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米5月雇用統計、男性と非白人の失業率が上昇ーNFPの年次基準改定に注意

by • June 9, 2024 • Latest News, NY TipsComments Off6001

Unemployment Rates Rise For Men And All Racial Groups Except White Americans.

米4月雇用統計は、こちらで紹介しましたように、非農業部門就労者数(NFP)が市場予想を大幅に上回った一方で、労働参加率が低下しながら失業率が上昇し、労働市場の減速を示唆しました。平均時給は前月比と前年比で市場予想以上でしたが、パートタイムの雇用増が背景と考えられます、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFed番記者、ニック・ティミラオス記者のX(旧ツイッター)によれば、6月FOMCへの影響は限定的で、むしろ労働市場が力強くてもインフレの減速次第で利下げは可能なようです。

NFPに視点を戻し業種別の動向をみると、裁量的支出動向を示す娯楽・宿泊は0.6万人増と5カ月連続で増加しつつ、2023年平均と一致しましたそこに含まれる食品サービスは逆に2.4万人増と前月の0.9万人増を上回りな5カ月連続で増加も。2019年平均の2.0万人増を上回る伸びになお、娯楽・宿泊は4月にようやく2020年2月の水準を回復済みです。その他、政府は2010年平均で1.8万人増だったところ、5月は前月比4.3万人増と、再びNFPを押し上げる結果となりました。

チャート:娯楽・宿泊と食品サービス、政府の雇用の伸び

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(出所:Street Insights)

筆者がもうひとつ、注目する業種が専門サービスに含まれる派遣です。派遣は、労働市場の先行指標とされ、景気後退前に減少トレンドをたどる傾向があります。5月の結果を見ると、前月比1.4万人減と2022年4月以降のマイナストレンドを維持。ただ、マイナス基調をたどりながらも景気後退に陥っていないのは、ウーバーのドライバーを含め個人事業主の増加が一因と考えられます。

チャート:派遣、今年1月を除き2022年4月以降のマイナストレンドを維持

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(出所:Street Insights)

そのほか、業種別や性別や人種、学歴などではどうなったのか、詳細は以下の通り。

〇平均時給

平均時給は前月比0.4%上昇の34.91ド ル(約5,480円)と、市場予想の0.3%並びに前月の0.2%を上回った。2021年2月以降の上昇トレンドを維持した。前年同月比は4.1%、市場予想の3.9%並びに前月の4.0%(3.9%から上方修正)を超えた。生産労働者・非管理職の前年同月比も4.2%と、2021年5月以来の低い伸びだった前月の4.1%を上回った。

業種別を前月比でみると、平均時給の伸びが0.4%以上だったのは13業種中で6業種で、前月の速報値ベースの9業種を下回った。今回の1位はその他サービスで前月比0.6%増だったほか、専門サービスや製造業、教育・健康、娯楽・宿泊、小売が平均を上回った。一方で卸売、情報、公益、鉱業・伐採はマイナスとなった。

チャート:業種別でみた前月比の平均時給、チャート内の数字は平均時給額

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(出所:Street Insights)

チャート:前年比では引き続きインフレ目標値2%超えが目立ち、財部門はそろって強い伸びとなった半面、サービス業はNFPで増加を主導したヘルスケアを含む教育・健康を中心に平均時給の前年比4.1%以下が優勢となった。

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(出所:Street Insights)

〇労働参加率

労働参加率は62.5%と3ヵ月ぶりの水準へ低下。働き盛りの男性(25~54歳)をみると,全米の結果に反し25~54歳と25~34歳は上昇した一方で、白人は25~54歳と25~34歳そろって低下した(ただし、白人は季節調整前の数字)。

・25~54歳 89.2%、前月は89.1%、2023年9月は89.6%と2019年3月の水準と一致
・25~54歳(白人) 90.0%と3ヵ月ぶりの低水準、前月は90.1%、2023年10月は90.5%と2020年2月(90.6%)以来の高水準
・25~34歳 89.2%、前月は88.9%と2023年1月以来の89%割れ、2023年7月は90.0%と2012年10月以来の高水準
・25~34歳(白人) 90.1%と4カ月ぶりの低水準、前月は90.7%、4月は91.0%と2019年3月以来の高水準

