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米新規失業保険申請件数、NY州が急増し約1年ぶり高水準

by • May 13, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2507

Jobless Claims Surge To 1-Year High, Blame It On NY State.

米新規失業保険申請件数と米4月輸入物価指数をおさらいしていきます。

米新規失業保険申請件数は5月7日週に29.4万件と、市場予想の27.0万件を上回った。前週の27.4万件を超え、2015年2月28日週以来の30万件乗せを視野に入れている。1973年11月以来の低水準を更新した4月16日週の24.8万件から、距離を開けた。米労働省は特殊要因を指摘していないが、引き続き30万件割れは62週連続で1973年以来の最長とのコメントを寄せた。4週平均は26万8250件で、前週の25万8000件から増加。1973年以来で最低を示した4月23日週の25万6000件を上回る。

今週は、予想外に30万件乗せに接近も過去と比較すれば低水準。

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(作成:My Big Apple NY)

4月30日週までの継続受給者数は216.1万人と、2000年以来の低水準を記録した前週の212.4万人から増加した。被保険者に占める失業者の割合は1971年以来の水準をつけた前週分が1.5%から修正されたため、12週連続で1.6%だった。

4月30日週の州別動向は、以下の通り。

(増加が顕著だった州)
・ミシガン州 4003人増 製造業がけん引
・オハイオ州 3524人増
・ニューヨーク州 2868人増 ITのほか輸送・倉庫、製造業がけん引
・カンザス州 2532人増(前週に続き増加) 製造業がけん引
・ミズーリ州 1551人増 製造業がけん引

(減少が顕著だった州)
・マサチューセッツ州 4887人減
・イリノイ州 4477人減(前週の増加分をほぼ相殺)
・カリフォルニア州 3927人減(前週に続き大幅減)、サービス業でのリストラが縮小
・ロードアイランド 1940人減(前週の増加分を相殺)

・コネチカット州 1934人減 JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受けて「ニューヨーク州で季節調整済みにて前週比2万3000人もの急増が見られた」点に注目。背景に「NY市では公立学校の春休み時期に重なった」事情を挙げ、過去にも春休みの時期を受け全体を押し上げてきたと分析する。

▽米4月輸入物価、エネルギーの伸び限定的で予想以下の上昇

米4月輸入物価指数は前月比0.3%上昇し、市場予想の0.6%に届かなかった。ただし前月の0.3%(0.2%から上方修正)を超え、2ヵ月連続で上昇。2015年5月以来の高水準を維持している。原油先物が約半年ぶりの高値へ切り返す過程で、石油が4.1%上昇したものの、前月の9.6%に届かず予想以下にとどまる。燃料を除く輸入物価指数はドル高が一服しマイナス基調から脱したとはいえ、0.1%の上昇にとどまった、以下は、項目別動向。

・産業財 1.5%、2ヵ月連続で上昇>前月は2.7%
・食品 1.3%、3ヵ月ぶりに上昇>前月はマイナス0.4%
・自動車 0.1%、2ヵ月連続で上昇=前月は0.1%
・資本財 マイナス0.1%、低下基調を維持=前月はマイナス0.1%
・消費財 マイナス0.3%  2ヵ月連続で低下=前月はマイナス0.3%

輸入物価は前年比では5.7%低下し、市場予想の5.4%から下げ幅を広げた。前月は6.1%低下(6.2%から上方修正)ほど悪化せず、2014年8月に突入した低下トレンドから改善歩調をたどる。石油と食品を除く輸入物価は2.2%低下し、前月の2.7%から下げ幅を縮小。同指数は、2014年12月にマイナス基調に入った。

前年比の輸入物価、マイナス圏での推移を継続。

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(作成:My Big Apple NY)

――米新規失業保険申請件数の急増はNY市の公立学校における春休み要因だけでなく、同州に本社を置く通信大手ベライゾンで発生したストライキの影響が挙げられます。4月13日、職のアウトソーシングと福利厚生の削減に不満を抱いたNY州を中心とした4万人に及ぶ北東部の従業員がストライキを決行した。NY州の規定では、ストに突入した従業員が失業保険を受け取る資格を得るには企業側が交代要員を採用することが必要。ベライゾンは過去2週間にわたり新規の人材を確保してきた結果、ストに参加する従業員が失業保険を申請できるようになったため、今回の増加を演出したと考えられます。いずれにしても特殊要因での増加であり、トレンドに急速に悪化したと判断するのは早計でしょう。

米4月輸入物価指数は、原油先物の反発やドル高の巻き戻しを受けながらインフレ圧力は限定的でした。世界経済全体のディスインフレ圧力が波及しているのか、なかなかインフレの芽が伸びる気配は見られません。

(カバー写真:Marco Verch/Flickr)

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