Don’t Be Fooled By Better Than Expected February Retail Sales.
米2月小売売上高、ヘッドラインだけを見ると強い数字でした。前月比0.3%増と市場予想の0.2%増を上回っただけでなく、2013年3月以来で最大の減少幅を示した前月の0.6%減(0.4%減から下方修正)も超え、寒波や積雪の影響に負けず、3ヵ月ぶりに反発したんです。
ニューヨークで予報に反し豪雪を回避したバレンタイン・デー効果にめぐまれ、外食をはじめ服飾、百貨店、オンラインなど軒並み好調でした。だからこそ、米新規失業保険申請件数が2013年11月末以来の低水準だったこともあり、米株は買いでスタートしたんです。
ところが、ダウ平均は買い先行後にまもなく右肩下がりに突入しました。
ダウ平均に続きS&P500まで、年初来マイナスに反転して引けました。米小売売上高の何が悪かったのか。エコノミストの評価をみてみましょう。
JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミスト
「2月の結果は市場予想を小幅に上回ったが過去2ヵ月分が大幅に下方修正された(1月は0.4%減から0.6%減へ、12月は0.1%減から0.3%減へ修正)ため、1-3月期の消費は従来予想の2.4%増から2.1%増へ引き下げる。米1-3月期GDP予想は2.0%増で据え置くが、2月小売売上高により下方リスクが加わった。」
BNPパリバのイリーナ・シュヤルティバ米エコノミスト
「オンラインを含む非店舗の増加は、平年を大きく下回る寒波を受け燃料をネットで注文した分でかさ上げされたのではないか。また今回の服飾など増加は、これまでの反動ともいえる。今回の結果に基づくと1-3月期の消費は1.8%増と試算され、10-12月期の2.6%増を下回る見通しだ。」
ゴールドマン・サックスは、米2月小売売上高を受け1-3月期GDPにつ従来予想の1.7%増から1.5%増へ下方修正しました。
米小売売上高がヘッドラインほど強くない上に、世界を見渡すと中国経済指標の減速にシャドーバンキング問題、さらにクリミア半島で16日に実施する住民投票——など、見通しに不穏な陰が差しつつあります。翻ってFedの要人発言をおさらいするとニューヨーク連銀のダドリー総裁が「緩和縮小ペースを変更するハードルは極めて高い」と発言したように、18—19日FOMCで100億ドルの追加減額を決定するのは、もはや規定路線といって過言ではない。
世界経済の減速リスクが台頭する現状は、1月FOMCを彷彿とさせます。トルコやアルゼンチンをはじめエマージング通貨安が火を吹いた当時も、中国1月HSBC製造業PMIが6ヵ
当時の相場展開に照らし合わせると、マーケットは来週18—19日開催のFOMCでハト派寄りの決定を下すよう催促に入ったようにもみえます。フォワード・ガイダンスの変更が議論されること必至なので早期利上げに傾くような基準(例えば単純に失業率の数値目標引き下げ)を採用しないよう迫った——とも解釈できるのではないでしょうか。米債高、原油上昇、金上昇を振り返っても、緩和継続への下心がちらつきます。
(カバー写真 :Bloomberg )
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