ウィスコンシン州やオハイオ州をはじめ、団体交渉権をめぐる攻防が続いてますね。オハイオ州でも州職員がデモを展開するなか、ついには団体交渉権の廃止案である「州上院法案5号=SB5」に反対する「Angry Buckyeyes」なるサイトおよびフェースブックが登場。フェースブックでは1日夕方現在、「Like」が1万7346人を数えます。
個人的には、うらやましい限り。個人的なお話で恐縮ですが、前の会社なんて長期休暇はほとんどなし(しかも日本と米国で10日も有給が異なる)、病欠なし、交通費は給与振込み式なので全額支給ならず+値上げの場合は自己負担、退職金なし、退職前の有給処理分の給与支払い拒否(日本と米国の場合給与支払いの換算が違うという主張)などなど、数えたらきりのないブラックさ。これでも、ストライキが起こらないってすごいです。そういう意味では、数でものが言えるウィスコンシンやオハイオ、抗議活動で職場放棄もできちゃうなんてステキ過ぎます・・・。
↓Buckeyesとは、オハイオ地元民を指します。
ちなみにニューヨーク・タイムズ紙/CBSが2月24-27日に実施した共同世論調査では、米国民の60%が団体交渉権の廃止につき、「強く、もしくはある程度反対」と回答していました。そのうち38%が「強く反対」しているそうです。一方で33%が「強く、もしくはある程度賛成」しているんですって。なんとなく、意外な気がするのは私だけでしょうか。
労働組合と雇用者側と対立が米国内に飛び火するなかで、戦いの舞台は州政府からこんなところへ広がりつつあります。なんと、ナショナル・フットボール・リーグ、NFLです。
NFL選手会とオーナー側との間で決裂しているのは、もちろん選手年俸の割合。選手に支払われるNFL総収入の分配率で合意にいたっていないためです。NFLの総収入は90億ドルとされ、オーナー側はここから運営費の引き上げを理由に、オーナー側の取り分を従来の10億ドルから14億ドルへ引き上げようとしています。選手側も同様の引き上げを要求しておりますが、オーナー側が拒否。10日開催予定だった協議は、オーナー側の意向でキャンセルされてしまいました。オーナーの主張は、設備投資の実質増加を背景に、結果的に「みなが得をする」というもの。
↓NFLコミッショナーのGoodell氏。「協議の余地がある」と話しているようですが、腹の底はいかに。
このまま交渉が合意にいたらない場合、4日にはロックアウトを迎えてしまいます。つまり選手締め出しですね。チーム医師の診断、キャンプ利用、チーム施設の利用などがすべて不可能となってしまいます。選手だけが被害に遭うだけではありません。NFL32チームを有する都市のNFL特需を織り込むスポーツ衣料品小売店、スポーツBAR、イベント関連会社、カジノなどなどが、もろに逆風を浴びてしまうわけです。
肝心なポイントは、スタジアムの建設費が血税で賄われていること。あまり知られてませんが、31スタジアム(NYジャイアンツとジェッツは共同利用)のうち28スタジアムは、税金負担に支えられました。そのうち11スタジアムにいたっては、実に100%が税金のみで建設された、血の結晶なんです。
↓映画「ロミオ・マスト・ダイ」では地上げ屋がオーナー入りを希望していたのが、記憶に新しい。
州政府の機能不全といい、NFLのロックアップといい、いずれにしても負担は彼らの生活を支える納税者の肩に降りかかってくるんですよ。フランチャイズ都市の1市につき、1.6億ドルに及ぶとの試算もあります。米州政府予算における対立は「米国でのエジプト問題」、NFLのロックアップは「ミリオネアVSビリオネアの戦い」とたとえるメディアがありますが、いずれにしても早期解決を目指し、歩み寄っていただきたいものです。
Comments
Convivio、華麗なる期待外れ Next Post:
ワールドBARの名が、泣いてます・・