Earnings Roundup : Facebook, AT&T, Qualcomm, eBay.
22日引け後に発表された決算を振り返ります。フェイスブックは設備投資拡大やドル高圧力を嫌気され、時間外取引で下落しました。AT&Tとeベイは上昇。クアルコムは見通しが重しとなり、売りで反応しています。
▽フェイスブック
ソーシャルネットワーク大手が発表した1−3月(第1四半期)決算では、純利益が前年同期比13.3%減の35億4300万ドルだった。調整済み1株当たり利益は0.42ドルとなり、市場予想の0.40ドルより強い。 収入は41.6%増の35億4300万ドルと、市場予想の35億6000万ドルを下回った。2014年10−12月期決算発表後に行われたカンファレンス・コールにてデビッド・ウェイナー最高財務責任者(CFO)が指摘したように、ドル高の余波を受けており為替変動を除いた場合は55%増となる。また、設備投資拡大が利益を圧迫した。時間外取引では、一時3%近く落ち込んだ。
詳細は以下の通りで、%は前年比となる。
>月当たりのアクティブ・ユーザー数 13%増の14億4000万人、2014年10−12月期は13%増の13億9300万人
>携帯端末の月当たりアクティブ・ユーザー数 24%増の12億5000万人 、2014年10−12月期は26%増の11億9000万人
>1日当たりのアクティブ・ユーザー数平均 17%増の9億3600万人、2014年10−12月期は18%増の平均8億9000万人
>携帯端末の1日当たりアクティブ・ユーザー数平均 31%増の7億9800万人、2014年10−12月期は34%増の7億4500万人
>利用者1人当たりの収入:2.50ドル、2014年10−12月期は2.81ドル、前年同期は2.00ドル
>利用者1人当たりの収入、北米:8.32ドル、2014年10−12月期は9.00ドル、前年同期は5.85ドル
>広告収入 為替変動を除くベースで46%増の33億2000万ドル 、2014年10−12月期は53%増の35億9000万ドル
>携帯端末の広告収入 全体の73%の25億8600万ドル、2014年10−12月期は69%の24億8000万ドル、前年同期は59%
>決済/その他手数料の収入 5%減の2億2600万ドル、2014年10−12月期は7%増の2億5700万ドル
広告収入はホリデー商戦明けのQ1に落ち込む傾向が高いとはいえ、今回は下げ幅が大きい。
>費用 83%増の26億1000万ドル、調整済みで57%増の17億ドル、2014年10−12月期は87%増の27億2000万ドル
>営業利益率 調整済みで52%、2014年10−12月期は調整済みで58%、前年同期は57%
>設備投資 5億2000万ドル、2014年10−12月期は5億1700万ドル
>フリーキャッシュフロー 12億ドル、2014年10−12月期は10億700万ドル
カンファレンス・コールにて、サンドバーグ最高執行責任者(COO)はアクティブ・ビジネス・ページ数が3000万件、アクティブ広告主も200万件を突破してい点を挙げ、広告収入源として活用する方針を打ち出した。ウェイナーCFOは、ドル高により収入が1億9000万ドル押し下げられたと説明。2015年の設備投資額は、従来の前年比55〜70%増から55〜65%へ縮小させた。ウィーナーCFOは1人当たりの収入が減少した理由につき、「全体のトレンドとして収入は増加中で、前期は(ホリデー商戦を背景に)商機だったこともあり比較するのは難しい」と述べるにとどめた。
▽AT&T
通信大手が発表した1−3月(第1四半期)決算では、純利益が前年同期比9%減の3億6200万ドルだった。調整済み1株当たり利益は0.63ドルで、市場予想の0.62ドルより強い。売上高は0.3%増の325億7600万ドルとなり、市場予想の328億2000万ドルに届かなかった。
主力のワイヤレス部門の収入は、1.8%増の182億ドル。機器収入が36.1%増の34億ドルと寄与したものの、価格競争に煽られサービス収入が3.7%減の148億ドルと押し下げた。料金後納サービス収入は、頭金なしで月ごとにスマートフォンなど該当端末機を支払うシステム”AT&T ネクスト”が普及したため、減少している。
