Rent And Healthcare Cost Support Consumer Price Index.
米5月消費者物価指数と、米新規失業保険申請件数をおさらいしていきます。
米5月消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%上昇し、市場予想の0.3%以下にとどまった。2013年2月以来の強い伸びを達成した前月の0.4%から鈍化している、原油先物が2003年以来の安値から回復し5月にかけ50ドルを超え約10ヵ月ぶりの高値を目指したが、エネルギーが3ヵ月連続で上昇したとはいえ前月の3.4%から1.2%へ鈍化。ガソリン価格も前月の8.1%から2.3%と、伸びを約4分の1に狭めた。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は2月に一時1.724ドルへ下落し2009年3月以来の2ドル割れを示した後、5月に一時2.399ドルまで上昇。ただ4月に一時2.162ドルまで上昇しており、前月比での伸びは抑えられた模様だ。食品・飲料は0.2%低下し、前月分の上昇を相殺した。
CPIコアは前月比0.2%上昇し、市場予想及び前月に並んだ。2011年8月以来の高水準に並んだ2月の0.3%で、いったんのピークアウトを示す。項目別動向は、以下の通り。
・帰属家賃 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・家賃 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇、3ヵ月平均は0.3%の上昇
・住宅 0.3%上昇>前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・サービス 0.3%の上昇>前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・医療費 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇。
・服飾 0.8%の上昇>前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・娯楽 0%<前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・宿泊 0.4%の上昇>前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・教育 0.1%の低下>前月は0.1%の上昇、6ヵ月平均は0%
・中古車 1.3%の低下<前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は0.2%の低下
・新車 0.1%の低下>前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は0%
・航空運賃 1.5%の低下<前月は1.1%の上昇、3ヵ月平均は0.4%の低下
CPIの前年比では4月と同じく1.0%上昇となり、市場予想の1.1%以下に収まった。2014年10月以来で最高を示した1月の1.4%以下にとどまる。CPIコアの前年比は市場予想通り2.2%となり、前月の2.1%から上昇。ただし、2012年5月以来の高水準に達した2月の2.3%を下回った。
コアCPI、Fedが注目するコアPCEとともに前年比で伸び悩み。
BNPパリバのローラ・ロスナー米エコノミストは、結果に対し「CPIの40%を占める帰属家賃と家賃、そのほか宿泊費や医療費が寄与しコアCPI財部門の0.2%の低下を相殺した」と指摘。一方で「コアPCEでは宿泊費の割合が低下するため、コアCPIの数字はコアPCEに直接反映されると想定していない」と結んだ。
▽米新規失業保険申請件数、1ヵ月ぶりの水準へ増加
米新規失業保険申請件数は6月11日週に27.7万件と、予想の27.0万件を上回った。前週の26.4万件から増加し、1ヵ月ぶりの高水準を示す。米労働省は特殊要因を指摘せず、30万件割れは67週連続で1973年以来の最長とのコメントを寄せた。4週平均は26万9250件と前週の26万9500件から減少しつつ、1973年以来で最低を示した4月23日週の25万6000件を上回る水準を保つ。
米新規失業保険申請件数、過去と比較すれば安定的な推移をキープ。
(作成:My Big Apple NY)
6月4日週までの継続受給者数は215.7万人と、前週の211.2万人から増加した。被保険者に占める失業者の割合は過去最低だった前週の1.5%から、今回は1.6%ヘ戻した。
6月4日週の州別動向は、以下の通り。
(増加が顕著だった州)
・ペンシルベニア州 2049人増(前週の551人減から反転)
→輸送/倉庫、ヘルスケア/社会補助、宿泊/外食、製造業が牽引
・オハイオ州 1830人増
→輸送/倉庫、製造業が牽引
・ウィスコンシン州 1341人増
・ルイジアナ州 452人増
・ケンタッキー州 300人増
(減少が顕著だった州)
・カリフォルニア州 9038人減(前週の3827人増から反転)
→サービス業が牽引
・ジョージア州 1251人減(前週の1832人増から反転)
→製造業、建設、事務/サポート/廃棄処理が牽引
・ニュージャージー州 1214人減
→事務/サポート/廃棄処理、建設、小売、宿泊/外食、ヘルスケア/社会補助が牽引
・ミズーリ州 1202人減
→宿泊/外食、輸送/倉庫、ヘルスケア/社会補助が牽引
・ニューヨーク州 853人減
——米5月CPIはまちまちで、コアの堅調ぶりは帰属家賃や家賃といった不動産のほか、医療費が寄与していたことが分かりました。一方で中古車が1.3%低下したほか新車も振るわず、財部門は軟調で全体的に物価が上昇している兆しはみられません。
米新規失業保険申請件数は1ヵ月ぶりの高水準だったとはいえ、4週平均は26万9250件でした。米5月雇用統計のサンプル週、4週平均の27万5750件を大きく下回ります。ここを抜けるには少なくとも来週に28万件以上となる必要がありますが、現状ではその可能性は低く米6月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は改善する可能性が高いと言えるでしょう。
(カバー写真:Eden/Flickr)
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