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The Darkest Night、悪役はBaneでJokerじゃなかったはずなのに・・

by • July 22, 2012 • Latest NewsComments (0)1830

The Darkest Night, Literally.

日本のみなさまもご存知のように、映画バットマン「The Dark Knight Rises(邦題:ダークナイト・ライジング)」の公開初日、コロラドで銃乱射事件で無差別に12名の人々が命を落とし、58名が負傷する悪夢を迎えました。

ご存知のように、容疑者のジェームス・ホームズは24歳。元医大生で優秀な成績を残したとされており、コロラド大学で脳神経学を専攻しておりました。事件直前は、3部門に分かれた難関で有名な口頭による学年末テストを受けていたんですね。この試験後、プログラムから離脱していますが、大学側はプライバシーの問題として、結果をメディアに明かしてはいません。

ニューヨーク・ポスト紙では、The Dark KnightにちなんでThe Darkest Nightとの見出し。


映画の関係性が注目されるなか、シャイで内気とされる容疑者が乱射前に「オレはジョーカーだ!」と叫んだとされていますね。ジョーカーといえば「The Dark Knight」で怪演したヒース・レジャーを思い出しますが、彼を死に追いやったドラッグ「Vicodin」を100mg服用してたとか。まさしく、普通の精神状態でなかったことが分かっております。

ヒースのジョーカーは、赤毛ではありませんでしたけど。

今作品との類似性として、悪役のBaneが集団を引き連れ、満員のフットボール競技場で大虐殺を演じたことも挙げられています。ただし、映画関係者の間では「スーパーヒーローものに虐殺シーンはつきもの」として、犯罪を煽った点は否定しておりました。映画との関係性は別として、模倣犯が出ることを懸念してパリでの試写会はキャンセル。アメリカ国内では警備が強化されたのはいうまでもなく、主演のクリスチャン・ベールをはじめ、アン・ハサウェイも被害者に対して哀悼+お見舞いのメッセージを発表しました。

個人的には、容疑者が脳神経学を専攻していた点が皮肉である気がします。今回の事件を聞いて思い出されるのが、1966年8月1日にテキサス大学で発生した銃乱射事件。テキサス大学でエンジニアを専攻していた学生で、元海兵隊に所属していたチャールズ・ウィットマンは、何と実の母親と妻を皮切りに、合わせて16名を射殺したんです。

事件発生前に書かれたであろう遺書には、「僕が死んだ後には、目に見える障害があるかどうか死体解剖を望む(After my death I wish that an autopsy would be performed on me to see if there is any visible physical disorder)」としたためられていたんです。実際にウィットマンは警官に射殺された後で解剖され、扁桃体を圧迫する腫瘍が発見されました。扁桃体という、情動の中枢であり、不安や恐怖、攻撃性をもつかさどる機能に障害があったと診断されたのです。

ホイットマンの場合、家族とのトラブルによる深き悩みもありました。仮に扁桃体に異常があったとしても、英語でいう「Nature VS Nurture」にあるように、愛情溢れる豊かな養育を通じ、家族の支援を受けられていたならば、事件を未然に防げたのかもしれません。

翻って事件発生後のNY。「The Dark Knight Rises」を目指し、映画館には長蛇の列が出来上がっていたので、少なくともNYの観客へのダメージはさほどでもなかったのかと。フェイスブックでも、「バットマンの最新作、観に行かないWanna watch the latest Batman, anyone?」という書き込みもみられました。

アッパーウェストの映画館では、上映前にご覧の列。

NYだけをみると変わり映えしませんでしたが、北米興行収入では、事件の爪痕がありありと浮き彫りになっております。ボックス・オフィスの予想は1億7000万ドル-1億9000万ドルでしたが、蓋を開けてみると1億6200万ドル。歴代1位の「The Avengers」の2億700万ドルから大きく水を開けるかたちとなりました。歴代2位の「ハリー・ポッターと死の秘宝Part2」も、わずかながら抜けず。逆に言うと無差別殺人事件後に歴代3位を獲得したのは、さすがというべきなのか。

事件発生後のニューヨーカーの反応は、アメリカの縮図ともいえ、非常に興味深かったです。アーティスト系の女性は「親愛なるアメリカ、拳銃を禁止して全米ライフル協会をつぶしてやれ(DEAR AMERICA: BAN HANDGUNS. F%$K THE NRA)」と怒りの丈をぶつけておりました。すぐさま、銃擁護派の方から「車はどうなんだよ?銃より車による死亡例が多いんだぜ(What about cars? Ppl die because of cars more than guns.)」というメッセージが返って来たんです。激しい罵り合いの挙句に、「交通局にいって文字通り、”殺しのライセンス”をゲットし ろよ(go to the DMV and literally get your “license” to kill.)」なんて「007シリーズ」を駆使して受け答えするのも、良かれ悪しかれ映画の影響が色濃いアメリカ文化を反映してます。

 

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