NYの夜は、グラマラスでファビュラスなだけではありません。ときに、路傍にひっそり咲く花よりも目立たない場所に、グランジかつストレンジな風景が広がっていることがあります。
その典型が、このSmith and Mills。
ここは厩舎をBARに改造したお店。トライベッカのはずれに、忽然と現れます。ストリートをほのかに照らす灯りと、番地71を記すビリヤード・ボールのようなランプがお店らしき看板となっている程度なので、何も知らないといとも簡単に通り過ぎてしまうことでしょう。中は天井が低く小ぢんまりとしながらも、レトロな空気が漂っていて、1920年代にタイムスリップしてしまったよう。ソファでくつろぐ先客も、ミートパッキングの人種とは180度異なり、ゾーイー・デシャネルやシア・ラバロフのような、クラシックながら、背骨の通ったエレガンスを感じさせる人たちです。
↓71と書かれたまあるいランプが、唯一の看板。
↓ゾーイー。ケイティ・ぺリーと似てますけど、彼女より正統派な不思議ちゃんぶりがたまらない!!
それもそのはず。
オーナーは今は亡きベアトリス・インの共同パートナーだったマット・エイブラミック。ベアトリス・インと言えば、創立者の一人は古着を活かしたミューズ・ルックが得意なオサレ番長クロエ・セヴィニーのお兄さんですよ。つまり、アーティスティックでアコースティックなお店で名を馳せ、ヴィヴィアン・ウェストウッドやズッカのレーベルをお好みな人々の集まる店です。ミートパッキングなら、プラダやBCBGマックス・アズリア、といったところと言えば、違いが分かって頂けるでしょうか。
↓かつてのベアトリス。グラムロックが耳に心地よさ気でしょ?
寒い日に出掛けたので、私はアメリカ人の友人が勧めるままに、ウォッカ・ジンジャー・トニックをチョイス。ランチタイムからお店を開けているだけに、ジンジャーはすりおろしです!!!トニックウォーターで割るので当然冷たいものの、ジンジャーとアルコールの相乗効果でポカポカ身体が温まってくるのを感じます・・・。ちなみに食事のお勧めは、ノルウェー風ミートボール。アメリカンとは異なる、味わいに、どうぞ舌鼓を打って下さい~。
ドリンクや食事だけでなく、こちらのお店をユニークとさせているのは、やはりここでしょう・・・バスルーム!引き戸をガタガタを開けた向こう側には、不思議な光景が・・・曇りガラスをつたう蔓のごとき格子に目を奪われるから?店内のオレンジ色の灯りを吸収し深さを増すバラの紅に惑わされるから?違います。
↓バスルームですら、タダものではない風格が漂うでしょ?
それは手洗い台です。普通の水道管が通った手洗い台代わりに、文字通りタライが設置されてるんですよ!!!手を洗った後は、タライを傾けて水を流すんです!!!衛生的とは言い難いですが、今となっては前衛的アバンギャルドですよ!!!!
↓噂の手洗い台。ハンドソープの色使いがまた、ココロ憎いんですぅ~。
Comments
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東京から来た同僚のリアクションが新鮮・・