Industrial Production Rises As Energy And Auto Surge, Will It Continue?
米8月鉱工業生産指数は前月比0.4%上昇し、市場予想の0.3%の上昇を上回った。前月の0.4%の上昇(0.1%から上方修正)と並び、年初来で6回目のプラスを示す。前年比では4.9%の上昇となり、2月から続く3%超えの高い伸びを維持しただけでなく、2011年12月以来の高水準だった。
稼働率は78.1%と、前月の77.9%(78.1%から上方修正)を上回った。市場予想の78.2%には届かなかったが、2015年3月以来の78%台を回復した4月の78.2%に次ぐ水準となる。今後、法人税率引き下げや設備投資の全額控除、レパトリの効果で、稼働率がリセッション前の80%台を回復できるか注目だ。
鉱工業生産の前年比は2010年12月以来の高水準、設備稼働率は原油安で低下した分を巻き戻す展開。
内訳をみると、製造業(全体の75.5%)は3ヵ月連続で上昇した。自動車を除く製造業(69.9%)は前月まで2ヵ月連続での上昇を経て、横ばいに反転。公益(全体の10.4%)は北東部などでの猛暑を手掛かりに、2ヵ月連続で上昇した。原油価格が70ドル割れで安定的に推移するなか、鉱業(全体の14.2%)は上昇基調を保つ。
・製造業 0.2%の上昇<前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
>自動車を除く製造業 ±0%<前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
>自動車 4.0%の上昇>前月は1.4%の低下、6ヵ月平均は0.3%の上昇
>機械 1.1%の上昇<前月は1.2%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の上昇
>コンピューター/電子部品 0.3%の低下<前月は1.2%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の上昇
・公益 1.2%の上昇>前月は0.1%の上昇、6ヵ月平均は1.2%の上昇
>電力 1.4%の上昇>前月は0.9%の低下、6ヵ月平均は1.1%の上昇
>天然ガス 0.2%の低下<前月は6.9%の上昇、6ヵ月平均は3.3%の上昇
・鉱業 0.7%の上昇=前月は0.7%の上昇、6ヵ月平均は1.0%の上昇
堅調な流れを維持する製造業のうち、耐久財は1.0%上昇となり、前月の0.1%を上回った。自動車が4.0%上昇し1.4%の低下を打ち消す動きを見せたほか、機械も1.1%上昇、2ヵ月連続で1%超えの上昇となり、全体を支えた。逆にコンピューター/電子機器は前月まで2ヵ月連続での1%超えを経て、今回は0.3%の低下を示した。電気機器・部品は0.5%低下し、3ヵ月ぶりにマイナスに。カナダ産木材への相殺関税、鉄鋼・アルミ追加関税に直面するなか、住宅関連に必要な木材は0.1%と2ヵ月連続で低下した半面、一次金属は3.0%上昇し前月の低下を打ち消した。組み立て金属も、0.2%上昇し前月のマイナスから転じている。非耐久財は0.5%低下で、特に服飾・革製品が1.8%低下したほか、製紙も1.1%低下、化学も0.7%低下、プラスチック・ゴムも0.7%低そろってマイナスに転じている。
製造業別では、自動車・部品がトラック工場の火災を経て急回復したほか、鉱業が牽引。
――GDPのうち、引き続き企業の設備投資を表す機器投資が成長に寄与する見通しです。鉱工業生産は公益と鉱業も共に上昇。アトランタ地区連銀は、米8月鉱工業生産までの結果を受け、米7~9月期成長率予測値を従来の3.8%増から4.4%増へ上方修正したのも、頷けます。とはいえ、NY連銀は2.2%増で据え置きました。アトランタ地区連銀がGDPに影響する経済指標を網羅する一方、NY地区連銀は全ての経済指標をカバーするなか、両者の数字は分かれていますが、エコノミスト予測値では3%成長が優勢。7~9月期も、高成長をたどりそうです。
問題は、2019年と言えるかもしれません。9月ベージュブックで白日の下にさらされた通り、追加関税措置を受けて設備投資の縮小や先送りが聞かれていました。しかも、トランプ政権は9月17日の米株相場終了後に、2,000億ドル相当の対中追加関税措置を決定。9月24日から発動し、米中貿易戦争激化の懸念が横たわります。
(カバー写真:Number 10/Flickr)
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