Consumers Don’t Seem To Worry About Debt-Ceiling Debate.
米8月消費者信頼感指数、米6月S&P/ケースシラー住宅価格指数、連銀製造業景況指数をおさらいしていきます。
米8月消費者信頼感指数は122.9となり、市場予想の120.7を上回った。前月の120.0(121.1から下方修正)を超え、2000年12月以来の高水準。内訳をみると、見通し指数が104.0と前月の103.0(103.3から下方修正)を超え、2004年7月以降で4番目の水準へ上昇。現況指数も151.2と前月の145.4(147.8から下方修正)を上回り、2001年7月以来のレベルまで上振れした。バージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義者と反対派の衝突を受けトランプ米大統領の対応が問題視され、かつ北朝鮮のミサイル問題や債務上限引き上げ交渉への懸念が募るものの、センチメントは現況指数が支え米大統領選後の高水準を維持している。
発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、現況指数が牽引した結果に対し「短期的な見通しは、ほぼ横ばいで消費者は楽観的でも成長加速を見込んでいない」との考えを寄せた。
消費者信頼感指数、リセッション前の平均値103.5を目指せるか。
(作成:カンファレンス・ボードよりMy Big Apple NY)
今回は現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは18.1だった。前月の14.5を上回り、2001年7月以来の高水準だった。以下は、結果の詳細。
ビジネス環境については、「良い」が上昇し「悪い」が低下
「良い」34.5%→前月の32.5%から上昇、前年同月は30.3%
「悪い」13.1%→前月の13.5%から上昇、前年同月は18.2%
労働市場については「豊富」が上昇し、「困難」が低下、DIは14ヵ月連続でプラスを示す
「職が豊富」35.4%→前月の33.2%から上昇、前年同月は26.8%
「あまり職が豊富ではない」47.3%→前月の48.1%から低下、前年同月は50.4%
「職探しが困難」17.3%→前月の18.7%から低下、前年同月は22.8%
6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」と「悪化する」が低下
「良くなる」19.6%→前月の22.4%から低下、前年同月は17.6%
「悪化する」7.3%→前月の8.4%から低下、前年同月は11.4%
「変わらず」73.1%→前月の69.2%から上昇、前年同月は71.0%
6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」と「減少」がそろって低下、「増加」が10ヵ月連続で「減少」を上回る
「雇用が増加する」17.1%→前月の18.5%から低下、前年同月は14.4%
「雇用が減少する」13.0%→前月の13.2%から低下、前年同月は17.5%
「変わらず」69.9%→前月の68.3%から上昇、前年同月は68.1%
6ヵ月先の所得への見方は「増加」が上昇、「減少」が低下
「増加する」20.9%→前月の20.0%から上昇、前年同月は18.5%
「減少する」7.8%→前月の9.5%から低下、前年同月は11.0%
「変わらず」71.3%→前月の70.5%から上昇、前年同月は70.5%
購入見通しは、主要機器のみ上昇した。主要機器は50.2%と、直近で最低だった前月の47.7%を上回った。住宅は7ヵ月ぶりの高水準だった前月の6.7%から、6.4%へ低下。自動車は12.6%と、3ヵ月ぶりの高水準だった前月の13.6%を下回った。
――米7月消費者信頼感指数は引き続き力強く、小売売上高が上方修正された動きと整合的です。個人消費が7~9月期も成長に寄与する期待が高まります。問題は、ハリケーン/熱帯暴風雨“ハービー”向け災害救援基金に向けた協議です。債務上限引き上げ交渉に付帯するのか、予算協議の合わせてくるのか。
緊急事態管理庁(FEMA)が管理する災害基金はわずか33億ドルとされているだけに、復興支援向けに基金を引き上げる必要がでてくるでしょう。ビジネス・インサイダーの取材に応じたワシントン政治情報に強いホライゾン・インベストメントのグレッグ・バリエール氏は「債務上限引き上げ案との合わせ技となり、比較的早急に合意できる」と楽観的な見通しを示します。予算協議では、トランプ米大統領はメキシコの壁建設費用16億ドルを盛り込まなければ拒否権を行使すると発言していたので、債務上限引き上げ交渉が妥当なのでしょう。
▽米6月S&P/ケースシラー住宅価格指数、20都市の前年比は年初来で最低
米6月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は192.6なり、前月の190.79(190.61から上方修正)を抜け過去最高を更新した。20都市別の季節調整前では前年同月比5.65%上昇の198.97と市場予想の5.60%を上回った。指数ベースでは少なくとも2007年9月以来の高水準で、5年連続でのプラス圏を保つ。ただし伸び率は前月の5.74%(5.69%から上方修正)に届かず、年初来で最低を更新した。季節調整済み・20都市別の前月比は0.11%の上昇と、市場予想の0.10%とほぼ一致した。ただし、前月の0.13%(0.11%から上方修正)を下回り、前月比と前年比を含め足元から伸びを鈍化させている。
20都市別での季節調整済みベース・前月比でトップはワシントン州シアトルで1.45%の上昇(前月の1.78%から鈍化)、同じく1位はミシガン州デトロイトで1.45%の上昇(前月の1.09%から加速)、3位はネバダ州ラスベガスで1.0%の上昇(前月の1.38%から鈍化)だった。ワースト1位はフロリダ州マイアミで0.44%の上昇(前月の0.80%から鈍化)、2位はフロリダ州タンパで0.48%の上昇(前月の1.17%から鈍化)、3位はジョージア州アトランタで0.57%の上昇(前月の0.91%から鈍化)だった。
▽製造業景況指数、8月の一覧
米8月ダラス連銀製造業景況指数は17と、市場予想に並んだ。前月の16.8を超えたものの、直近で最高を果たした2月の24.5以下を続けている。6ヵ月先の見通し指数は16.3と、2006年3月以来の高水準だった前月の25.9を下回った。
5地区連銀の製造業景況指数では前月との比較で3勝1敗1分(NY連銀、カンザスシティ連銀、ダラス連銀が上昇、リッチモンド連銀が前月と変わらず、フィラデルフィア連銀が低下)でした。
(作成:My Big Apple NY)
翻って米8月ISM製造業景況指数のエコノミスト予想平均(ブルームバーグ調べ)は現時点で56.5と、前月の56.3を上回る見通しです。2014年10月以来の高水準だった6月の57.8以下とはいえ、米大統領選挙後の高水準を維持するもよう。米4~6月期GDP速報値で企業部門が成長を支えた後も、米7月耐久財受注では堅調な設備投資が示唆されており、製造業活動は引き続き成長に寄与すると考えられます。
(カバー写真:Chris & Karen Highland/Flickr)
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【追記】保守系メディアが主張する、トランプ政権の北朝鮮対応策とは Next Post:
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