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米9月CPIはほぼ横ばい、ガソリンが上昇も医療費が鈍化

by • October 19, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1926

Consumer Price Index Stable, Medical Care Cools Down.

米9月消費者物価指数、米10月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

米9月消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%上昇し、市場予想と並んだ。前月の0.2%を超えつつ、2013年2月以来の強い伸びを達成した4月の0.4%には届かず。原油先物が40ドル台で安定しつつ、エネルギーが2.9%上昇し前月の±0%と前月から反転。ガソリン価格も前月の0.9%の低下から、今回は5.5%の上昇に転じている。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は2月に一時1.724ドルへ下落し2009年3月以来の2ドル割れを示した後、9月は原油先物が40ドル台で安定するなか2.20~2.22ドル台で小動きだった。食品・飲料は3ヵ月連続で±0%だった。

CPIコアは前月比0.1%上昇し、市場予想の0.2%以下に終わった。2011年8月以来の高水準に並んだ前月の0.3%から鈍化している。項目別動向は、以下の通り。

・帰属家賃 0.4%の上昇>前月は0.3%の上昇、3ヵ月平均は0.3%の上昇
・家賃 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇、3ヵ月平均は0.3%の上昇

・サービス 0.2%の上昇<前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・医療サービス ±0%<前月は1.0%の上昇と1984年ぶりの高水準、6ヵ月平均は0.4%の上昇。
・服飾 0.7%の低下<前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下

・教育 0.3%の低下<前月は±0%、6ヵ月平均は0.2%の低下
・娯楽 0.1%の上昇>前月は0.1%の低下、3ヵ月平均は±0%

・中古車 0.3%の低下>前月は0.6%の低下、3ヵ月平均は0.6%の低下
・新車 0.1%の低下<前月は±0%、3ヵ月平均は±0%
・航空運賃 0.4%の上昇>前月は0.1%の低下、3ヵ月平均は1.5%の低下

CPIの前年比では1.5%上昇し市場予想と一致した。前月の1.1%から加速し、2014年10月以来で最高を示す。CPIコアの前年比は2.2%の上昇にとどまり、市場予想であり前月値で2012年5月以来の高水準だった2.3%を下回った。

コアCPI、Fedが注目するコアPCEとともに前年比で伸び悩み。

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(作成:My Big Apple NY)

――米9月CPIはエネルギー価格が上昇しなかったものの、ベース効果で強含みました。全体のCPIを支えた半面、今回は医療サービスが前月の反動で上昇にブレーキを掛けています。9月に入りドル高が加速しているため輸入物価を中心に下落圧力が掛かると想定され、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げペースを引き上げるシナリオは考えにくいでしょう。

▽米10月NAHB住宅市場指数、金利上昇受け10年ぶり高水準から鈍化

米10月NAHB住宅市場指数は63となり、市場予想の60を上回った。10年ぶりの最高に達した前月の65にわずかながら届かず。9月20~21日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ見送りを決定した一方でドイツ銀行の財務不安に絡みドル資金不足に陥ったためロンドンア銀行間取引金利(LIBOR)に金利が上振れし、センチメントの鈍化を招いた。

内訳をみると、一戸建て現況指数が景気回復サイクルで最高に達した前月の71から69へ低下した。一戸建て見通し指数は前月の71から72へ上昇し、直近で最高を達成。見込み客指数は46と、2015年11月以来の高水準だった47から低下した

全体的に上向きつつ、見込み客指数のみ低下。

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(作成:My Big Apple NY)

4大地域別での住宅市場指数は2地域で上昇、9月は全て上昇していた。北東部が前月の42から46と直近で最高、中西部は前月の57から59へ上向き6ヵ月ぶりの高水準。IT産業が集まる西部は前月の82から74、石油生産州を含む南部も前月の68から64と、それぞれ直近の最高から鈍化した。

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のエド・ブレイディ会長は、結果を受け「10月は前月から低下したとはいえ、年初来で2番目の高水準だった」と振り返り、住宅市場の回復は底堅さを示すと評価した。もっとも「住宅用の土地や人材などの不足は懸念材料」と指摘するのも忘れない。ロバート・ディエス主席エコノミストは「住宅ローン金利が低水準にあり一戸建て見通し指数が2ヵ月連続で70だったため、成長を維持する」と楽観的な見方を寄せた。

――米10月NAHB住宅市場指数は米10年債利回りが約4ヵ月ぶりに1.8%台に乗せたものの、小幅鈍化にとどまり10年ぶりの高水準近くを維持しています。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が物価や労働市場が高止まりする「高圧経済」を受容する姿勢を示すなか、利上げペースが非常にゆるやかにとどまる見通しで金利上昇懸念が低いのでしょう。また米9月雇用統計こそペースダウンが見られつつ平均時給が好調であり、注目の米大統領選も共和党のトランプ候補が勝利する可能性が後退しており不透明性をめぐる不安も払しょくされたと考えられます。あるいは、両党の候補が旗印に掲げるインフラ投資が労働市場と景気を下支えするとの安心感が漂っているのかもしれません。

(カバー写真:J Franklin/Flickr)

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