Private Payrolls Stay Solid, But Hires In This Year So Far Decline To 7-Year-Low.
米5月ADP全国雇用者数は前月比27.8万人増と、市場予想の17.0万人増を上回りました。前月の29.1万人増(29.6万人増から下方修正)に続き、高水準を維持。2021年2月以降の増加トレンドも当然、維持しています。
チャート:米5月ADP全国雇用者数、30万件近い数字を2カ月連続で叩き出す
その他の労働指標を拾っていきましょう。米4月求人数はこちららです。
▽米5月チャレンジャー人員削減予定数は前年比3.8倍増、年初来の採用予定数は2016年以来の低水準
米5月チャレンジャー人員削減予定数は前年同月比で約3.8倍増の8万89人と、13ヵ月連続の増加した。前月比でも19.5%増と、年初来で3回目の増加となる。
チャート:米5月人員削減予定数は、高水準が続く
チャート:過去4年間と比較すると、コロナ禍での2020年を除き最多が続く
年初来の人員削減予定数は前年同期比でほぼ4.2倍増の41万7,500人だった。2020年以来、3年ぶりの高水準となる。コロナ禍の2020年を除けば、2009年以来の高水準だった。
チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社のアンドリュー・チャレンジャー・シニア・バイス・プレジデントは、結果を受け「消費者センチメントは6カ月ぶりの低水準で求人数は横ばいであり、企業は景気減速を控え採用にブレーキを掛けている」と振り返った。
人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。5月はメタ・プラットフォームズやアカマイ・テクノロジーズなどテクノロジーのほか、製薬大手アボット・ラボラトリーズ、娯楽メディア大手ディズニー、コンサル大手アクセンチュア、幅広い業種で人員削減計画が発表された。前月は1位が小売、2位がテクノロジー、3位が消費財、4位がヘルスケア、5位がフィンテックだった。
1位 テクノロジー 2万2,887人、前年同月は4,044人
2位 自動車 9,146人、前年同月は1,031人
3位 小売 9,053人、前年同月は505人
4位 サービス 6,676人、前年同月は879人
5位 メディア 6,108人、前年同月は363人
年初来では、以下の通り。前月も同様だった。
1位 テクノロジー 13万6,831人、前年同月は4,503人
2位 小売 4万5,168人、前年同月は4,335人
3位 金融 3万6,937人、前年同月は8,788人
4位 ヘルスケア 3万3,085人、前年同月は1万8,301人
5位 サービス 2万6,879人、前年同月は9,297人
州別動向は年初来で以下の通りで1、2、5位は人口別でのトップ5に入る州が並んだ。1位のカリフォルニア州が突出して多いのはIT関連の人員削減が響いたとみられる。前月に続き2位のNY州は金融のほか、3位のワシントン州と合わせテクノロジー関連の人員削減で急速に増加したもようだ。順位は前月に5位だったテキサスが4位に浮上、代わりにミシガン州が5位に下がった。
1位 カリフォルニア州 15万1,345人 前年同期は1万5,179人
2位 ニューヨーク州 5万2,420人 前年同期は9,822人
3位 ワシントン州 2万6,247人 前年同期は3,351人
4位 ミシガン州 2万6,161人 前年同期は3,934人
5位 テキサス州 2万76,037人 前年同期は3,711人
リストラ実施の理由別ランキングは、年初来で以下の通り。前月は1位が市場・経済動向、2位がコスト削減、3位が理由不明、4位が閉鎖、5位が再編だった。
1位 市場・経済動向 20万6,283人
2位 コスト削減 5万646人
3位 閉鎖 4万7,513人
4位 理由不明 4万6,900人
5位 再編 2万160人
採用予定者数は前年同月比93.7%減の7,885人と6カ月連続で減少、単月では少なくとも2019年以来で最小となる。前月比では66.2%減と、年初来の5カ月間で4回目の減少となった。
チャート:採用予定者数、過去4年間と比較しても極めて低い
1~5月期の採用予定者数は前年同期比83.4%減の10万1,833人で、2016年以来で最低となる。
セクター別では、単月で以下の通り。前月は1位が輸送、2位がサービス、3位がエネルギー、4位が娯楽/宿泊、5位がテクノロジーだった。
1位 エネルギー 2,750人
2位 不動産 2,000人
3位 テクノロジー 475人
4位 電化製品 338人
5位 建設 325人
▽米新規失業保険申請件数は増加、過去4週間で3回目の24万件乗せ
5月27日週までの米新規失業保険申請件数は23.2万件と、市場予想の23.5万件と概ね変わらなかった。前週の23.0万件(22.9万件から上方修正)を超え、●週連続で2019年平均の21.8万件を上回った。
5月20日週までの継続受給者数は179.5万人と、前週の178.9万人(179.4万人から下方修正)と、ほぼ変わらず。ま
チャート:米新規失業保険申請件数は減少も20万件超えを維持、継続受給者数は21年12月以来の高水準
――その他、米1~3月期単位労働コスト・確報値は前期比年率で4.2%と、速報値の6.3%増から急減速しました。前期の3.2%増を上回ったとはいえ、当初ほど賃上げ圧力の強まっていない様子を示唆します。ジェファーソンFRB理事や投票メンバーのフィラデルフィア連銀総裁が6月FOMCで利上げ見送りに言及し、WSJ紙のFed番記者のティミラオス記者も取り上げていました。米5月チャレンジャー人員削減予定数を始め米5月ADP全国雇用者数以外の労働指標は、こうした見方を裏付けます。加えて、オンライン求人広告大手インディードが発表したリアルタイム求人広告動向も5月26日時点で130.9と、2021年7月以来の低水準です。
チャート:インディードのリアルタイム求人広告動向、2021年7月以来のレベルで停滞
肝心の米5月雇用統計は市場予想19.0万人増のところ、利上げ見送りをサポートする内容となるか、決戦は金曜日です。
(カバー写真:Michael Hunter/Flickr)
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