Job Openings Post Record High Even As Hiring Slips.
米労働省が発表した米6月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は前月比8.1%増の616.3万人と、市場予想の575.0万人を上回った。前月から増加に転じ、過去6ヵ月間で5回目のプラスに。雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が6月に20.9万人増へ上方修正されたように、求人数は順調に増加し2000年末の統計開始以来で最高を記録している。
採用人数は前月比1.9%減の5356万人と、前月から減少に転じた。年初来では2回目の減少を迎えたが、前月に大幅増加しただけに水準としては年初来では2006年以降で最高に近い。
離職者数は前月比0.4%減の522.4万人と、2006年11月以来のレベルに達した前月から小幅ながら減少に転じた。年初来では、2回目の減少を示す。定年や自己都合による自発的離職者数は2.2%減の313.4万人と、前月から減少し年初から2回目のマイナスに。過去最高を記録した2001年1月の345万人から遠ざかった。解雇者数は1.7%増170.1万人と、年初来で4回目の増加を迎えただけでなく2016年5月以来の170万人台に乗せている。
米6月雇用統計・NFPと歩調を合わせ、採用者数は大幅増加。
求人率は4.0%となり、前月の3.9%から上昇した。2016年7月につけた過去最高に並ぶ。民間が4.3%となり、2015年7月と同じく統計開始以来の最高だった。政府は前月の2.3%から上昇、2.5%と2016年11月に続き過去最高となる。
採用率は前月と一致し3.7%で、1年ぶりの低水準となる4月の3.5%を上回った。今回は民間が前月に続き4.2%となり、過去最高の4.4%以下を保つ。政府は5ヵ月連続で1.5%だった。
自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.6%と、前月の3.4%から低下し過去最高の3.8%へ再び近づいた。民間が4.0%と前月の3.8%から上昇、2016年2月以来の高水準に並んだ。政府は、前月に続き1.5%だった。自発的離職率は前月通り2.0%、2015年12月以来の水準及び過去最高の2.4%以下を保つ。解雇率は7ヵ月連続で1.1%と過去最低を経て、1.2%へ上昇した。
労働市場の逼迫を表す通り、離職者数のうち自発的離職者が増加。
――以上の結果を踏まえ、今となっては死語と化したイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中、5項目と2月に並び最多だった5月の6項目から減少した。今回は自発的離職率が脱落した。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。
1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 4.0%
2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.2%
3)自発的離職率—×
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.0%
4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.7%
5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 19.5万人増
6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.3%
7)不完全失業率—○
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 8.6%
8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 25.9%
9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.9%
――求人数が過去最高である一方、採用数が減少し雇用のミスマッチをあらためて確認しました。米6月雇用統計・NFPが前月に続き20万人乗せを達成したものの、増加幅のほぼ半分が外食サービスとヘルスケアだった半面、財のうち建設や鉱業が減速したように高スキル職が牽引したとは言えません。労働参加率をみると25~54歳の働き盛り世代での改善ペースは依然として鈍い。労働市場は健全な数字を叩き出してはいますが、金融危機後の変化を引きずったままと言えるでしょう。
(カバー写真:Roadsidepictures/Flickr)
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