ワイヤレス利用者数は120万件増となった。注目の料金後納プランは44万1000件増となり、前年同期の62.5万件増を下回りつつ純増を果たしている。ただし、ベライゾンの56万4000件増には届かなかった。一方で、料金後納の解約率は1.02%と前年同期の1.07%を下回り過去最低を更新した。なおディレクTVの買収は、米当局の承認を待ってから年内に終了する見通し。1月に買収したネクステル・メキシコについては、2014年11月に買収したイウサセルを統合する計画だ。料金後納の解約率が過去最低を更新したほか増益を背景に、時間外取引で株価は一時1.8%も上昇した。
▽クアルコム
半導体メーカーが発表した1−3月(第2四半期)決算では、純利益が前年同期比47%減の11億ドルだった。中国での反トラスト法違反に絡む9億7500万ドルに及ぶ罰金で、圧迫されている。調整済み1株当たり利益は1.40ドルと、市場予想の1.33ドルより強い。売上高は3%減の68億9000万ドルながら、市場予想の68億3000万ドルを上回った。携帯電話向けMSMチップ出荷数は24%増の2億3300万個、デバイス総売上高は14%増の758億ドルとなる。
4—6月期につき、売上高は54億〜62億ドルを見込みアナリスト予想平均の64億8000万ドルに遠く及ばず。同社は1月時点で、サムスンのスマートフォン”ギャラクシー S6”の受注を逃したことを示唆していた。1株当たり利益見通しは0.85〜1.00ドルで、市場予想の1.13ドルを下回った。
2015年度(2015年9月末終了)の売上高は250億〜270億ドルとし、従来予想の263億〜280億ドルから下方修正。2005年の3G/4Gデバイス出荷数は15.2〜16億個とし、従来の15億〜16億個から下限を引き上げた。
カンファレンス・コールで、デレク・アベール最高経営責任者(CEO)は韓国当局も中国と同じく特許ライセンス業務をめぐる調査に着手したと発言。時間外取引で、見通しを嫌気し株価は一時2.2%沈んだ。
▽eベイ
オークションサイト大手が発表した 1−3月(第1四半期)決算では、純利益が6億2600万ドル。前年同期は海外で保有する資金の米国移転を背景に30億ドルの税金支払い義務が生じたため、23億2600万ドルの赤字を計上していた。7−9月期に予定する決済部門ペイパルの分離・独立(スピンオフ)、再編費用などを除く調整済み1株当たり利益は0.77ドルと、市場予想の0.71ドルより強い。収入は4%増の44億4800万ドルで、市場予想の44億4000万ドルを上回った。 ドル高が響いており、為替差損を除く場合は9%増となる。
収入を部門別動向は、以下の通り。
>eベイ(オークション) 4%減の20億6900万ドル、米国は2%増、海外は4%減でドル高が押し下げ要因
>ペイパル(決済) 14%増の21億800万ドル
>エンタープライズ(注文管理・配送) 7%増の2億8800万ドル*新規株式公開(IPO)あるいはスピンオフの可能性あり
4−6月期は、収入につき44億〜45億ドルを見込み市場予想の46億ドルを下回った。再編費用1億3000万〜1億5000万ドルを含む希薄後の1株当たり利益は、0.44〜0.49ドル。調整済みの1株当たり利益は0.71〜0.73ドルとなり、レンジ下限が市場予想の0.71ドルに並ぶ。
2015年は、収入につき183億5000万〜188億5000万ドルを見込み市場予想の189億5000万ドルに及ばなかった。スピンオフ・再編費用の3億5000万〜4億ドルを含む希薄後の1株当たり利益は、2.17〜2.32ドル。調整済み1株当たり利益は、3.05〜3.15ドルとなる見通しだ。スピンオフ予定のペイパルが業績を押し上げたものの、時間外で株価は一時5%超も急伸した。
(カバー写真 : mkhmarketing/Flickr)
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