チャート:働き盛りの男性の労働参加率

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(出所:Street Insights)

働き盛りの女性はまちまちだった。25~54歳は1997年のデータ公表以来で最高に並んだが、25~34歳は低下した。

・25~54歳 78.0%と1997年のデータ公表以来で最高、前月は77.7%
・25~34歳 77.9%と2023年6月以来の低水準、前月は78.0%、2022年8月は78.8%と1997年のデータ公表以来で最高

65歳以上の高齢者の労働参加率は、男性が横ばいも女性は小幅上昇した。

・男性 23.1%、前月は23.0%、2022年10月は24.3%と2月と並び20年2月(25.2%)以来の水準を回復
・女性 16.2%、前月右派16.1%、2月は16.3%と2020年2月以来の高水準

チャート:65歳以上の高齢者の労働参加率

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(出所:Street Insights)

労働参加率を16~19歳、20~24歳、55歳以上で分けてみると、16~19歳のみ上昇した。

・16~19歳 38.1%、前月は37.6%、3月は38.2%と2009年6月以来の高水準
・20~24歳 70.8%と7カ月ぶりの低水準、1月は72.7%と2020年2月以来の高水準
・55歳以上 38.2%と2021年2月以来の低水準、前月は38.4%

チャート:16~19歳、20~24歳、55歳以上の労働参加率

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(出所:Street Insights)

〇縁辺労働者

縁辺労働者(ここでは直近4週間にわたり職探しをしていないが、職を求める非労働力人口)で「今すぐ仕事が欲しい」と回答した人々の数は、労働参加率が3カ月ぶりに低下するなか、前月比1.4%増の571.7万人と2カ月連続で増加。男性が同13.9%増の309.6万人と大幅に2カ月連続で増加した一方、女性は同10.2%減の262.1万人と減少に転じ、2023年4月以来、男性が女性を上回った

チャート:職を望む非労働力人口

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(出所:Street Insights)

〇男女別の労働参加率と失業率

男女別の労働参加率は男性と女性がそろって低下した。男性は前月の67.9%→67.8%と3ヵ月ぶりの低水準だった。女性は前月の57.7%→57.6%へ低下し2~3月の水準に戻した。4月は2020年2月(58.0%)水準に迫っていた。

チャート:男女別の労働参加率

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(出所:Street Insights)

男女の失業率もまちまち。男女ともに労働参加率が低下したにもかかわらず、男性は前月の3.9%→4.2%と急伸し、2021年10月以来の高水準を記録した。女性は逆に労働参加率の低下につれ、3.8%→3.7%へ低下した、なお、女性は2023年1月に3.3%と1952年9月以来の低水準を記録していた。

チャート:男女別の失業率

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(出所:Street Insights)

〇人種・男女別の就業者、20年2月比

人種・男女別の就業者数を20年2月比でみると、黒人男女とヒスパニック系女性で伸びが縮小した。ヒスパニック系男性は前月と変わらず。一方で、白人の男性は下げ幅を広げた一方で女性は下げ幅を縮小、2021年4月以来の同率となった。ただ、全て季節調整前の数字である点に留意しておきたい。

チャート:男女別の就業者数の20年2月との比較

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(出所:Street Insights)

人種別の週当たり賃金は2023年5月時点で以下の通りで、ヒスパニック系が762.8ドルと最低、次いで黒人が791.02ドル、白人は1,046.52ドルとなる。アジア系が最も高く1,169ドル。

チャート:実質ベースのフルタイム従業員の週当たり賃金、ヒスパニック系が最も低い

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(出所:Street Insights)

