Maximum Employment Blues? American Workers Feeling “FOBO”.
ミレニアル世代を大行する言葉と言えば、FOMO(Fear Of Missing Out=取り残される不安)、YOLO(You Only Live Once=人生は一度きり)などが挙げられます。しかし、ここにきて、FOBOにむしばまれるアメリカ人労働者の増加中というではありませんか。
FOBOは、安定した労働市場がもたらした弊害とも言えるでしょう。なぜなら、FOBOとは「Fear Of Better Options=より良い選択肢への恐れ」、つまりは現状維持ですからね。就職転職向けSNSのリンクトインの調査によれば、従業員の68%が「今の仕事、職場、会社よりベターな選択肢があるのでは」と逡巡しつつ、行動に移せず、キャリアアップにも二の足を踏んでいるのだとか。FOBOを感じる要因としては勤続年数の長さをはじめ給与交渉の場面、結婚など仕事以外での重大イベントなどが挙げられています。
FOBOを心に抱く従業員の拠り所はというと、悲しいかなというべきか当然とみなすべきか、会社関係者ではありません。家族が約4割を占めるほか、ジェネレーションZ(1990年代後半~2000年代半ばの生まれ)の35%はオンライン・コミュニティに頼るといいます。仕事上での困難な局面で会社関係者に相談することをためらうとの回答が35%に及ぶ通り、自身の力不足を知られたくないなど、会社で虚勢を張る従業員も少なくないからでしょう。意外に小心者なアメリカ人の側面に、アヒル症候群を思い出します。
アメリカでは「ブルー・マンデー(Blue Monday)」を超え、もっと深刻な意味を表す言葉も誕生しています。それこそ、Sunday Scaries。そう、これまでは週末が明けた月曜日に会社に戻って感じる憂鬱が、日曜日の恐怖に取って代わりました。いくら景気が絶好調とは言え、働けど働けど、なお我が暮らし・・という状態で、勤労意欲が低下しているのでしょうか?住宅保有率も2018 年4~6月期に64.3%と金融危機前の平均値68.2%(2000~2008年)を下回り、平均時給も直近こそ上向いたとはいえ、過去の3~4%台に乗せていませんものね。おまけに、格差も拡大する状況です。
上位5%の所得は、中位50%の3.9倍と統計が開始した1967以来で最大に。
労働市場が逼迫しているとはいえ、働く者の悩みが消えるわけではありません。以下はリンクトインが調査した従業員が直面する問題トップ10。
10位 受信したメール全てへの対応 13%
9位 男女格差のない賃金、給与交渉 15%
8位 困った時に頼る人がいない 16%
7位 職場での仕事に熱心になれない 19%
6位 キャリアアップ 22%
5位 上司への対応 23%
4位 職場での政治 25%
3位 同僚への対応 25%
2位 仕事の切り盛り 31%
1位 ワークライフ・バランスの調整 38%
こうしてみると、アメリカ人も日本人と変わらない問題に直面していると言えそうです。個人的には「上司への対応」を悩みとする回答が23%に対し、「同僚への対応」が26%と上回った点が実に興味深かった。日本だと、逆なパターンが多い気がしますけどね。やはりそこはザ・競争社会のアメリカで、同僚でも味方とは言えないのでしょう。
(カバー写真:Rodrigo Galindez/Flickr)
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