Retail Sales Surged Driven By Higher Vehicle Spending.
米7月小売売上高は前月比.1.0%増と、市場予想の0.3%増を上回った。前月の0.2%減(横ばいから下方修正)から、増加に反転。ただし、自働車を除く場合は同0.4%増と市場予想の同0.1%増を上回ったが、前月の0.6%以下に。自動車とガソリンを除いた場合も同0.4%増と、前月の0.8%増を下回った。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)も同0.3%増、2023年1月以来の強い伸びとなった前月の0.9%増を下回った。年初来では7カ月間のうち、プラスは4回目となる。これらの結果が示すように、6月後半から約2週間にわたる自動車ディーラー1.5万店にソフトウエアを影響するCDKグローバルへのサイバー攻撃による影響で、自働車の売上が急減した反動と言えよう。
チャート:米7月小売売上高、前月比は23年1月以来の力強い伸び
内訳をみると、主要13カテゴリー中で10品目で増加し、前月の速報値ベースと一致した。今回は前述したように、6月の自動車ディーラー向けソフトウエア提供のIT企業へのサイバー攻撃の影響で売上が急減した反動で、自働車が増加のドライバーとなった。また、新学期セールの恩恵から、電気製品や一般小売も堅調。米7月CPIが示すように、肉・魚・卵が値上がりしたため、食品・飲料も増加を支えた。一方で、服飾やスポーツ/書籍/趣味、雑貨が減少した。
(プラス品目)
・自動車/部品→3.6%増、年初来で3回目の増加、前月は3.4%減
・電気製品→1.6増、年初来で5回目の増加、前月は1.1%減
・建築材/園芸→0.9%増、年初来で4回目の増加、前月は1.5%増
・食品/飲料→0.9%増、年初来で5回目の増加、前月は0.2%増
・ヘルスケア→0.8%増、年初来で4回目の増加、前月は0.4%増
・一般小売→0.5%増、年初来で6回目の増加、前月は0.2%増
(百貨店は0.2%減、年初来で3回目の減少、前月は0.4%増)
・家具→0.5%増、年初来で5回目の増加、前月は0.2%増
・外食→0.3%増、年初来で4回目の増加、前月は0.1%増
・無店舗(主にオンライン)→0.2%増、年初来で4回目の増加、前月は2.2%増
・ガソリンスタンド→0.1%増、年初来で4回目の増加、前月は1.8%減
(横ばい品目)
なし
(マイナス品目)
・服飾→0.1%減、年初来で4回目の減少、前月は0.1%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→0.7%減、年初来で3回目の減少、前月は横ばい
・雑貨→2.5%減、年初来で3回目の減少、前月は1.7%増
チャート:米7月小売売上高、13品目中、10品目で増加
小売売上高の前年同月比は2.7%増と、5カ月ぶりの低い伸びだった前月の2.0%増を上回った。なお、年初来の平均の伸びは7月までで2.3%増、2023年の3.6%増を下回った。
チャート:米7月小売売上高、前年比は6月から伸び加速
――米7月小売売上高は、自働車がサイバー攻撃を受けた影響で急減した反動で大幅増となったほか、新学期セールの恩恵もあって、好調でした。実質ベースの小売売上高は前月比0.8%増となり、名目の同1.0%増と同じく強い伸びに。名目との差が縮小しており、インフレの落ち着きを感じさせます。
チャート:米小売売上高、実質ベースは前月比0.8%増
米7月小売売上高が好調で、FF先物市場では年内の0.5%利下げ期待が後退し、年末まで3回のFOMCでは0.25%ずつの予想が優勢となっています。米新規失業保険申請件数が2週連続で減少したことも、好材料に。米雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の年次改定の暫定値で下方修正が意識されるなか、8月23日予定のパウエルFRB議長のジャクソン・ホール講演では0.25%利下げへの布石が打たれることでしょう。
とはいえ、米労働市場でいうならば、油断は禁物です。インテルの1.5万人、パラマウント・グローバルの2,000人、シスコシステムズの数千人など、大手企業が決算発表に合わせ大規模なリストラを発表しています。米景気の不確実性が払拭されたとは言えないのではないでしょうか。
(カバー写真:ChesterfieldBusiness/Flickr)
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