が初来日の予定が、水泡に帰してしまったためです。新日米安保条約の調印で1960年1月に岸首相がワシントンを訪問した際、日米修好通商条約100周年記念に合わせアイゼンハワー氏に訪日を要請し快諾を得たものの、安保闘争が吹き荒れていた日本では実現不可能と判断されました。当時、アイゼンハワー氏の初訪日の準備のために来日していたハガチー大統領補佐官の車が暴徒に取り囲まれる事件が発生したとあっては、断念せざるを得なかったというわけです。

1974年以降はガラリと様相が変わり、歴代の大統領がアジアを訪問する際、いの一番に日本を選ばなかったのは、少なくとも以下の3回のみです。

・1992年1月、ブッシュ大統領(1991年12月に韓国と北朝鮮の間で“南北基本合意書”が締結)
・1996年4月 クリントン大統領(北朝鮮をめぐり、クリントン側は米韓に中国と北朝鮮を加えた四者協議を提案)
・2010年11月 オバマ大統領(G20首脳会議出席、日本ではAPEC首脳会議に出席)

フォード政権以降、米大統領として初のアジア訪問で日本を最初に選ばなかったのはブッシュ氏(子)のみで、2001年2月にAPEC首脳会議に出席すべく上海を訪れていました。ここにバイデン氏が加わり、歴代で2人に増えることになります。

画像:ブッシュ大統領、最初のアジア各国の訪問先として選んだのは中国で、APEC首脳会議を挟んだせいか日本を始め各国に立ち寄らず

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(出所:George W Bush White House)

なお、中央日報によれば、韓国の大統領就任後すぐの米韓首脳会談が米大統領の訪韓によって行われるのは、金泳三政権発足後まもない1993年7月以来、29年ぶり。当時の大統領は、クリントン氏でした。

さて、現代に視点を戻して。

バイデン大統領は5月20~22日は韓国を訪れ、10日に大統領に就任したばかりの尹錫悦氏と21日に会談を開きます。初の顔合わせとなる米韓首脳会談での目玉はもちろんインド太平洋経済枠組み(IPEF)であり、尹氏が参加を望むクアッドへの関与にも焦点が当たることでしょう。その陰で、バイデン氏の訪韓中に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行うリスクをはらみます。その他、サムスン電子の半導体工場に立ち寄る予定。同社は米国での工場建設を検討しており、バイデン氏訪韓の機会に正式発表となる見通しです。なお、2019年6月にトランプ前大統領が南北非武装地帯に登場し話題を振りまきましたが、バイデン氏は予定していないといいます。

バイデン氏は22日から24日まで、日本に滞在します。既報の通り、22日には、白金台の”八芳園“に招待し夕食会を開催する予定。23日に予定する日米首脳会談では、①IPEFの発足(日本の参加含め)、②中国の「共同抑止」を盛り込んだ首脳声明公表――の2つが注目となります。また、東京五輪の開会式に出席したジル夫人と同じく、バイデン氏は天皇陛下とも接見する見通しです。

24日は、クアッド首脳会議が開催されます。今回の焦点は2つで、1つは出席者が未定の豪の動向です。21日に豪総選挙をめぐり、世論調査では最大野党の労働党がリードし、アルバニージー党首は勝利すれば出席すると表明済み。労働党が勝利すれば保守連合より対中強硬路線が後退するリスクをはらみつつ、足元では与党連立が支持率で追い上げておりモリソン首相が続投の余地を残します。もうひとつは、インドです。インドもIPEFに参加表明済みながら、G7農相会合最終日に合わせ小麦輸出一時停止を決定し、且つロシアによるウクライナ侵攻で中立の立場を貫きます。こうした立場がどう影響するのか、声明などを待ちたいところです。

(カバー写真:The White House/Flickr)

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