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米1~3月期実質GDP速報値は1.1%増でも、最終需要は3%超え

by • May 2, 2023 • Finance, Latest NewsComments Off1236

U.S. Q1 GDP Less Than Expected, But Not So Slow Than It Seems.

米1〜3月期実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率1.1%増と、市場予想の2.0%増を下回った。前期の2.6%増を下回りつつ、3四半期連続のプラス成長に。内訳をみると、GDPの7割を占める個人消費は拡大を続けた。政府支出は3期連続で増加。また、輸入の減少に伴う貿易赤字の縮小を受け、純輸出も成長に寄与した。企業支出は在庫投資(機械、機器、部品、製造業、製造業、その他輸送機器が押し下げ)が大幅減となり成長を押し下げたほか、設備投資のうち機器投資は弱い。また、金利上昇が一服したなかでも住宅支出は8四半期連続でマイナスだった。

米1~3月期の実質GDP成長率・前年同期比は1.6%増と、2021年Q1以降のプラス成長を回復して以降、最も低い伸びにとどまった前期の0.9%増を上回った。9期連続でプラス成長を維持した。

米経済の寄与度は項目別に以下の通り。前述の通り、個人消費は前期から小幅鈍化しつつも20年Q2以降、10四半期連続でプラスを維持した。純輸出は、中国がゼロ・コロナ政策を背景に輸入が減速し(※22年11月にゼロ・コロナ政策への抗議活動→同年12月から徐々に緩和)3四半期連続でプラス。政府支出は2四半期連続でプラスだった。企業支出は、在庫投資が支えプラスを維持したものの小幅にとどまった。一方で、金利上昇と価格高騰を受け、住宅投資も6四半期連続でマイナスとなった。

・個人消費 2.48%pt、20年Q2以来11期連続でプラス、前期は0.7%pt
・企業支出 0.1%pt、20年Q2以来11期連続でプラス、前期は0.52%pt
・住宅投資 0.17%ptのマイナス、8期連続でマイナス、前期は1.20%ptのマイナス
・純輸出 0.11%pt、4期連続でプラスも最も小幅、前期は0.42%pt
・政府支出 0.81%ptのプラス、3期連続でプラス、前期は0.65%ptのマイナス

チャート:Q1実質GDP成長率・速報値は1.1%増、潜在成長率2%超えを2期で止める

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(作成:My Big Apple NY)

チャート:実質の金額ベースでは、過去最大を更新

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(作成:My Big Apple NY)

GDPの項目別、前期比伸び率の詳細は以下の通り。

▽個人消費の内訳

・個人消費 3.7%増、11期連続でプラス、前期は1.0%増
・財 6.5%増、4四半期ぶりにプラス、前期は0.1%減
・耐久財 16.9%増、4四半期ぶりにプラス、前期は1.3%減
・非耐久財 0.9%増、2四半期連続でプラス、前期は0.6%増
・サービス 2.3%増、11四半期連続でプラス、前期は1.6%増

▽民間投資の内訳

・民間国内投資 12.5%減、過去4四半期で3回目のマイナス、前期は4.5%減
・総固定資本形成 0.4%減、4四半期連続でマイナス、前期は3.8%減
・非住宅総固定資本形成 (企業の設備投資) 0.7%増、11四半期連続でプラス、前期は4.0%増
構築物投資 11.2%増、2四半期連続で増加、前期は15.8%増
機器投資 7.3%減、過去4四半期で3回目のマイナス、前期は3.5%減
知的財産 3.8%増、11四半期連続でプラス、前期は6.2%増
・住宅投資 4.2%減、8四半期連続でマイナス、前期は25.1%減
・在庫投資 16億ドルの増加、5四半期ぶりにマイナス、前期は1,365億ドルの増加

▽政府支出

・政府支出 4.7%増、3四半期連続でプラス、前期は3.8%増
連邦政府 7.8%増(防衛支出は5.9%増、非防衛財は%増)<前期は3.7%増と6四半期ぶりにプラス
州/地方政府 2.3%増、2四半期連続でプラス<前期は3.7%増と4四半期ぶりにプラス

GDP価格指数は前期比年率4.0%の上昇と、市場予想の3.7%と前期の3.9%を上回った。コアPCE価格指数は前期比年率4.9%上昇し、市場予想通の4.7%並びに前期の4.4%から加速、2021年Q2以来の強い伸びとなった。

――ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のニック・ティミラオス記者は、5月FOMC前の観測記事としてFRBで金融政策局長だったラインハート氏の発言を引用し「6月利上げ示唆を回避したいのでは」と伝えた後、方向転換しました。ツイートで、Fedは据え置きを正当化すべく、景気減速とインフレ鈍化の明確な兆候を探ってきたが・・利上げ継続のため、予想以上に強い需要と物価の兆候を精査する必要も」とし指摘したのです。

その理由は、3~4月の物価動向と国内の最終需要(変動の大きい在庫投資や政府支出、純輸出を除く)が背景にあるのかもしれませんQ1は3.2%増と前期の0.7%増を上回り、2021年4~6月期以来の高い伸びを達成していたのです個人消費や企業の支出のうち構築物投資などが堅調だったため、このような結果となりました。

チャート:国内の最終需要(変動の大きい在庫投資や政府支出、純輸出を除く)、コロナ前の水準を回復

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(作成:My Big Apple NY)

J.P.モルガン・チェースがFDIC管理下に入った地銀ファースト・リパブリック・バンクを5月1日に買収したことで、さらなる地銀破綻の懸念が後退したとの説があります。一方で、CNBCのFed番レポーターのスティーブ・リースマン氏は「最強のカードを早々に切ってしまったのでは」と懸念を表明。2008年7月、リーマン・ショック直前にポールソン財務長官(当時)が「ポケットにバズーカがあると人々が知っていれば、使う必要はない」との言葉を思い出します。

どちらが正しいのかはまだ不透明ですが、少なくともWSJ紙のティミラオス記者のツイートに基づけば、Fedがインフレ抑制姿勢を崩すことは難しそうです。

(カバー写真:Princeton Public Library/Flickr)

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