Existing-Home Sales Decrease To 9-Month Low In January.
全米リアルター協会(NAR)が発表した米1月中古住宅販売件数は年率482万件となり、市場予想の495万件に届かなかった。前月の507万件を4.9%下回り、9ヵ月ぶりの低水準。過去6ヵ月間では、3回目の減少を示した。前年比では3.2%増と、4ヵ月連続でプラス圏を維持。前月の3.5%からは、伸びを鈍化させた。大寒波と積雪もあり、30年物住宅ローン金利は1月に20ヵ月ぶりの水準へ低下したものの需要を喚起できなかった。
内訳をみると、一戸建てが前月比5.1%減の427万件。前月から減少し、足元で最も低い水準となる。複合住宅も3.5%減の55万件となり、3ヵ月連続で減少した。
4大地域別では、全地域で減少。2014年12月は、2地域で増加していた。今回は悪天候がたたり北東部が6.0%減の63万件、中西部も2.7%減の108万件と、それぞれ2ヵ月連続で減少している。温暖な気候に恵まれたものの、西部も7.1%減の104万件。南部も4.2%減の207万件と、それぞれ減少に転じた。
在庫件数は、前月比0.5%増の187万件と小幅ながら4ヵ月ぶりに増加。前月は、少なくとも10ヵ月ぶり低水準だった。在庫が増加した一方で販売が減少したため、在庫相当は4.7ヵ月となり2014年12月の4.4ヵ月を上回った。金融危機以降で最も短期化した2014年1月の4.3ヵ月から、遠のいている。中央価格は前年比で4.9%上昇の24.81万ドル。10ヵ月連続で20万ドルに乗せつつ、前月比では2.6%下落した。売り出し平均期間は69日と、前月の66日から延び足元最短だった2013年6月の37日を上回った水準を保つ。
ナイアガラの滝、大寒波でご覧のように巨大な氷の彫刻が出来上がりました。
(出所:Aaron Lynett/The Canadian Press)
買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 8%=前月は8%、前年同月は11%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 3%=前月は3%、前年同月は4%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 11%=前月は11%、前年同月は15%
・新規購入者 28%<前月は29%、前年同月は27%
・現金での購入者 27%>前月は26%、前年同月は33%
・住居用ではなく投資向け 17%=前月は17%、前年同月は20%
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「2015年の始まりは、いく分失望的に終わり全米で落ち込みをみせた」と説明。ただし「低金利という恩恵を受けながら、1月は季節的要因で変動が大きいほか、住宅在庫が縮小しており住宅価格もインフレを超える上昇を示している」とし、需要以外の要因で減速したとの見方を示唆した。
バークレイズのブレリナ・ウルシ米エコノミストは、今回の結果を受けて「1−3月期の住宅投資は当方の従来予想より弱い」と指摘。ただ、他の経済指標と合わせ米1−3月期国内総生産(GDP)予想を「2.1%増」で据え置いた。
—−以上、あらためて米1月中古住宅販売件数は新規購入者の低下を確認しました。確かに天候要因は見逃せないものの、米2月NAHB住宅市場指数は低下をたどり、米1月住宅着工件数なども弱含んでいます。失業率の低下や就業者数の増加を踏まえ今後賃金が上昇する可能性が報じられる割に、住宅市場は回復の芽は伸びず。ドル高で1−3月期の企業業績は減収・減益が見込まれるものの、1−3月期を乗り越えれば再び加速するのでしょうか。
原油安が景気をむしばむリスクとして気になるのが、米2月ダラス連銀製造業景況指数の結果です。市場予想のマイナス2.8のところ、マイナス11.2へ急低下していました。前月のマイナス4.4をあっさり抜け、2013年4月以来の低水準。内訳をみると、新規受注がマイナス12.2と2009年1月以来の落ち込みをみせ、出荷もマイナス3.3と以来の2009年以来の水準へ沈みました。テキサス州をはじめ石油に依存する州を中心に原油安が同地域の製造業を直撃し 、その上ドル高インパクトも重なり、しばらく製造業の風当たりは厳しさを増しそうです。
(カバー写真:Ulf Bodin/Flickr)
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