Retail Aales Better Than expected , But Hurricanes Have Blown Economic Data Off Course.
米8月小売売上高は前月比.0.4%増と、市場予想の0.3%増を上回った。前月の0.1%増を含め、年初来で6回目の増加となった。自働車を除く場合は同0.5%増と市場予想の同0.3%増と前月の同0.2%増(0.1%増から上方修正)を超え、3カ月ぶりの強い伸びとなった。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるリテール・コントロール(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)も同0.7%増と、前月との0.3%増を超え、年初来でプラスは6回目となり、3カ月ぶりの強い伸びだった。米GDPの約7割を占める個人消費の底堅さを示した。
チャート:米9月小売売上高、年初来で6回目の増加
内訳をみると、主要13カテゴリー中で9項目で増加し、前月の速報値ベースの5項目を上回った。前月に続き雑貨のほか、服飾、ヘルスケア、外食、食品・飲料などが支えた。一方で、電気製品が大きく落ち込んだほか、ガソリンスタンドや家具が減少した。自動車・部品は横ばいだった。
(プラス品目)
・雑貨→4.0%増、年初来で6回目の増加、前月は0.3%増
・服飾→1.5%増、年初来で5回目の増加、前月は0.6%増
・ヘルスケア→1.1%増、年初来で6回目の増加、前月は0.6%増
・外食→1.0%、年初来で7回目増加、前月は0.5%増
・食品/飲料→1.0%増、年初来で6回目の増加、前月は0.5%減
・一般小売→0.5%増、年初来で6回目の増加、前月は0.4%減
(百貨店は0.4%増、年初来で4回目の増加、前月は1.0%減)
・無店舗(主にオンライン)→0.4%増、年初来で5回目の増加、前月は1.6%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→0.3%増、年初来で4回目の増加、前月は0.1%増
・建築材/園芸→0.2%増、年初来で5回目の増加、前月は横ばい
(横ばい品目)
・自動車/部品→横ばい、年初来では3回増加、前月は0.4%減
(マイナス品目)
・家具→1.4%減、年初来で4回目の減少、前月は0.4%減
・ガソリンスタンド→1.6%減、年初来で5回目の減少、前月は1.2%減
・電気製品→3.3%減、年初来で4回目の減少、前月は1.7%減
チャート:米9月小売売上高、13カテゴリーのうち9項目で増加
小売売上高の前年同月比は1.7%増と、前月の2.2%増を下回った。年初来で2番目に低い伸びとなる。なお、年初来の平均の伸びは年初来で2.2%増、2023年の3.7%増を下回った。
チャート:米9月小売売上高、前年比は7月に比べ伸び鈍化
――米9月小売売上高は、予想以上の強さをみせました。実質ベースの小売売上高は前月比0.3%増となり、名目の同0.4%増を下回りつつ、年初来で5回目のプラスとなります。
チャート:米小売売上高、実質ベースは前月比0.8%増
市場予想を上回る米9月小売売上高を受け、Fedの据え置き観測が再浮上しています。しかし、JFXライブで指摘させて頂いたように、米小売売上高は2005年の「カトリーナ」や「ウィルマ」、2017年の「イルマ」などを振り返ると、ハリケーンの直撃を受け増加する傾向があります。今年は9月26日頃に上陸したハリケーン「へリーン」、10月初めに通過した「ミルトン」の影響で、買いだめと直撃後の修繕など需要増が見込まれ、少なくとも9月はその通りの結果となりました。
チャート:2005年、2017年、2024年のハリケーン直撃を受けた小売売上高(自動車を除く)の影響
確かに、米Q2実質GDP成長率・確報値が発表された後、国内総所得(GDI)が上方修正された結果、2024年上半期の貯蓄率が約2%も上方修正されました。従って、サンフランシスコ連銀が3月に余剰貯蓄が枯渇したと分析した当時より、家計の裁量的支出余地は残されていることでしょう。とはいえ、9月と10月の米小売売上高がハリケーンに係る需要で増加するシナリオも想定され、こちらで指摘したようにQ4の米経済指標は乱気流に呑み込まれ、米経済の実態を把握しづらくなりそうです。
(カバー写真:The National Guard/Flickr)
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