日本でも人気沸騰のフェイスブック、公募価格に基づく資金調達額は約160億ドル(約1兆2700億円)と、2004年の検索最大手グーグルの19億ドルを大幅に上回り、ネット関連では過去最高でしたねぇ。
米国のIPOの規模ではビザに次いで史上2番目となり、新たなステータスを「書き込んだ」かたちです。とはいえ鳴り物入りで上場した翌営業日の21日には、主幹事のMSの買い支えがなくなり一時は13%も急落してしまいました。前評判が高かっただけに、まさかの暴落を受けてマーケットの間では、「フェイスブック」ならぬ「フェイルブック」やら「フェイクブック」と野次られる始末。18日の上場でFB株を買ったというアメリカ人の個人投資家は、「正しい選択をしたか自信がないんだよね」とつぶやいてましたけど、彼の不安は的中してしまいました・・。
↓よもやの急落に、「いいね」なんて言ってられません。
FBの急落劇の幕開けは、すでに上場前から始まっていました。GMがFBの売上の生命線である広告から撤退を表明したのです。広告効果を測定できない事情から効果に対する不安と不満が生じ、FBへの広告打ち切りを決定したんですよね。実はGMの場合、後に次回のスーパーボウルのCMからも撤退すると発表しており広告戦略の変更の一環だったんでしょう。しかし、後の祭りと相成りました。
追い討ちをかけるように、こんな調査がIPO直前の17日にリリースされたことも、フェイスブック・フィーバーに浮かれた人々を正気に戻したことでしょう。デジタル・マーケティング会社
グリーンライトの調査では、FBに掲載されている広告に「クリックしたことがない、あるいはクリックするつもりはない」との回答がほぼ半数の44%に達していたことが判明したのです。
もうひとつのマイナス材料は、また売り出し価格の引き上げに伴い未公開株の大口保有者が公開株数を増やしたことでしょう。米証券会社サスケハナのアナリストによると、フェイスブックの公開株数は総株数の約18%に及んでいたそうです。一方でリンクトインはその半分以下の8%、グルーポンは5%と対照的です。上場当日の結果だけをみると、FBが上場価格からわずか23セント高(0.6%高)で引けた一方で、リンクトインは約100%高、グルーポンも約31%高でした。グルーポンの上場は2011年の11月とギリシャ危機が注目されたときと重なります。リンクトインも2011年5月と株価が下落し始めた時期にあたりますから、とりたてて相場環境が味方したとも、言いづらいですよね。
↓上場後に結婚したものの、ご祝儀どころか20億ドルの損失をこうむったザッカーバーグ氏。
FBの18日時点で時価総額がグーグルのざっくり半分となった一方で、売上高はグーグルの10分の1に過ぎないことが見直されて、21日には割高感から売り急ぐ動きもあったことでしょう。
PIMCOのエラリアンCEOは今回の急落に対し、1)割高なIP価格の設定、2)上場株数の引き上げ、3)上場株数の引き上げに伴う個人投資家への割り当て拡大--を指摘。3つの要素が複雑に絡まり合い、投資リスクを必要以上に高めたと説明してました。その上で、「何に投資するか」だけでなく、「どのように投資するか」も重視すべきと提言してます。特に市場が第注目する銘柄に手を出すときこそ、気をつけるべきだそうです。分かっちゃいるんですけどね・・・。
Comments
about the author: Sawako
My Big Apple NYは、金融・経済ネタを中心としたアップ・トゥ・デートなアメリカ情報サイトです。お届けするのは、各国中銀動向およびマクロ経済担当の為替ライターとして東京で活動→2005年からNYに拠点を移す→2015年秋からは帰国してシンクタンクに勤務→2022年10月に株式会社ストリート・インサイツを立ち上げた安田佐和子。10年間NYに在住し名実ともにニューヨーカーとなった安田が、金融や経済以外の話題も満載してお伝えします。個別の金融情報も取り上げますが、どうぞご利用はown riskでお願いいたします。
My Big Apple NY brings you up-to-date topics from financial news to New York local information.
The founder of this site is Sawako Yasuda. Please contact her for more info.