〇人種別の労働参加率、失業率

人種別の動向を紐解く前に、人種別の大卒以上の割合を確認する。2010年と2016年の比較では、こちらの通りアジア系が突出するほか、白人が全米を上回る一方で、黒人とヒスパニック系は全米を大きく下回っていた。なお、正確にヒスパニック系は中米・中南米系出身者を指し、人種にカテゴリーにあてはまらないが、便宜上、人種別とする。

人種別の労働参加率は、まちまち。白人と白人が低下した一方で、ヒスパニック系は横ばい、アジア系は2カ月連続で上昇した。なお、データはアジア系を除き全て季節調整済みとなる。

・白人 62.2%と2023年3月以来の低水準、前月は62.3%、なお2023年8月は62.5%と2020年3月(62.6%)以来の高水準、2020年2月は63.2%
・黒人 62.9%と2023年8月以来の低水準、前月は63.2%、なお2023年3月は64.0%と2008年8月の高水準に並ぶ
・ヒスパニック系 67.3%と前月に続き2023年7月の水準に並び、2020年2月(67.8%)以来の高水準
・アジア系 65.3%と7カ月ぶりの高水準に並ぶ、前月は64.7%、なお2023年9月は65.7%と2012年12月の高水準に並ぶ、2020年2月は64.5%
・全米 62.5%と3ヵ月ぶりの水準に低下、前月は62.7%、なお2023年11月は2020年2月(63.3%)以来の高水準に並ぶ

チャート:人種別の労働参加率

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(出所:Street Insights)

人種・男性別の労働参加率は、白人と黒人で低下した一方で、ヒスパニック系は3ヵ月連続で横ばいだった。

・白人 69.6%と3ヵ月ぶりの水準に低下、前月は69.8% 2月は69.6%と2021年2月以来の低水準、2020年3月は71.0%
・黒人 68.3%と7カ月ぶりの低水準、前月は68.7%、なお2023年3月は70.2%と2010年3月(70.4%)以来の高水準
・ヒスパニック系 79.8%と3ヵ月連続で横ばいで2023年7月以来の水準を回復、2023年7月は79.9%と2022年6月以来の高水準(80.1%)、2020年2月は80.3%

チャート:人種・男性別の労働参加率

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(出所:Street Insights)

人種・女性別の労働参加率は白人とヒスパニック系で低下、黒人のみ横ばいだった。

・白人 57.8%、前月は58.0%と2020年2月以来の高水準(58.3%)
・黒人 62.9%と前月と変わらず、2023年4月は63.9%と2009年7月(64.0%)以来の高水準
・ヒスパニック系 61.2%、前月は61.8%と2023年9月(61.9%)に次ぎ2020年2月以来の高水準(62.2%)が迫る

チャート:人種・女性別の労働参加率

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(出所:Street Insights)

人種別の失業率は白人以外で上昇白人は労働参加率が低下も失業率は横ばい、黒人は労働参加率が低下も失業率が上昇、ヒスパニック系は労働参加率が横ばいも失業率は上昇、アジア系は労働参加率の上昇に伴い失業率は上昇した。

・白人 3.5%と前月と変わらず、年初来で最高を維持、 なお2022年12月は3.0%と2020年2月(3.0%)に並ぶ
・黒人 6.1%、前月は5.6%、2023年4月は4.7%と過去最低
・ヒスパニック系 5.0%と3ヵ月ぶりの水準へ上昇、前月は4.8%、なお2022年9月は3.9%とデータが公表された1973年以来の低水準
・アジア系 3.1%、3ヵ月ぶりの水準へ上昇、前月は2.8%、なお2023年7月は2.3%と2019年6月(2.0%)以来の低水準
・全米 4.0%と2022年1月以来の4%乗せ、前月は3.9% なお2023年1月と4月は3.4%と1969年5月以来の低水準

チャート:人種別の失業率

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(出所:Street Insights)

