U.S. Trade Deficit Widens 4-Month In A Row, Deficit Against China Hits Another Record.
米9月貿易収支は540.19億ドルの赤字となり、市場予想の536億ドルを上回った。前月の500.37億ドル(500.28億ドルから修正)から1.3%増加。4ヵ月連続で増加した結果、赤字水準自体は鉄鋼・アルミ追加関税措置を発動する前となる2月以来の高水準を示した。原油関連を除く貿易赤字は494.87億ドルと、前月の462.87億ドル(修正値)を超え、ヘッドラインと同じく7ヵ月ぶりの高水準となる。1月に太陽光パネル・洗濯機、3月に鉄鋼・アルミへのセーフガードが発動し、6月には鉄鋼・アルミへの追加関税措置がEU、カナダ、メキシコへ波及した。対中追加関税は7月6日には通商法301条を根拠とした500億ドルのうち340億ドル、8月23日には残りの140億ドルが発動、そして9月24日からは2,000億ドル相当へ拡大するなか、輸出と輸入の増加率が一致したものの赤字が拡大した。
内訳をみると、輸出が1.5%増の2,125.65億ドルと4ヵ月ぶりに増加した。輸入は1.5%増の2,665.84億ドルと5ヵ月連続で増加した結果、2ヵ月連続で過去最高を塗り替えた。
輸出減少・輸入増加が続き、貿易赤字は3ヵ月連続で増加。
(作成:My Big Apple NY)
国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの貿易赤字は、870.42億ドルだった。前月の862.77億ドル(修正値)を上回り過去最高を更新した。
当該単月の輸出の内訳をみると、モノは前月比2.1%増と4ヵ月ぶりに増加した。項目別では食品・飲料が8.0%減と4ヵ月連続で減少、5~6月での2桁増を巻き戻す動きをみせた。そのうち大豆が7〜8月に続き29.4%減と2桁減だったほか、コーンも5.5%減と3ヵ月連続で減少。その他、乳製品・卵も8.6%減、小麦も3.1%減、ナッツ類は3.0%減と軒並み減少した。一方で、民間航空機が29.6%増と2ヵ月連続で拡大したため、資本財が2ヵ月連続で増加したほか、自動車が増加に反転。さらに産業財は前月の減少分を打ち消した。なお中国は9月6日に追加で600億ドル相当の報復関税を発動、対象は小麦、ワイン、液化天然ガス(LNG)など約3,500の製品とした。結果、前述の通り大豆のほか、LNGが3.3%減、ワインを含む酒類も7.5%減と2ヵ月連続で減少した。項目別動向は、以下の通り。
(増加項目)
・産業財 6.3%増>前月は5.2%減、3ヵ月ぶりに減少
・自動車 1.3%増>前月は2.1%減
・資本財 2.3%増、2ヵ月連続で増加>前月は0.2%増
・消費財 0.8%増、2ヵ月連続で増加>前月は10.3%増
・サービス 0.4%増、14ヵ月連続で増加>前月は0.3%増
(減少項目)
・食品・飲料 8.0%減、4ヵ月連続で減少>前月は9.2%減
輸入の内訳をみると、モノは1.6%増と5ヵ月連続で増加した。原油価格が2014年11月以来の高値近くで推移するなか、量ベースでのエネルギー関連輸入が9.9%減と3ヵ月ぶりに減少。前年比では3.4%増と、増加に転じた。金額ベースでは7ヵ月ぶりに下落した。エネルギー製品を除いたモノの輸入は2.1%増と、5ヵ月連続で増加した。今回、増加した項目は資本財のみとなる自動車をはじめ消費財、産業財となる。項目別動向は、以下の通り。
(増加項目)
・資本財 4.1%増>前月から0.8%減
・自動車 1.9%減、4ヵ月ぶりに減少<前月は3.3%増
・消費財 3.7%増、2ヵ月連続で増加>前月は1.6%増
・産業財 0.4%減、4ヵ月ぶりに減少<前月は0.7%増
(減少項目)
・食品・飲料 1.3%減、2ヵ月連続で減少<前月は1.1%減
国別でのモノの貿易収支動向を前月比でみると、中国への赤字は前月比4.3%増の402.43億ドルと、3ヵ月連続で過去最大を更新した。大豆など食品関連の輸出減少などが響いたと考えられる。日本への赤字は、34.7%減の39.27億ドルと3ヵ月ぶりに大幅減。欧州全体への赤字額は33.8%減の119.24億ドルと、過去最高を更新した7月から2ヵ月連続で減少した。対英貿易収支は58.1億ドルの黒字と、前月の12.2億ドルの赤字から転じた。
主な産油国への貿易収支は、対カナダとメキシコで赤字が減少した半面、OPECでは増加した。一方で、メキシコに対する赤字額は前月比13.9%減の77.14億ドルとなり、過去最大を更新した前月から改善した。カナダへの貿易収支は30.5%減の18.10億ドルの赤字と、2ヵ月連続で減少した。逆に、石油輸出国機構(OPEC)への貿易赤字は45.2%増の19.84億ドルと、2014年1月以来で最大を記録した7月からほぼ半減した水準を保つ。原油輸入はOPECのみ前月比4.2%増となり、カナダは11.6%減、メキシコが18.4%減だった。
なお、米国とメキシコはNAFTA再交渉で8月27日に合意に到達。対してカナダは7月から米国による鉄鋼・アルミ関税への報復措置を7月1日から開始し、鉄鋼やアルミ、食品など166億加ドル相当の製品を対象とした。ただし、9月30日にカナダが米国・メキシコと歩調を合わせ、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に合意、NAFTAの枠組み維持で妥結した。各国が批准する必要があり、カナダとメキシコは鉄鋼・アルミ関税の除外を求めている。
国別動向の年初来・貿易赤字は、これまで3位だった日本が4位に転落し、代わりにドイツが3位に浮上した。カナダは3月から7月までトップ10圏外だったが、8月に続き圏内に残った。各国ごとの単月の貿易収支動向は、以下の通り。
――トランプ政権が対中追加関税として第1弾の500億ドルに加え第2弾の2,000億ドルを発動したところ、皮肉にも貿易赤字は実質の財ベースで過去最高を更新してしまいました。そもそもトランプ政権が通商交渉に乗り出したのは、純輸出が成長に寄与することが狙いだったはずですが、あいにく現実は厳しい。年初来の貿易赤字は10%増加する有様で、果たしてG20でトランプ大統領は習主席との会談で妥結を探るのか?ひとまず中間選挙後なだけに、ディールを演出して来るのではないかと予想しています。
(カバー写真:Louis Vest/Flickr)
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