ルース米駐日大使が6日、原爆記念式典に広島を公式訪問しましたね。あれから数日経ちました。
↓歴史の新しいページを飾った、ルース大使(中央)。親日家ではなかったのがミソ?
米国でも世論を揺さぶる重要議題かと思いましたが、実はその後の報道でオバマ米大統領、そしてルース駐日大使の決断について、世論調査の記事を見かけません。Googleにて「Hiroshima Roos」と英語オンリーでニュース記事を検索しても、ヒット件数自体は8日時点で1820件程度。しかも、ルース大使の広島訪問を正面から扱った記事は検索ページ1ページ足らずで、なぜか1ページの後半部分には「Kagan to be sworn in Saturday…BP seals top of blown-out well・・・」なんて見当違いなニュースが含まれていました。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙やファイナンシャル・タイムズ(FT)紙も、6日周辺の一面記事には取り扱われておらず。経済紙であれば仕方ないとは思いますが、歴史的な瞬間ながらあまりにも注目が低かったことに驚かされます。
↓NY地元紙Daily Newsは、オバマ夫人の豪遊スペイン旅行弾劾記事 の方が大きかったような・・。
米国のニュースでも、特に大きく取り扱われた実感はありません。6日の金曜日、いつもなら夜遊びで外出中の私ですが、さすがにその日は米国3大ネットワークの一角ABCやら保守派のFOXニュースをざっくり一覧しましたけど、大きくルース大使の広島訪問を取り上げていた印象はありませんでした。
一方でFOXニュース では6日のルース大使広島訪問に先駆けて4日、原爆を投下したエノラ・ゲイのパイロット、ポール・W・ティべッツ氏の息子ジーン・ティべッツ氏が「Unsaid Apology=暗黙の謝罪である」と怒りのコメントを伝えておりましたね。
訪問直前の5日にはホワイトハウスのクロウリー報道官は自身のTwitterで
「広島について謝罪することは何もない、ただ我々は戦争という影響にさらされた人々に敬意を表する。」
と良かれ悪しかれ、教科書的なコメントをつぶやいておりましたっけ。
↓クロウリ―報道官、さすがオバマ政権下の広報担当なだけにTwitterをお持ちで。
日本ではオバマン米大統領が2009年4月、プラハで行った核廃絶に向けた演説をリンクさせて詳細なる分析が展開されていますが、現地との温度差を身にしみて感じる次第です。
ちなみに英語オンリーで「WWll atomic bomb poll」と、日本への原爆投下に関する世論調査を検索したところ、トップに現れた世論調査ニュースは、2009年8月6日のリリースでした。つまり1年も前に遡らなければ、検索できなかったというわけです。中間選挙を前にアリゾナ州で勃発する移民問題、労働市場の低迷、カリフォルニア州で再度承認された同性婚、はてにはコネティカット州での銃乱射事件、アフガニスタンでの米独人殺害など、溢れ返る国内関連ニュースで、米国は手いっぱいなのでしょうか。
世論調査の検索で一番目に登場したFree Public。Quinnipiac University の調査を元に報じた結果は、核爆弾の使用について61%が「正しい」、22%が「間違い」、16%が「分からない」でした。そういえば、私もとある政治資金パーティーでお会いした80歳代で太平洋戦争に参加したという男性から、「日本人は負け戦でも歯向かってきて、今となっては人類史上の悲劇だけれど、核爆弾を落とすしかなかったんだ」という言葉をうかがったことがあります。
ただしうれしいことにexaminer.com によると、ニューヨークの郊外ロングアイランドでは毎年、広島・長崎原爆追悼イベントを開催されているといいます。同地のコミュニティ団体が核廃絶を目指した草の根活動を行いつつ、一方で米上院は8月4日、戦略兵器削減条約(START)調印にむけた採決の延長を決定しました。1カ月の休会を経て9月へ採決を先送りしたということは、オバマ政権が目指す11月中間選挙前の批准は無理に???個人的には、政治の駆け引きの犠牲にならず、採決に臨んでほしいと切に祈ります。
↓Examinar.comに掲げられた写真。全米でこんな風景が見られる日は来るのでしょうか。
Comments
160年の歴史に幕を閉じたセント・ビンセント病院 Next Post:
The Invention of Lyingはオスカー・ワイルドのオマージュか否か