人種・男女別の失業率は、まちまち。労働参加率が横ばいだったヒスパニック系男性の失業率は低下したが、黒人女性は上昇した。労働参加率が低下した白人男性は失業率が低下も、白人女性と黒人男性は失業率が上昇、ヒスパニック系女性は横ばいだった。なお、黒人女性とヒスパニック系男女は季節調整前の数字となる。

・白人男性 3.1%、前月は3.3%と3カ月ぶりの高水準、なお2022年12月は2.8%と2020年2月以来の低水準
・白人女性 3.3%と2022年11月以来の高水準、前月は3.1%、なお2023年6月は2.6%で過去最低
・黒人男性 5.7%、前月は5.2%、なお2023年12月は4.6%と2023年4月につけた過去最低に並ぶ
・黒人女性 4.6%、前月は4.3%と7カ月ぶりの低水準、なお2023年4月は3.8%と過去最低
・ヒスパニック系男性 3.2%と2022年9月以来の低水準、前月は4.1%、なお2022年9月は3.0%と2019年11月以来の低水準
・ヒスパニック系女性 4.2%と前月と変わらず、なお2023年5月は3.1%と過去最低

チャート:人種・男女別の失業率

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(出所:Street Insights)

白人と黒人の失業率格差は拡大。白人の失業率が横ばいだった一方で、黒人が上振れしたため、失業率格差は前月のと2022年8月以来の水準へ拡大した前月の2.1%ptから2.6%ptへ拡大した。

チャート:白人と黒人の失業率格差

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(出所:Street Insights)

〇学歴別の労働参加率、失業率

学歴別の労働参加率はまちまち。中卒は低下、高卒は上昇、大卒以上は横ばいだった。

・中卒 46.0%と2023年1月以来の低水準、前月は46.8% なお2023年11月は48.3%と2023年2月と並び過去最高
・高卒 56.8%、前月は56.7%と8カ月ぶりの低水準、なお2023年11月は57.3%と2020年2月(58.3%)以来の高水準
・大卒以上 72.8%と前月と横ばいで2023年10月以来の水準に並ぶ、なお2023年8-9月は73.5%と2020年1月(73.7%)以来の高水準に並ぶ
・全米 62.5%と3ヵ月ぶりの水準に低下、前月は62.7%、なお2023年11月は2020年2月(63.3%)以来の高水準に並ぶ

学歴別の失業率もまちまち労働参加率の低下につれ中卒で低下、労働参加率が上昇した高卒は上昇、大卒と大院卒は労働参加率が横ばいも低下したなお、大卒と大学院卒の失業率低下は、米5月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)のセクター別動向で、専門サービスの雇用が回復していた結果と合致する。

・中卒以下 5.9%、前月は6.0%、なお2022年10月は4.4%と1992年のデータ公表開始以来で最低
・高卒 4.3%と4カ月ぶりの水準へ上昇、前月は4.0%、なお2023年7月は3.3%と2000年4月以来の低水準に並ぶ
・大卒 2.1%、前月は2.2%と2月の水準に並ぶ、なお2022年9月は1.8%と2007年3月以来の低水準に並ぶ
・大学院卒 1.9%と2月の水準に並ぶ、前月は2.3%と8カ月ぶりの高水準 なお2021年12月は1.2%と2000年4月の低水準に並ぶ
・全米 4.0%と2022年1月以来の4%乗せ、前月は3.9% なお2023年1月と4月は3.4%と1969年5月以来の低水準

チャート:学歴別の失業率

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(出所:Street Insights)

チャート:大卒以上は労働参加率が横ばいながら、今回は失業率が低下

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(出所:Street Insights)

--今回の雇用統計の詳細のポイントは、以下の通り。

①NFPの増加の業種別では、夏休みをj控え裁量的支出の減速を示唆するためか娯楽・宿泊(食品サービス含む)が持ち直し、またNFPの伸びを主導していた政府も回復

②平均時給は前月比加速も、13業種別では全米平均を上回ったのは6業種で、前月の速報値ベースの9業種を下回る

働き盛りとされる25~54歳の労働参加率、男性の間では上昇も白人は低下、女性は25~54歳が過去最高も25~34歳で低下

男女別の労働参加率は男女でそろって低下も、失業率は男性が急伸し2021年10月以来の高水準、女性は低下

人種別での失業率は、非白人で上昇。しかも、黒人は労働参加率が低下したにもかかわらず失業率が悪化し、ヒスパニック系は労働参加率が前月横ばいながら失業率が上昇。米大統領選を控え、非白人を支持基盤にもつ民主党陣営に逆風か。

