ブルームバーグで11日、こんな記事をみつけました。
▽米国のプリペイドカード利用が18%増加、デビット保有率は低下
「米国でプリペイドカードの利用が2011年に約18%増加した。手数料の上昇で消費者が当座預金口座などの従来の銀行サービスを利用しなくなっていることが背景にある。市場調査会社ジャベリン・ストラテジー・アンド・リサーチ(カリフォルニア州)の調査で明らかになった。
調査によると、米国の成人の約13%が2011年にプリペイドカードを保有しており、10年の11%から上昇した。ジャベリンの支払いに関する調査担当ディレクター、ベス・ロバートソン氏は『プリペイドカードは以前は資金をあまり多く保有していない人々のためのカードだと考えられていた。今では用途や利用者層が多様化し、より一般的になりつつある』と指摘する。
ロバートソン氏によると、消費者がプリペイドカードを予算管理手段として選択していることに加え、規制に伴う当座預金やデビットカードの手数料の上昇も移行を加速させている。
調査によると、2011年に当座預金口座を保有していた人の割合は約88%と、10年の92%から低下。クレジットカードの保有率は74%から67%に下がった。デビットカード保有率は78%から66%に落ち込んだ。」
調査元のジャベリンのディレクターの指摘通り、クレジットカードやデビットカードの手数料の上昇が一因としてあるでしょう。金融規制改革法=ドッド・フランク法の影響で、デビットカード手数料が規制試行前の平均44セントから一律24セントへ引き下げられた結果、銀行側は手数料収入の減少に備え銀行口座の維持費や口座振替の手数料を引き上げてしまったもので・・消費者保護が裏目に出た感もあります。
↓バンク・オブ・アメリカ、デビットカード使用手数料として5ドル課金しようと目論んだこともありました。
例えば、家人と私がチェースで共有口座を開設しようとしたら、手数料やら最低口座残高設定などなど、今まで聞いたことのない条項がズラズラ並べられましてですね・・・。家人がチェースで住宅ローンを組んで保有していなかったら、お互い口座を開設済みながら手数料が毎月5ドル程度かかることになっていました。1ヵ月だと大した金額ではないとはいえ・・・ゲンナリしちゃいます。
さらに口座振替でも、貯金口座から月に6回以上の振り替えを行った場合にも、課金されるシステムに変化してるんですよ。貯金には手を出さないから関係ない!と思っても、人生何が起こるか分かりませんからね・・・。家人もちょこざいな条項を聞きながら「信用組合に乗り換えてやる!」なんて憤慨してました。
ちなみに、クレジット・カードが利用しづらいこともプリペイド・カードへの移行を誘っていることでしょう。クレジット・カードの全米平均金利は、4月11日時点で年率14.91%。クレジット・カード・ドットコムが調査を開始した2007年半ばからの統計開始以来で最高を記録した15.22%から、そう遠くはないんです。さらに言うなら、統計開始で最高を示現した時期も、注目。実は2011年12月14日週でした。つまりFOMCが2011年9月に「オペレーション・ツィスト」を決定し、長期金利を軸に金利を押さえ込む戦略に打って出た後のことなんです・・・。
↓クレジットカード金利が上昇しちゃって、バーナンキさんはタジタジ?
クレジット・カードの金利が高止まりし、かつデビットカードの利用するための銀行口座の維持費も上昇するとなれば、プリペイドカードを選択するのも、むべなるかな。
また自らの支出を「しばる」という意味でも、相当有益です。私のお友達の不動産エージェントも、最近デレバレッジに成功しクレジットカードの負債を返済しきったばかり。シングルマザーの彼女は、わが子のためにもと一念発起して住宅購入を検討しており、クレジットカードを封印してプリペイド・カードを新規に作りました。手数料はカード発行時のみで、さらに出費に敏感になるだけに、彼女にはうってつけなんですね~。リーマン・ショックから4年、アメリカ人の支出構造は着実にじっくりと変化を遂げつつあるようです。
Comments
新緑の絨毯を横目に、ブランチをいただきまーす Next Post:
マンハッタンの家賃は上がるよ、どこまでも・・・