If U.S. And China Avoid ‘Trade War”, This Country Could Be Affected The Most.
「ビジネスの世界では、誰かのバッドニュースは大抵誰かのバッドニュースである(In the business world, bad news is usually good news – for somebody else.)」とは、ニューヨーカー誌の元記者であるジェームズ・スロウィッキー氏の言葉ですが、外交でも政治でも、同じことですよね。
習近平主席は10日、経済年次会議”博鰲アジアフォーラム”で高らかに市場開放策を発表しました。自動車の関税引き下げをはじめ知的財産の保護、外資の参入規制緩和、投資環境の改善を約束したのです。トランプ大統領や米国との文言を一切挟まなかったものの、米中貿易戦争回避への一手だったことは言うまでもありません。米株市場は同ニュースを大いに歓迎し、ダウは一時500ドル以上の上昇を遂げました。
その陰で、米中貿易戦争回避に身構えているかもしれない国が存在します。ジョン・ボルトン元国連大使の大統領補佐官(安全保障担当)就任に安堵したであろう、台湾です。
ボルトン氏は中国牽制に”台湾カード”が有効と捉え、1)米軍の台湾駐留、2)実質的に大使館の役割を担う米国在台湾協会の昇格、3)葵英文総統の米国公式訪問——などを提言してきました。そのボルトン氏が補佐官に就任する前の3月17日、台湾旅行法にトランプ大統領が署名し、米国と台湾の政府高官による相互訪問の制限を撤廃しました。中国の逆鱗に触れたことは言うまでもなく、駐米中国大使は猛抗議したものです。
ボルトン氏、親台湾路線の先導役として存在感を示せるか。
(出所:Gage Skidmore/Flickr)
同法に加え4月7日、トランプ大統領が台湾の潜水艦建設計画に米国企業の参加を承認したとの報道が飛び出しました。次々と舞い込む朗報に、台湾は5月21〜26日に開催される世界保健総会で、米国が台湾の世界保健機関(WHO)加盟を支持する感触を持ったかもしれません。しかし、ここへ来て米中間の対立が回避されようものなら、米国が中国とどこかで妥協を強いられかねない。
駆け引き好きなトランプ大統領がおいそれと台湾カードを切り捨てるとは考えづらいものの、これまでの親台湾路線が不変とは限りません。中国は習主席が市場開放策を宣言する直前の9日、台湾などと領有権を争う南沙諸島に電波妨害設備を立ち上げ、実効支配へまた一歩迫りました。習主席がトランプ政権に送った飴は、必ずしも甘いとは限らなさそうです。
(カバー写真:Ludovic Lubeigt/Flickr)
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