OLYMPUS DIGITAL CAMERA

米5月生産者物価指数は加速、コア前年比も回復の兆し

by • June 17, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2808

Producer Price Index Accelerates In May.

米5月生産者物価指数(PPI)とMBA住宅ローン申請件数指数、米6月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

米5月生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%上昇し、市場予想の0.1%を上回った。前月の0.2%から加速し、2ヵ月連続で上昇。4ヵ月ぶりの高水準に並んだ。コアPPIは前月比0.3%上昇し、市場予想の0.1%を超えた。前月の0.1%を上回り2ヵ月連続で上昇し、5ヵ月ぶりの水準へ加速した。PPIは前年同月比で市場予想通り0.1%低下し、前月の±0%から弱含んだ。コアPPIは市場予想の1.0%を上回り、1.2%。前月の1.0%を抜け、3ヵ月ぶりの水準へ並んだ。

内訳をみると、全体の6割を超えるサービスが前月の0.2%上昇し、2ヵ月連続で上向いた。サービスのうち3割を占める貿易が1.2%上昇し、4ヵ月ぶりにプラス圏を回復。ただし1割弱を占める輸送・倉庫は0.6%低下し、4ヵ月連続で下振れした。サービスのうち6割を占めるその他サービスも0.6%低下し、4ヵ月連続で低下したなかで最も下げ幅が大きかった。食品は0.3%上昇し、3ヵ月ぶりに反発。モノは0.7%上昇し、3ヵ月連続でプラス圏をたどるなかで最も伸びが加速した。エネルギーは2.8%の上昇と、3ヵ月連続で上昇するなかでこちらも最大の伸びを示した。

JPモルガンのジーナ・ブシュラ・サジード米エコノミストは、結果を受け「前月比ではエネルギーに始まり食品、コア全てが上振れした」と振り返る。ただし医療品に関する項目を分析すると「同部門の個人消費支出(PCE)デフレーターは0.08%と前月から若干ながら鈍化する」とあって、ヘルスケアは小幅ながら下押し要因とされる。

▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利低下でもFOMC前に反落

全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、6月10日週に前週比2.4%低下し507.7だった。前週の9.3%から反落し、過去5週間で3回目の低下を示す。新規が4.9%低下の237.6と前週から下振れ。借換も0.7%低下の2055.4と、マイナスに転じた。米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、金利が低下したものの需要を促せていない。MBA住宅ローン申請件数指数の前年比(季節調整前)は33.3%上昇し、前週の3.5%から大幅に加速した。新規が15.9%の上昇(前週は6.4%低下)と急反発したためで、借換も51.7%の上昇(前週は13.8%の上昇)だった。

30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は前週の3.83%から3.79%へ低下した。1年前の4.22%以下にとどまり、過去3年間で最低近くを保つ。15年固定金利型(平均)は前週の3.11%から3.06%へ上昇。FHAのローン金利も、前週の3.81%から3.75%へ低下した。

MBA住宅ローン申請件数指数、低金利を支えとし連休明けに大幅反発。

mba

(作成:My Big Apple NY)

申請全体に占める借換の割合(件数ベース)は55.3%と、前週の53.8%を上回った。2009年6月以来の低水準である2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。ただし2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。

▽米6月NAHB住宅市場指数、5ヵ月ぶりの高水準

米6月NAHB住宅市場指数は60となり、市場予想の59を上回った。前月まで4ヵ月連続で2015年5月以来の低水準となる58だったが、金利低下を追い風に今回は5ヵ月ぶりの水準へ上昇している。ただし、10年ぶりの最高に達した2015年9月の65からは遠ざかったままだ。

内訳をみると、一戸建て現況指数が64で、2015年4月以来の水準に下振れした前月の63から小幅に持ち直した。ままだ。景気回復サイクルで最高だった2015年9月の70は、依然として遠い。一戸建て見通し指数は70と、前月の65から急伸。少なくとも2005年10−12月期以来の高水準を達成した2015年9月の75を視野に入れている。見込み客指数は47と前月の44から上昇し、2015年11月の48に迫った。

全ての項目で上昇、金利低下が恩恵か?

nahb
(作成:My Big Apple NY)

4大地域別での住宅市場指数は、3地域が上昇。前月の2地域から増えた。今回は石油生産州を含む南部が64と前月から4ポイント上昇し、2015年10月以来の高水準を遂げている。IT産業が集まる西部も前月の67から70と、5ヵ月ぶりのレベルへ上昇した。北東部も39と直近で最低だった前月の36を上回った。一方で、中西部は前月の60から56へ低下した。上昇した。

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のエド・ブレイディ会長は、結果を受け「各地で顧客の増加を指摘し、買い意欲も強い」と評価した。ただし引き続き「人材や建設地の不足に加え、一部の市場での鈍化を確認した」との懸念を寄せた。ロバート・ディエス主席エコノミストは「見通し指数が8ヵ月ぶり高水準で、住宅市場は年後半にかけ強いモメンタムを維持する」とまとめた。

――米5月PPIは強含みましたが、前年比では振るわず。6月米連邦公開市場委員会(FOMC)の経済・金利見通しでインフレ見通しの上方修正が小幅だった理由が垣間見れます。MBA住宅ローン申請件数指数は金利低下でも、FOMC前はさすがに買い意欲が後退。米6月NAHB住宅市場指数は金利低下の恩恵から需要の芽吹きをみせつけており、今後好転する期待が残ります。

(カバー写真:Rebecca/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.