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米12月雇用統計は予想外の弱さ、テーパリング中止観測も浮上

by • January 10, 2014 • Latest NewsComments (0)6367

December Payrolls : Play And Pause On Tapering?

米12月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比7.4万人増と、市場予想の19.7万人増より弱い結果となった。前月の24.1万人増(20.3万人増から上方修正)を大きく下回り、2011年1月以来の低水準。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が失業率が低下する増加ペースのメドとした「15万人増」からも、かい離している。

NFPの内訳をみると、民間サービス就労者数が8.7万人増となり市場予想の20万人増より格段に弱い内容だった。前月の22.6万人増(19.6万人増から上方修正)を下回っており、2桁増トレンドを18ヵ月で止めた。

弱さが際立ったセクターは財生産業で0.3万人減と、5ヵ月ぶりに減少した。寒波と積雪の影響で建設が1.6万人減となり、足元久々にマイナスに落ち込んだ。製造業は0.9万人増と、5ヵ月連続で増加したなかで最小にとどまった。サービスは9.0万人増と、前月の17.5万人増からほぼ半減した。政府機関が再開しただけでなく向こう2年間の予算案合意に強制歳出削減の緩和が盛り込まれたが、減少トレンドをたどる。

余談ですが元旦は、極渦の影響で火星よりカナダの方が寒かったんです。
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(出所 : SCI)

時間当たり平均の労働賃金は、市場予想および11月の前月比0.2%を下回る0.1%の上昇にとどまって24.17ドルだった。前年比も市場予想の1.9%および前月の2.0%を下回り、1.8%の上昇。9ヵ月ぶり低水準に並んだ。週当たりの平均労働時間は、市場予想および前月の34.5時間より弱い34.4時間。製造業は平均労働時間も前月の41.0時間で一致した。2007年以来で最高を記録している。

失業率は、市場予想および前月の7.0%を大きく下回り6.7%だった。2008年11月以来の7%割れを示現し、利上げの数値目標「6.5%」に接近した。失業者数が前月比49.0万人減と、前月の29.9万人減に続き大幅減少し失業率の低下に寄与。就業者数も14.3万人増と、2ヵ月連続で増加した。雇用増加と失業者数の減少に加え、マーケットが注目する労働参加率が前月の63.0%から62.8%と1978年以来の低水準に並び、失業率の低下を促したかたちだ。経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている不完全雇用率は13.1%と、前月値(13.2%から下方修正)と一致。2008年11月以来の低水準を保つ。平均失業期間は、前月通り37.2日だった。

エコノミストの評価は、以下の通り。

JPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、予想外に弱含んだNFPの結果に対し「悪天候により約5万人が押し下げられたと試算できるほか、政府機関の閉鎖を受けて11月に増加した反動も重なった」と説明した。労働時間が2013年夏ごろの水準へ短縮した点には、懸念をのぞかせている。また、失業率の低下に注目し「失業率の改善は賃金上昇を全く促していない」点を問題視。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が最後に出席する予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、100億ドルの資産買入縮小を承認する見通しながら「中止を求めるメンバーが現れる」可能性を指摘した。失業率は数値目標「6.5%」に接近したものの、フォワード・ガイダンスにつき「6.5%から引き下げるより、議事録で示されたように数字にのみ束縛されないスタンスを貫く」と予想した。労働参加率など、質的な要素を追加するとは考えていない。

バーナンキFRB議長最後のFOMCで、いきなり買い入れ中止はないでしょうが・・。
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(出所 : ロイター)

BNPパリバのジュリア・コロナド米国担当主席エコノミストは、賃金の伸びを意識し「購買力の低下につながりインフレに下方圧力をもたらす」と予想。FOMCは単月の米雇用統計を受けて政策を決定する傾向が低い上、悪天候が一因とあって「次回FOMCでは引き続き100億ドルの資産買入縮小にゴーサインを出す見通し」だ。ただし、広範にわたる経済指標で下方リスク確認し金融市場のボラティリティが急速に高まる場合は「3月に中止を決定することもありうる」と付け加えた。失業率が数値目標に近づくなか、フォワード・ガイダンスはインフレや経済成長などの文言を通じ調整済みで「変更なし」を見込む。NFPの伸び縮小に対しては、「天候によるNFPの減少は7万5000人」と試算した。

以上の内容を踏まえ、金融市場は米債高(金利低下)・ドル安・株安で反応しました。前倒しされつつあった利上げ観測が巻き戻されるとともに、資産買入の縮小が中断されるとなれば債券高・ドル安は納得の展開ですね。ダウ平均は買い→売り→下げ幅縮小となった一方で、S&P500とナスダックがプラス圏を回復して引けたのも、米景気への楽観度が後退しつつ緩和継続というスケベ心が働いて買い戻しを誘ったとみられます。いずれにしても賃金の伸び悩みに加え雇用のけん引役がパートタイムとされるなかで、景気がイケイケどんどんで拡大するとはちょっと考えられない気がするのは、私だけでしょうか。

(カバー写真 : Getty Images)

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