Dow Down For Fifth Day, On ‘Irrational Exuberance’ Anniversary.
1996年12月5日、ときのグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長はアメリカン・エンタープライズ公共政策問題研究所の夕食会で「根拠なき熱狂」と発言しました。95年12月、96年1月の利下げを経て、95年1月から96年11月までにダウ平均は70%近くも急伸。ハイテク株がけん引しバブルのごとき賑わいをみせる米株相場に、流麗な名文句で冷や水を浴びせました。
あれからちょうど17年を経て本日、ダウ平均とS&P500は5日続落。9月後半以来の続落記録となっています。
政府機関の閉鎖解除前にラリー開始を迎え、12月から潮目が変わりました。
(出所 : Yahoo!Finance)
ダウ平均は、政府機関の閉鎖中につけた安値から11月末までに約9%も押し返し過去最高値更新を続けてきました。おかげでウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の紙面や経済金融専門チャンネルCNBCでは、「バブル」の文字が躍っていましたっけ。それだけにこの日の下落は、なんだか因縁を感じます。
米11月雇用統計を前に、調整モードに突入した米株相場。米11月雇用統計で買い戻しが入るのか、一段安となるのか運命の分かれ道にきています。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想をみると、米11月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は18.5万人増。失業率は7.2%と、前月の7.3%からの改善が見込まれていますね。
米新規失業保険申請件数はというと、サンプル週時点で4週平均が33万9250件と1ヵ月前の33万7500件とほぼ変わらず。米11月ADP全国雇用者数が20.5万人増と年初来で初めて20万人の大台を超えただけに、マーケットは強い数字が出て12月のテーパリング開始に戦々恐々としているようです。
とはいえ、雇用統計が強含みになっても即テーパリング開始を決定しづらい3つのポイントがあります。
・米新規失業保険申請件数はコロンバス・デー、ベテランズ・デーなどで季節調整の信憑性が低下
・米ADP全国雇用者数は米雇用統計のNFPとの誤差が約4万人
・米11月チャンレンジャー人員削減件数で小売に削減件数増加の不思議
逆に雇用統計が弱含めばラリー再開かというと、そうもいかないでしょう。12月10日には、にわかに注目を集めるボルカールールの最終案が承認される予定です。超党派による財政協議が13日の期限までにまとまるか、見極める必要もあります。FOMCも17-18日に予定するので、雇用統計が弱含めばQE継続期待で上昇するかというと、そうもいかないのではないかと。
特にチャレンジャー人員削減件数については、発表元であるチャレンジャー・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)のコメントが気になります。結果に対し「小売セクターがもっとも削減件数が多かったことを踏まえると、今年のホリデー商戦には警戒すべきかもしれない」とコメントしていたんです。ホリデー商戦が芳しくなければ楽観的な景気見通しはさざ波のように引き、テーパリングに向け振り上げた拳も下げざるを得ない?
(カバー写真 : Value Walk)
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