Fed’s Favorite Inflation Slips, Leaves September Rate Cut In Play.
米6月個人消費支出は前月比0.3%増と、市場予想と一致した。前月の0.4%増(0.2%増から上方修正)を下回りつつ、15カ月連続で増加した。
〇個人消費支出
個人消費の結果は以下の通り。前月比で、名目ベースとインフレを除く実質ベースはともに増加した。
・前月比0.3%増と15カ月連続で増加、市場予想と一致、前月は0.4%増
・前年比では5.2%増と2020年12月以降の増加トレンドを維持、前月は5.3%増
・実質ベース前月比0.2%増と2ヵ月連続で増加、前月は0.2%増
・前年比では2.6%増と2021年3月以降の増加トレンドを維持、前月は2.6%増
チャート:個人消費、前月比ベースでの名目と実質の違い、実質は2ヵ月連続で増加
耐久財は、家具が前月比1.0%増と増加に反転したほか、自動車・部品は同3.2%減と過去4カ月間で3回目の減少となった。一方で、家具は3ヵ月連続で増加したほか、ビデオ・オーディオ関連も同1.2%増と2カ月連続で増加した。非耐久財は食品・飲料が0.3%増と3ヵ月ぶりに増加した一方で、ガソリンが同2.5%減と2カ月連続で減少した。サービスは住宅関連やヘルスケア、娯楽で増加した。
個人消費支出の内訳(前月比ベース)
・財 0.1%増と2ヵ月連続で増加、前月は0.5%増
・耐久財 0.2%減、前月は1.5%増
・非耐久財 0.2%増、前月は横ばい
・サービス 0.4%増と2022年2月以降の増加トレンドを維持、前月は0.4%増
チャート:個人消費、前月比の項目別内訳
〇個人所得
米6月個人所得は前月比0.2%増と、市場予想の0.4%増を下回った。前月の0.4%増(同0.5%増から下方修正)にも届かなかった。
個人所得の結果は以下の通り。
・前月比0.2%増と2022年2月以降の増加トレンドを維持、市場予想と前月の.4%増を下回る
・前年比では4.5%増と2022年4月以降の増加トレンドを維持、前月は4.5%増
・実質ベースは前月比0.1%増と2カ月連続でプラス、前月は0.4%増
・前年比では1.9%増と2023年1月以降の増加トレンドを維持、前月は1.8%増
個人所得のうち、名目ベースで賃金・給与は3ヵ月連続で増加したが、伸びは過去3ヵ月間で最も低かった。また、家賃収入も2023年6月以降で最も低い伸びに並んだ。資産収入は増加に反転、金利収入が増加に転じていた。一方で、経営者収入の増加は3ヵ月でブレーキが掛かった。
所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。
・賃金/給与 0.2%増と8ヵ月連続で増加(民間は0.2%増、政府部門は0.6%増)、前月は0.4%増
・経営者収入 0.1%減(農業は17.7%減、非農業は0.2%増)、前月は0.1%増
・家賃収入 0.7%減と3ヵ月連続で減少、前月は0.7%減
・資産収入 0.1%増(金利収入が0.3%増と3ヵ月連続で増加、配当は横ばい)、前月は0.4%増
・社会補助 0.3%増と7カ月連続で増加、前月は0.3%増
・社会福祉 0.3%増と7カ月連続で増加(メディケア=高所得者向け医療保険は0.7%増、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.2%増、失業保険は2.2%増、退役軍人向けは0.9%増と増加基調を維持、その他は0.3%減)
チャート:個人所得、前月比の項目別内訳
〇可処分所得
・前月比0.2%増と2022年月以降の増加トレンドを維持、前月は0.4%増
・前年比は3.6%増と2022年5月以降の増加トレンドを維持、前月は3.5%増
・実質ベースの可処分所得は0.1%増、前月は0.3%増
・前年比は1.0%増と2023年1月以降の増加トレンドを維持、前月は0.9%増
チャート:可処分所得は前月比で2ヵ月連続で増加も伸びは鈍化
〇貯蓄率
・3.4%、前月の3.5%を下回り2022年12月以来の低水準。2019年平均の7.4%以下が続く。1959年のデータ取得以降で3番目の低い伸びとなった2022年6月につけた2.7%は上回る。過去最低は2005年7月の2.1%。
チャート:個人消費の伸びが鈍化し、貯蓄率を小幅押し上げ
〇個人消費支出(PCE)価格指数
PCE価格指数は前月比は市場予想と一致した。ただし、前年同月比はコアが市場予想を上回った。
・PCE価格指数は前月比0.1%上昇、市場予想と一致、前月は横ばい
・前年比は2.5%と4カ月ぶりの低い伸び、市場予想と一致、前月の2.6%を下回る
・コアPCEデフレーターは前月比0.2%上昇、市場予想と一致、前月は0.1%
・前年比は2.6%と2021年3月以来の低い伸びを保つ、市場予想は2.5%、前月は2.6%
チャート:2023年12月はコアPCEが2021年3月以来の3%割れ
スーパ―コア(住宅を除くコアPCEサービス)は前月比0.16%上昇し、前月の0.24%を下回り4カ月ぶりの低い伸びだった。前年同月比も3.4%上昇し、前月の3.5%を下回り4カ月ぶりの低い伸びだった。
チャート:スーパ―コアの前年同月比は高止まり
チャート:PCEコアとスーパーコア、前月比で伸び鈍化
結果を受け、FF先物市場では引き続き9月利下げ開始織り込み度が支配的。0.5%利下げの観測も小幅ながら保つ。また、11月と12月の連続追加利下げも織り込まれる状況だ。
画像:FF先物市場、再び9月の利下げ織り込み度強まる
ITバブル崩壊後となった2001年1月の利下げ開始と、サブプライム危機を受けた2007年9月の利下げ開始は、それぞれ0.5%だった。足元、米Q1実質GDP成長率・速報値は好調だったが、過去を踏まえ大幅利下げの見方もくすぶる。
(カバー写真:Steven Lee/Flickr)
Comments
米6月小売売上高のリテール・コントロールは好調、インフレ鈍化で財布ゆるんだか Next Post:
衝撃的に弱い米7月雇用統計を受け、9月の0.5%利下げ予想が台頭