学歴別では、労働参加率が横ばいだった大卒と大学院卒で失業率が低下

ーーパウエルFRB議長は、5月FOMC後に記者会見で3月に質疑応答で言及した「予想外の労働市場が弱まれば、政策対応(利下げ)が適切」と発言しました。さらに「これまで二大目標のうち物価の安定に注力してきたが、インフレ率が前年比3%以下で推移するなか、雇用の最大化という、もう一つの目標に焦点を当てることが可能」と明言。表面上はインフレ率2%回帰に確信が持てるまで利下げを待つ姿勢を打ち出しつつ、労働市場次第で行動する姿勢を維持しています。

6月FOMCでは、米5月雇用統計・NFPの大幅増を受けて年内の利下げ示唆がこれまで3回から1回へ修正されるリスクがある一方で、パウエルFRB議長は記者会見で労働市場の配慮を維持するでしょう。理由は、男性と非白人における失業率の上昇が挙げられます。最近は忘れられがちですが、2020年8月、Fedが「広範かつ包括的な雇用の最大化」を目指す方針を打ち出しました。当時打ち出された「平均インフレ率」は静かに取り下げられた一方で、米景気減速局面で非白人の失業率が急低下する場合、「広範かつ包括的な雇用の最大化」が錦の御旗として、利下げ開始を後押しするか、注目されます。なお、パウエルFRB議長のFOMC後の会見冒頭の原稿では2021年12月から「高インフレは、特に食料品や住居費といった必需品のコスト上昇に対応できない人々にとって購買力を低下させ、大きな苦難をもたらすことを痛感」との表現を維持。引き締め寄りの金融政策の必要性を説明する文言として受け止められる一方、低所得者層への配慮が労働市場の悪化で変化する余地を残します。

もうひとつ、忘れてならないのは失業率が夏場にかけ上昇する傾向でしょう。こちらで紹介しましたが、5~6月が卒業シーズンにあたるため、①夏季休暇にあたって教員が失業率を押し上げ、②就職できなかった若い世代が失業率を押し上げーーが要因として考えられます。

チャート:2000年以降、4~7月にかけ失業率は上昇する傾向あり

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(出所:Street Insights)

チャート:大卒以上の失業率、1月と比較して6~7月に上昇

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(出所:Street Insights)

夏場にかけ失業率が上昇する傾向が意識される上、8月後半にはNFPの年次基準改定の暫定値が発表される予定です。2023年8月は、2023年3月までの1年間で30.6万人の下方修正となりました。8月後半までにインフレ指標と労働指標が鈍化し、NFPの年次基準が下方修正となれば、利下げ期待が再燃してもおかしくありません。既にブルームバーグは6月6日に「米雇用者数の伸び、発表値より弱かった可能性として、米労働省労働統計局が5日発表したデータを基に、2023年の雇用者数の伸びが雇用統計に基づく毎月平均の約25万人増よりも、約6万人少なくなる可能性を報じています。6月4日には2023年下半期の廃業の急増を受けて、年間で73万人の過大評価だったとの分析も寄せていました。

Fedもこうした動きを把握していないはずはなく、6月FOMCで年内利下げ示唆が3回以下に修正されたとしても、労働市場への配慮を維持すると考えます。

足元、市場はこうした動きに備えていないように見えます。従って、仮に大幅なNFPの下方修正となれば、Fedが「データ次第」の金融政策を運営するだけに、流れが一変してもおかしくありません。

(カバー写真:Rawpixel Ltd/Flickr)

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