Which Cable Network Attract More Than Their Rivals During Presidential Debate?
暴言を炸裂させる共和党のトランプ候補VS不人気ぶりが著しい民主党のクリントン候補——前代未聞の米大統領選の行方を見守ろうと、多くの米国民がチャンネルを合わせています。9月26日に火蓋が切って落とされた第1回討論会では視聴者数が8,300万人と、レーガン候補とVSカーター米大統領(当時)との間で1980年に記録した過去最高の8,060万人を更新していきました(第2回は6,650万人、第3回は7,160万人)。
米大統領選に国民の意識が向かうなか、米大統領選という甘い果実を最も享受しているケーブル放送のTV局はどこでしょうか?それは、リベラル派のMSNBCです。全時間帯での視聴者数の平均は前年同期比80%増の67.6万人、25〜54歳の主力ターゲット層でも同83%増の16.8万人でした 。プライムタイム(19時〜22時)での視聴者数に至っては全体で96%増の122.4万人、主力ターゲット層でも112%増の29.7万人と大躍進しています。特にキャスターとして初めて同性愛者とカミングアウトしたことで知られる女性の看板番組「レイチェル・マドウ・ショー」は、CNNの人気ニュース司会者で映画「バットマンVSスーパーマン」にもカメオ出演したアンダーソン・クーパー氏の番組を3期連続で上回りました。
リベラル寄り中立派のCNNは伸び率こそ後塵を拝するものの、大健闘しています。7〜9月期のプライムタイム視聴者数平均こそ前年同期比59%増の121.6万人で、TV局のうちMSNBCに次ぐ3位に甘んじました。しかし主力ターゲット層では同49%増の39.9万人を達成したおかげで、2位に浮上しています。全時間帯では同61%増の78.7万人 、主力ターゲット層では68%増の24.0万人で2位を確保し、8年ぶりの高水準をつけました。
保守派色の強いフォックス・ニュースは、TV局として視聴者数1位を明け渡す気配はありません。全時間帯での視聴者数は同29%増の141.0万人、主力ターゲット層は同31%増の27.6万人。プライムタイムでの視聴者数は同25%増の243.7万人、主力ターゲット層では50%増の45.9万人でした。
米大統領選を見極める上で浮動票が鍵を握りますが、討論会の放送時間を含むプライムタイム動向の主力ターゲット層で伸びが顕著だったのはMSNBCでした。つまり、浮動票はトランプ候補を舌鋒鋭く批判するTV局を選好したと言えます。
3者の動向をおさらいしてみると、以下の通り。順位はプライムタイムの主力ターゲット層となります。
1位 フォックス・ニュース
(プライムタイム)
全体の視聴者数 25%増の243.7万人
主力ターゲット層 50%増の45.9万人
(全時間帯)
全体の視聴者数 29%増の141.0万人
主力ターゲット層 31%増の27.6万人
2位 CNN
(プライムタイム)
全体の視聴者数 59%増の121.6万人
主力ターゲット層 49%増の39.9万人
(全時間帯)
全体の視聴者数 61%増の78.7万人
主力ターゲット層 68%増の24.0万人
3位 MSNBC
(プライムタイム)
全体の視聴者数 96%増の122.4万人
主力ターゲット層 112%増の29.7万人
(全時間帯)
全体の視聴者数 80%増の67.6万人
主力ターゲット層 83%増の16.8万人
トランプ候補、接戦州どころか民主党寄りの州を獲得しなければ勝てない状況。
(出所:270 to win/Fivethirtyeight)
足元のクリントン候補が優勢となりつつある世論調査結果と整合的で、トランプ候補の支持層が岩盤のように堅い一方で、伸びしろが狭いことを表しているのではないでしょうか。少なくともクリントン候補が本選で勝利した場合に備え早くも受け入れ拒否を示唆したトランプ候補は、そうした現状を把握していそうです。むしろ、強固なトランプ支持層を基盤としたトランプTVを旗揚げすると共に、第3勢力を誕生させうる?
(カバー写真:C-Span)
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