Less Americans Getting Married Could Mean Less Relocation.
アメリカ人が引っ越ししない理由に、住宅価格や家賃の高騰を思い浮かべる方々も多いのではないでしょうか。住宅価格や家賃は景気回復過程において平均時給の伸び率を上回って推移し、特に住宅価格は売り出し物件の減少もあって、平均時給の3倍以上の伸びを示したものです。
賃貸住宅に居住する場合、家賃上昇の対応策には引っ越しという選択肢があるなかで、過去1年間に住宅費の節約を求めて引っ越ししたアメリカ人は2015年をボトムに下げ止まり中。2017年は289.5万人と、1999年以降の平均値である303.1万人を下回ったままです。一方で、より良い住環境を求めて引っ越ししたアメリカ人は557.6万人と、1999年以降の平均値649万人を大きく下回ります。好悪材料どちらも、アメリカ人の引っ越しを促していません
では、引っ越しを決めるライフステージの変化をみてみましょう。ズバリ、結婚です。
結婚を理由に引っ越したアメリカ人も、全体の流れと歩調を合わせ減少し、2016年は過去最低の168万人でした。引っ越しに全体に占めるシェアは同年に4.8%と1999年以降で最低を更新した後、2017年に5.1%へ改善したものの、金融危機前と比較すると低水準であることは否めず。なお、成長率との相関関係が見て取れます。結婚を理由に引っ越したアメリカ人が増加した2015年には成長率が2.9%増と加速し、逆に2016年は1.6%増と景気回復段階で最低にとどまりました。
既婚者数も、結婚を理由に引っ越しした米国人の減少に合わせ右肩下がりの状態です。2016年に1950年に統計を開始して以来で最低の52.1%をつけた後、52.4%へ小幅改善した程度。金融危機後、女性を中心に高学歴化が進み、男女共に初婚年齢は上昇してきました。それにつれて既婚率が低下し、引っ越しの機会を抑制している可能性を示唆します。
裏を返せば、アメリカ人がキャリア形成・安定所得を重視するようになったと捉えられ、結果的にGDPの68%を占める消費が堅調に推移する期待も。引っ越ししないアメリカ人は、ゴルディロックス経済の担い手であるのかもしれません。
(カバー写真:Jim Pennucci/Flickr)
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