Because You’re Worth It : L’oreal Has Debuted A Make-up Vending Machine.
化粧品メーカー世界最大手ロレアルが、ニューヨーク女性を艶やかに彩る新たな作戦を展開しています。
アメリカで初めてとなる、化粧品の自動販売を機をデビューさせたのです!場所はエルメスからユニクロまで世界中のあらゆるブランド旗艦店がひしめく5thアベニューと、42丁目にある5thアベニュー/ブライアント・パーク駅の構内。ブライアント・パークと聞いて、ピンと来ましたか?そう、2009年まで15年にわたりNYファッション・ウィークの舞台だったかつてのトレンド発信地ですね。
ネイル、アイシャドウ、リップを見立ててくれる自販機の使い方は、いたって簡単。
ステップ3 : 服装に合わせるか、あえてチグハグな色で攻めるかチョイス
ステップ4 : ステップ3で自販機が選りすぐったマニキュア、リップ、アイシャドウのうち欲しいコスメを選択。あるいは商品をメール送信しあとで購入するかを選ぶ
スクリーンの前に立っている時間が長く感じますが、所要時間は3分以内といったところでしょうか。ロレアルの野心的な試みは、12月30日までの期間限定。気になる方は、トライしてみて下さいね。
自販機戦略は、ロレアルが初めてではありません。過去を振り返るとイギリスでは百貨店大手ハーヴェイ・ニコルズが「ビューティーマート」、同じくイギリスのスーパー大手テスコも韓国のソウル「ヴァーチャル・テスコ・グロサリーストアーズ」を設置していました。
いまロレアルがなぜ、新戦略に打って出たのか。しかも5thアベニュー/ブライアント・パーク駅は5thアベニューのファッション・エリアの中心地からはずれ、観光客が多いとも言い切れない。
ロレアルの7-9月期の決算をみると、理由が垣間見れます。
10月30日に発表した7-9月期(第3四半期)決算で、売上高は前年同期比0.8%減の54億8000万ユーロ(約7290億円)とアナリスト予想の55億8000万ユーロを下回った。ロレアルは、減収の一因として「米ドル、円、ブラジル・レアル、インド・ルピー、アルゼンチン・ペソなどが対ユーロで下落したため」と説明。為替差損の影響は、6%に及んだという。特に米国での減速が売上の重しとなっており、1-6月期の売上高は5.4%増から0.6%増へ大幅に縮小していた。為替変動の影響や買収効果などを除くと売上高は4.1%増ながら、4-6月期の5.2%増からは鈍化している。ジャン=ポール・アゴン最高経営責任者(CEO)が指摘したように、為替差損だけでなく経済の不透明性が消費の抑制につながっているようだ。
アメリカを中心とする北米でロレアルの成長が鈍化したならば、販売のテコ入れ戦略に打って出たのもうなずけますね。
アメリカといえば、お膝元の化粧品メーカーであるエスティ・ローダーはといいますと。
エスティー・ローダーが10月31日寄り前に発表した7-9月期(第1四半期)決算では、売上高が5%増の26.8億ドルと市場予想の27.0億ドルを下回った。10-12月期の為替変動を除いた売上高見通しも3-5%増と、こちらも市場予想の7%増に届かなかった。
エスティ・ローダーの場合は営業利益率を79.7%と市場予想の78.8%から格段に上昇させることに成功したため、1株当たり利益はアナリスト予想を上回り「順調な決算」と判断されて発表後は大幅高でした。でも・・売上高が実績、ホリデー商戦をはさむ10-12月期とも市場予想というのは、主戦場のアメリカをはじめ消費者が財布の紐を締めている様子を物語っているかと推察します。
労働省エネルギー分析局(EIA)によると、全米ガソリン平均価格は11月11日週で前週比7.1セント安の3.194ドルでした。前年同期の3.449ドルから7.6%下落しただけでなく、2011年2月21日週以来で最低となります。消費拡大の弾みとなる期待が残るものの、1)年末にかけての予算協議、2)Fedによる量的緩和(QE)の行方、3)金利上昇・米株安の影響、4)医療保険改革に伴う保険料引き上げ懸念--など不透明要因がくすぶる。ホリデー商戦では、ガソリン価格の下落や値引きでどこまで消費を支えるか試されます。
(カバー写真 : Fashionista)
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